まさかマスゴミの態度よりも裁判所の方で政権交代を実感することになるとは思いませんでした。広島地裁、空気読みすぎ(笑)。つーか、裁判所よりも報道の方が国民視点と柔軟性に欠けるってどうよ・・・(苦笑)。

というわけで、古くは万葉集、現代では『崖の上のポニョ [DVD]』の舞台にもなった広島の鞆の浦での、埋立て架橋計画の差し止めを求めた裁判の判決が広島地裁で出されましたが、途中の論理を素っ飛ばして結論だけ見るなら100%。ですが、裁判所に無理な理論構成を取らせてる時点で広島県も福山市も オマエハスデニシンデイル なんですよね。国際記念物遺跡会議(イコモス)に中止を勧告された時点で止めるべきでしたし、自民党政権下の金子一義・前国交相ですら否定的な見解を示して認可しなかったのだから、そこで止めても知事や市長の顔は立ったと思うんですが、なんで強行しますかねぇ・・・(怒)。

県と市は控訴するでしょうが、たぶん高裁も最高裁も、ここまで景観利益を広く取るような判断はしないと思います(するならするで天晴れですが・・・無いな・苦笑)。前原国交相も認可を出すつもりはないようですし心情的には計画の撤回を求めたいのでしょうけど、彼の任期中に高裁・最高裁での結論が出るかどうかわからないですし、自治体が改心して計画を撤回するか、民主党連立政権で自然公園法を改正するなどして少なくとも国立公園でこうした環境破壊的な乱開発ができないようにするか、行政と立法の方で積極的に対処してほしいです。法の不備があるから、広島地裁も濫用されるかもしれない懸念承知で景観利益を広く解釈したのでしょうし。裁判の行方とは別に、広島地裁の問題提起を国も広島県も福山市も真摯に受け止めてほしいと思います。

Osk200910010067

[10/15追記:案の定、広島県は控訴しました。おりしも11月8日に広島県知事選が控えてますが・・・]



ポニョの舞台・鞆の浦埋め立て認めず 景観は国民の財産
【朝日新聞 2009年10月1日】

 江戸期の港と町並みが一体で残り、宮崎駿(はやお)監督のアニメ映画「崖(がけ)の上のポニョ」の舞台として全国的な注目を集めた景勝地「鞆(とも)の浦」(広島県福山市)で県と市が進める埋め立て・架橋計画をめぐり、地元住民らが県を相手取り、知事が埋め立て免許を県と市に交付しないよう求めた訴訟の判決が1日、広島地裁で言い渡された。能勢顕男(あきお)裁判長は住民側の請求を全面的に認め、知事に埋め立て免許の交付をしないよう命じた。

 歴史的景観を保護するために大型公共工事の許認可を差し止めることができるかどうかが争われた初めての訴訟で住民側が勝訴した。各地の開発と景観をめぐる紛争に大きな影響を与えるのは必至だ。

 訴訟では、(1)埋め立て・架橋工事により、住民らが鞆の浦の良好な景観の恩恵を受ける利益が損なわれるか(2)事業によって交通が便利になったり、観光客用の駐車場などを整備したりすることで得られる利益が、景観を損なう不利益を大きく上回るといえるか(3)埋め立て免許が出されると回復不可能な重大な損害が生じる恐れがあるか――などが主な争点になった。

 判決はまず、鞆の浦の景観は住民らの利益にとどまらず、瀬戸内海の美観を構成し、文化的・歴史的価値をもつ「国民の財産ともいうべき公益」と指摘し、法的保護の対象になると判断。瀬戸内海の環境保全を趣旨とする「瀬戸内法」によっても公益として保護されていると述べ、景観を侵害する政策判断は慎重になされるべきだとした。

 そのうえで、行政側が実施しようとしている道路や駐車場の整備などの事業に必要性や公共性があることは認めつつ、景観保全を犠牲にしてまでの必要性があるかどうかについては「大きな疑問が残る」とした。さらに、事業が完成した後に景観を復元することは不可能で、事業自体の調査・検討も不十分として、埋め立てを認めることは知事の裁量権を超えており差し止めの対象になるとの結論を導いた。

 県知事は昨年6月、埋め立て免許の交付に必要な国土交通相認可を申請した。金子一義・前国交相は「住民同意ではなく、国民同意が必要」として認可に慎重な姿勢を示し、手続きは事実上停止している。

   ◇

 ■判決の骨子

 ●居住者は鞆(とも)の景観による恵沢を日常的に享受していると推認され、法律上の利益を有する者に当たる。

 ●鞆の景観の価値は私法上保護されるべき利益であるだけでなく、瀬戸内海における美的景観を構成するものとして、また文化的、歴史的価値を有する景観として、いわば国民の財産ともいうべき公益である。しかも、事業が完成した後に復元することはまず不可能となる性質のものである。

 ●埋め立てなどの事業が景観に及ぼす影響は軽視できない重大なものであり、瀬戸内法等が公益として保護しようとしている景観を侵害する。

 ●事業者らが事業の必要性、公共性の根拠としている道路、駐車場整備の効果などの点は、調査、検討が不十分であるか、または合理性を欠くと言わざるをえない。従って知事が免許を出すことは裁量権の範囲を超える。