水着回を期待していた人は残念でした、いうことで(爆)。
・・・私はむしろ今回から2巻突入じゃないのか?と思ってたので、1巻のプロローグの内の11ページとエピローグの内の2ページにオリジナルを入れて展開された方がちょっと予想外でしたけど・・・う〜ん、グリューエル出なかった方がちと残念というか・・・(そっちかよ?w)。
というわけで、今回は本格的にこの作品世界での海賊稼業をはじめるにあたっての説明回といった感じでした。
原作未読組にとってわかりやすい内容でテンポも悪くなかったですし、丁寧に描かれていた茉莉香の船長見習い修業の様子などに絡めて今後の伏線がキッチリ織り込まれてたので、それなりといった印象です。
貴重な夏休みを拉致同然で奪われたにもかかわらず一切反発せずに修業に頑張ってる姿は、彼女の責任感の強さを表していてよかったように思いました。
加藤家でのトークにあった私掠船免状の期限に関する更新・失効の説明は2クール目以降に関わってくるものと思いますが、それ以外にもプリンセス・アプリコット号でアトラクション営業をはじめる前に、わざわざ台本を用意するだけでなくチアキにも渡していたシーン。
これも原作には一切なかったものですが(ケインとの剣戟込での営業自体は1巻プロローグのエピソード)、数話後の“アレ”のために作ったのかな?と思うと黒髭船長でなくてもついニヤニヤしそうになりました(笑)。
それにしても1回目というのに(シュニッツァーがうまく落ち着かせてくれたというのもありますが)茉莉香は随分ノリノリでやってましたね。
「金目の物をよこしな!」なんていかにもアドリブで調子に乗った感じの言い方でしたし(笑)。
船長服が学校の制服に上着を着せただけのコスプレ色の希薄なもので羞恥心を感じずにすんだからかもしれませんが、キャラ設定が少し変更されてる現れの1つのようにも思いました。
もっとも、船長服に関してはしとらす的には元の方が華やかで好みなのですが・・・。
ところで、もうご覧になった方も多いと思いますが、先日Exciteに佐藤竜雄監督にインタビューした特集記事が掲載されてましたね。アニメ化にあたっての彼の考え方とかがよく伺えて興味深く拝見させていただきました。
◆チャラいとモーレツにならない〈「モーレツ宇宙海賊」佐藤竜雄監督インタビュー前編〉
【Excite:ニュース・エキレビ! 2012年2月7日】
90年代を代表する名作SFアニメ「機動戦艦ナデシコ」の佐藤竜雄監督が、久々に手がける本格スペースオペラ「モーレツ宇宙海賊」。キャッチーで個性的なキャラクターたち。本格的でイマジネーションあふれるSF設定。そしてなにより、可愛いけど凛々しいヒロイン加藤茉莉香の成長していく姿が魅力的な作品です。
地上波では、先日放送された第5話のラスト。普通の女子高生だった茉莉香が、父親の跡を継ぎ、宇宙海賊船・弁天丸の船長になることを決意。“宇宙海賊・加藤茉莉香”の物語が、ようやく本格的にスタートします。そこで佐藤監督に、この作品との出会いから今後の展開まで、お話を伺いました。前後編のインタビュー、まずは前編です。
――第5話で、ついに茉莉香が宇宙海賊になることを決意しましたね。
佐藤 ようやくですね。5話まで見て「宇宙海賊じゃねえじゃないか!」と思った人は多いと思うんですけど。でも、笹本(祐一)さんの原作(『ミニスカ宇宙海賊』)も、1巻は、まだ海賊じゃないですからね(笑)。
――5話までは、プロローグといったイメージですか?
佐藤 理由として一番大きいのは、茉莉香が海賊になる決意をしっかり描きたかったんです。それがないと、「周りに言われたので船長になりました」みたいにチャラくなっちゃうので。ふわふわと雰囲気だけで海賊船の船長になったように見られてしまうと、この先、全然突っ走る感が出せない。「モーレツ」にならないんですよ。海賊の船長になってからは、さらにいろんな人たちが出てきて、茉莉香の周りに集まってくるのですが、その説得力がなくなるんです。
――最初に、茉莉香というヒロインを、しっかり描きたかったということですね。
佐藤 そうですね。最初は3話くらいに詰めようかな、とも思ったんですけど。どうしても(決断が)軽く見えちゃって。最近のアニメは、基本テンポ良くやらないといけないし、冒険ではありました。ただ、僕自身としては、元々はテンポの早いアニメをやってたんですよね。逆に、ここ10年くらい、チェンジオブペースって、どういう風にやれば良いのかなと考えることが多いです。
――同じ佐藤監督のスペースオペラでも、「機動戦艦ナデシコ」の序盤は、非常にハイテンポな展開でした。
佐藤 「ナデシコ」を知っている方は、1話で発進から戦闘まで行くと思っていたでしょうね。今回は、その5倍かけてます(笑)。
――多くの「ナデシコ」ファンが、佐藤監督の新たなスペースオペラを楽しみにしていたと思います。この作品に関わることになった経緯などを、教えて頂けないでしょうか。
佐藤 2008年の年末にキングレコードの大月(俊倫)プロデューサーと、駅のホームで偶然会って。「竜ちゃん、今度SFやろうよ。『ミニスカ宇宙海賊』っていうんだ。じゃあ」とか言われて、そのまま別れたんですね(笑)。その後、年が明けてから正式にお話を聞いたのですが、僕の方が別の仕事に入ってたので。正式に動き出したのは、2009年の夏ごろ。まだ、原作は2巻までしか出ていませんでしたね。
――原作小説を読んで、どんなアニメにしようかというコンセプトは、すぐに浮かんだのでしょうか?
佐藤 小説の場合はスペオペ入門みたいな感じで、索敵して敵を突き止めて、それからどうするっていう過程などを、しっかり描いているんですけど。(SFを読んでない)今のラノベ読者には、ちょっとハードルが高いかもなって気はしました。ただ、僕は、そういう思考実験や、これは原作ではあまり触れられてないけど、普通の子が海賊の船長になる過程に魅力を感じて。先の物語がどうなるかは分からないけど、自分なりにやってみようかなと。まずはキャラクターの方から攻めて、文芸作業(脚本や設定の制作作業)をしていきました。
――確かに、ストーリーにも直接関わるSF設定の多い作品です。そのあたりの描写については、どのようなことを意識されているのでしょうか?
佐藤 そういったシーンでは、説明のために少し饒舌にならざるを得ないから、ダイアローグ(会話のセリフ)には気をつけました。むしろ、その会話の中でキャラの性格付けができればいいなと、前向きに考えましたね。そういう理由で、今回は、各キャラのダイアローグと性格づけが直結してるので、最初の1クールは全部自分で脚本を書きました。文芸作業の段階では、原作が3巻までしか出てなかったので、2クール以降はオリジナル要素が増えるんですが。そこは、他の(シナリオ)ライターさんにも入ってもらってます。そして、僕は終局の5話をやる。そういう割り振りにしました。
――そういった文芸作業の後、ビジュアル面のメインスタッフなどを決めていかれたのですか?
佐藤 宇宙船などメカ設定の部分は並行して進めていきました。絶対に時間がかかるので、そうせざるを得ないんです。だから、先に物語の着地点を見つけて、宇宙船は何隻出ますよ、とか考えていきました。そこはしっかり考えておかないと、後半、作業量が膨れあがって大変になるんです。まあ、僕がシリーズ構成(脚本面の責任者で、物語全体の構成も考える役割)を引き受けた時点で、最後は物量戦になるって宣言してたんですけどね(笑)。
――そういう事情もあって、5人ものメカデザイナーが関わられているのですね。その一人には、「マクロスF」の総監督・河森正治さんの名前もあります。
佐藤 僕の方から推したり、制作会社(サテライト)さんから推薦があったりで、いろいろな人に集まってもらったのですが。結局、知った顔が多くなりました。河森さんは、「劇場版マクロスF」もあるし、その後には「アクエリオンEVOL」も控えているということで、オデット二世の一隻だけをお願いしました。(作品内の設定の)技術体系的に、他の船と多少違っていても大丈夫でしょうという判断で。河森さん以外の方も含めて、基本的にはそれぞれのメカのコンセプトと(作中での)運用だけを、こちらから提示するのみに留めて、その上で皆さんのやりたいようにやってもらいました。
――メカ関係だけでなく、キャラクターも含めた全体的なビジュアルの方向性は、どのようなに考えられていたのですか?
佐藤 一言で言うなら、ちょっと骨太な感じ。元々、宇宙海賊の出自が、独立戦争の中から生まれているので。(アニメーションキャラクター原案で)あきまんさんに白羽の矢を立てたのは、そういうところが欲しかったからです。茉莉香は、可愛い顔をしているんだけど、男前で、同性からも惚れられる。百合ではなくね(笑)。マッチョな感じではなく、そんな女の子にしたいと思ったんです。
――あきまんさんの描かれた茉莉香を見て、第一印象はいかがでしたか?
佐藤 「こうきたか!」という感じですね。もうちょっとマッチョな感じで来ると思っていたので。そこから調整していくつもりだったんですけど、わりと最近の流行に近い感じの絵が来ました。あと、もう分かる人にはバレてると思いますけど、前髪が「コンバトラーV」の南原ちずるなんですよね(笑)。
――あ! 本当だ!! どこか懐かしい印象も感じたのは、この前髪のせいかも。
佐藤 ええ。たぶん、あきまんさんが好きだった安彦(良和)さんの絵、しかもガンダムじゃない頃の絵と、最近の流行の絵をアレンジして入れてきたのだと思うんですね。それを中核に、いろんな要素を配置してる。元々から魅力のある絵なんですけど、話が進んでくると、さらに違って見えてくるんじゃないかなと思いました。ももクロ(ももいろクローバーZ)のオープニングもそうですけど、段々と作品に馴染んでくる。可愛いだけの顔じゃないのが良いんですよね。ひと癖もふた癖もある、こういう顔の子じゃないと言えないよなっていう、セリフやシチュエーションがどんどん増えていくので。
――そのあきまんさんのデザインを、アニメーションキャラクターデザインの竹内浩志さんが、アニメで動かしやすいようにアレンジしたということですね。
佐藤 はい。あとは、アニメの中で目力を強調できるようにという点も、竹内さんの方で調整してもらいました。やっぱり、茉莉香にしてもチアキにしても、目が印象的ですから。基本的に、船に乗って船長席に座っていると目線は前を向いているので。正面顔で、どれくらい惹き込まれるかっていうのは大事。そのあたり(の好み)については、「ナデシコ」の頃とあまり変わってないですね(笑)。
――茉莉香のキャラデザインの中には、新しさと懐かしさが組み合わさっているということでしたが、作品自体もそういった感覚があります。スペースオペラというクラシックな題材と、最近のアニメのテイストや技術がミックスされて、魅力になっているのではないでしょうか。
佐藤 だから、1話から5話まで見てくれた人が、まずは「古いな」と感じるのは正解だと思うんですよ。ただ、話が進んで行くと、ヨット部部長ジェニーとか、副部長のリンとか、茉莉香以外のキャラも立ってきて、かなりくせ者揃いだと分かってくる。そうしたら、「あれ? 古いだけじゃない?」って思ってもらえるんじゃないかと。いわゆるお嬢様学校のハイソ系かと思ったら、みんな違いますからね。
――弁天丸クルーの予備軍みたいな、濃いキャラクターもいますよね(笑)。
佐藤 ええ。そのあたり、たとえ女子高生でも、船乗りっていうのはこういう人間だってことが、そこはかとなくでも出れば。弁天丸の人たちに、スムーズにバトンタッチできるかなと思ってました。
(丸本大輔)
(明日アップの後編に続く)
〔※写真:佐藤監督の監督デビュー作は、1995年の「飛べ!イサミ」。翌年放送を開始した「機動戦艦ナデシコ」は、劇場版も制作されるほどの大ヒット作になりました。佐藤監督は、文芸面の役職も兼任することが多く、「モーレツ宇宙海賊」では、監督の他にシリーズ構成、脚本を兼任しています。〕
◆主人公の茉莉香が万能じゃないってところが肝〈「モーレツ宇宙海賊」佐藤竜雄監督インタビュー後編〉
【Excite:ニュース・エキレビ! 2012年2月8日】
「さあ、海賊の時間だ!」
主人公・加藤茉莉香が宇宙海賊になることを決意し、ようやく、女子高生と宇宙海賊の兼業生活がスタート。今後の展開がさらに楽しみな、痛快スペースオペラ「モーレツ宇宙海賊」。佐藤竜雄監督へのインタビュー後編では、茉莉香をはじめとしたメインキャラクターやキャストについて。さらに、6話以降の見どころも伺いました。特別に、6話の先行カットもお見せします!
――茉莉香は、ビジュアルだけじゃなく、声や芝居からも独特の格好良さを感じます。CVの小松未可子さんは、オーディションで決まったそうですが。声優としては新人の小松さんのどういった点に、茉莉香らしさを感じたのでしょうか?
佐藤 真っ直ぐさ、ですね。これは声質の問題だけではなく、今のこの時期にしか出せない声というところで。僕が、わりと新人の子をヒロインにするのはどうしてかというと、芝居の上手い子はいくらでもいるんだけど、今しかできない芝居ってものが、欲しい時があるんです。
――「今しかできない芝居」とは、具体的にどういったものなのでしょうか?
佐藤 小松さんは、声優を初めて日が浅くキャリアもない分、目の前のことを一生懸命やている感じが、そのまま声に出てる。これから上手くなっていくと、そうしたものが無くなっていくのかもしれない。だからこそ、今その瞬間を切り取って、フィルムに固定したいなと。そうした映像と声のコラボを経て、この子(茉莉香)が見る宇宙はどういう世界なのか、この子が宇宙をどう進んで行くのか……。見ている人が、興味を持ってくれれば良いなと思ってます。
――茉莉香を見ていると、決断力や気っ風の良さが本当に魅力的で。僕は高校一年生の茉莉香より20歳も年上ですが、「この子の下なら、働いても良いな」と思えます(笑)。
佐藤 そうですか(笑)。「決断は自分のベスト。それを信じて!!」と、セリフでも言わせていますが、いつもベストの状態を選択していく子なんです。しかも、その決断を修正するのにも躊躇がない。
――周りには自分よりも優秀な人がいるし、自分が何でもできるとは思ってない。でも、自分が決断しなきゃいけないのなら、しっかり決める。そういう格好良さを感じます。
佐藤 主人公の茉莉香が万能じゃないってところが、今回の肝で。何もできませんからね(笑)。死んだ船長の娘だから海賊になれるって展開に、「海賊船の船長って血筋でなれるのかよ」と反発を感じた方もいると思うんですね。ただ、そういうきっかけであったとしても、話の展開とともに「この子が船長になって良かったね」と、感じてもらえるようになったら良いなと思ってます。
――他のキャラクターについても伺わせてください。ある記事で、佐藤監督のお気に入りはチアキだというコメントを見たのですが。その理由は?
佐藤 チアキは、自分が一番になれないことを分かっている子なんですよ。自分に誇りはあるけれど、(海賊船の船長の娘で)周りは大人ばかり。自分より優れてる人もたくさんいるけど、そこで頑張ってる。だから、同じ立場(船長の娘)なのに、すでに海賊船の船長になろうとしている茉莉香には、否定的なところから接していくんです。常に突っかかっていくような言動ばかり。でも、どんどん距離が詰まっていく過程で、彼女の本音が見えてくる……。そこが可愛いところかな。まあ、自分でそう設定してるんですけど(笑)。
――花澤香菜さんのお芝居も良いですね。
佐藤 今回のオーディションでは、(若手の)女性声優さんには、茉莉香、チアキ、マミと、これから出てくるグリューエルの4役くらいを、みんなにやってもらったんですよ。たぶん、花澤さんも茉莉香がメインのつもりだったと思うけど、とりわけチアキが良かったんですよね。
――花澤さんのお芝居のどういったところに、チアキらしさを感じたのですか?
佐藤 声がクレバーなんですよね。しかも、それだけじゃなくて、どこか愛嬌があるんですよ。
――確かに、チアキはドジっ子な面もありますし、ぴったりですね。茉莉香の同級生である遠藤マミに関しても教えてください。
佐藤 マミは、海賊になるという茉莉香の決断を理解し、応援もしてるけど、自分は宇宙に行くよりも、白凰女学院の芝生でお弁当を食べている方が良いなって子。そのへんを芝居で出してくれと注文したので、小見川(千明)さんは、最初はかなり混乱したはず。「なんで、この芝居にダメ出しをされるんだろう」っと思ったでしょうね。
――アフレコはすでに全話分が終了しているそうですが。その他に、キャラ作りやキャスト決定の過程で、特に印象に残っているキャラクターを教えてください。
佐藤 他は、わりとバランスを見ながら決めていきましたね。以前、一緒に仕事をした役者さんは、どんな芝居になるか予想してキャスティングした人もいるし……。あ、ヨット部副部長のリンの芝居は、意表を突かれました。
――CVは日笠陽子さんですよね。どういったところで意表を?
佐藤 日笠さんに関しては、音響監督の明田川(仁)さんの方でキャスティングして下さったんですね。リンは外見がボーイッシュなので、わりと乱暴で男前な感じかなと、漠然と思ってたんですよ。でも、芝居を聞いたら全然男前じゃなくて、結構チャラい。でも、面白かったんですよね。ハッカーという設定で、陰のあるキャラクターだと考えてたんだけど、単に面白がって(ハッキングして)る人間みたいで。最初の台本では、「俺」と言ってたんですけど、これは「私」だなと思って変えたり。リンはずいぶんキャラが変わりましたね。
――佐藤監督の作品に日笠さんが出演するのは初めてですか?
佐藤 初めてです。すごい元気な子ですよね。今回は女の子が多くて、しかもみんな同世代だったりするので、収録スタジオのロビーは女子校みたいでした。本当の女子校を知らないですけど。後半になって出てくるキャラもいますし、女子率は高まる一方な感じで(笑)。みんな口を揃えて、こんなに同世代の女性声優が集まった現場は無いと言ってました。
――では、役者陣のチームワークのようなものは自然に生まれた?
佐藤 はい。なんだかんだいって、主役の小松さんが中心になってたと思います。みんなが彼女の成長を見守るという形で、座長として機能していました(笑)。伊藤静さんなんかは、演じているミーサも茉莉香を見守る役ですけど、母のような目で見守ってましたよ。
――ベテラン勢では、百眼役の藤原啓治さん、クーリエ役の堀江由衣さんのキャスティングが、意表をついて面白いなと思いました。
佐藤 百眼は、普段の藤原さんって感じなんですけどね(笑)。堀江さんとは随分前から親しくさせてもらっているんですけど、本格的にキャスティングするのは今回が初めて。いつも可愛らしい役が多いんですけど、けっこう面白いことをやれる子なんで、せっかくだから、(可愛い役でなく)ちょっと外してやろうかなと。今回は堀江さんが兼役でいろんな役もやっているので、何をやってるのか探すのも楽しいと思いますよ。「ほっちゃんを探せ」状態で(笑)。
――探してみます(笑)。あとは、毎回、冒頭に流れる小山力也さんのナレーションも、スペースオペラっぽい雰囲気を醸し出してて大好きです。
佐藤 序盤でなかなか宇宙に行かなかった分、小山さんの声で宇宙を感じてもらえたのは、すごく助かりました。小山さんは、いつもスタジオに一番早く来て、練習をしてますから。さすがですよね。その誠実さで、今回は宇宙というものに向き合ってくれている。僕から何も言わずとも、願っていたものを出してもらえました。
――冒頭に流れるといえば、ももいろクローバーZの歌う主題歌「猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」」ですが。すごく不思議な曲で、放送前に聞いた時は正直、「なんじゃこりゃ?」と思ったんです(笑)。でも、アニメが始まって毎回見ていたら、不思議と馴染んできて……。
佐藤 そうなんですよ。僕も最初に聞いたときは、賛否両論ありそうだなと思いました(笑)。おそらく話の内容的にも、今くらいが、ちょうどしっくり来てる頃でしょうね。一方で、エンディングのNARASAKIさんの曲(「LOST CHILD」)は、「モーレツ宇宙海賊」がどんな作品かを、ももクロ的に表現してくれている。すごく対称的ですね。
――確かに、エンディングは1話から、すごくしっくり来ました。3月7日には、主題歌CDと同時に、Blu-ray&DVDの第1巻もリリースされますね。
佐藤 Blu-rayは全26話を7巻までに収めているし、価格設定もお得だと思うんですよね。特典の方でも、ドラマCDとかいろいろとサービスしているし(笑)。5話までを見て、面白いと思ってくれた方は買って頂けると嬉しいです。
――わかりました! では、6話以降の見どころを少し教えて頂けますか?
佐藤 5話の茉莉香はすごく格好良かったんですけど、弁天丸に乗り、大人の中に入っちゃうと大したことはないんで。下っ端から、やり直しですね(笑)。まあ、そのあたりの悪戦苦闘ぶりとか……。あとは、掛け持ち海賊なので、マミやヨット部の連中たちと疎遠になるわけではなくて。むしろ、宇宙に出たことで、人間関係がダイナミックに広がっていく。その様を見て欲しいです。意外とマミが重要な役だったりしますからね。
――物語はまだまだ続いていきます。この物語の終わりに、視聴者たちを、どんなところまで連れていき、どんな気持ちにさせたいと思っていますか?
佐藤 一言で言うと、宇宙って良いなあ、と。すごい単純ですけど。スペオペって面白いじゃん。ここまで行っちゃうんだっていう、そのへんの物語の弾み具合を楽しんで欲しいですね。おそらく、5話までを見てるだけだと、26話まで行っても、そんなに遠くまで行かないんじゃないかって心配してると思いますけど(笑)。まあ、宇宙の果てまでは行かないまでも、かなり遠くまで行きますから。一気に世界が広がっていく加速感みたいなものを、感じてくれたら良いなと思います。
(丸本大輔)
〔※写真:現在放送中の「輪廻のラグランジェ」の総監督も務めている佐藤監督。3月31日から開催される「アニメコンテンツエキスポ2012」では、「輪廻のラグランジェ」との合同ステージイベントにも出演予定。詳細は「モーレツ宇宙海賊」公式サイトの「NEWS」ページで。〕