京都市交響楽団が2023年度の定期演奏会ラインナップを発表

常任指揮者が一気に若返っただけでなく、持ち味や個性が前任者と全く異なるとなると、選曲にもかなり変化が見られますね。
京響の来シーズンの自主公演スケジュール発表、ニコ生でストリーミング中継が初めて採り入れられたのも新鮮でした。
司会にクラシックに詳しいYouTuberを起用したことと併せて、とても良い試みです。

長期化するコロナ禍で集客減などの影響か、定期公演の回数が減ったのは非常に残念です。
形態はともかく京都市が運営しているのだから、こういう文化事業にこそしっかり公金を投入して、
自主公演の回数と欠員補充などでの楽団の質の維持に努めるべきなのですが。
大型建設にはカネを注ぎ込むくせに全く…

ちなみに、679回定期に客演指揮するエリアス・グランディ [Elias Grandy https://www.eliasgrandy.com/]はドイツ最古の大学があることで有名なハイデルベルク市のGMD(Generalmusikdirektor 音楽総監督)を2015/16シーズンから務めている1981年生まれの日系ドイツ人。ハイデルベルク『市』の音楽総監督なのでハイデルベルク市立劇場と(座付きオケでもある)ハイデルベルク・フィル両方の音楽面での総責任者ということ。
先々代のハイデルベルク市GMDに現在シュトゥットガルト州立歌劇場GMDのコルネリウス・マイスターが7年ほど務めていて、彼は今年のバイロイト音楽祭で急病キャンセルのピエタリ・インキネンに代わって『ニーベルングの指環』を指揮した(元々は『トリスタンとイゾルデ』を担当する予定だった)ことで日本でも少し名前が広がったかな?YouTubeで観たコルネリウス・マイスター&シュトゥットガルト州立歌劇場の『ワルキューレ』はとても気に入ってます。
そんなこんなで現ハイデルベルク市GMDのグランディは楽しみな指揮者です。まもなく来日して大フィルと札響の定期にそれぞれ客演指揮するので、評判を期待しましょう。

680回定期、やっと・・・やっと・・・演奏会形式のオペラですよ!
この『サロメ』を皮切りに毎年1つは必ず実施してもらいたいですね。

681回定期の合唱曲、ジョン・ラターは8年前にマニフィカトを採り上げて演奏してますね。
レクイエムもとても良い作品ですよ。

682回定期で沖澤さんが採り上げるギヨーム・コネソンは1970年生まれのフランスの作曲家。『コスミック・トリロジー』は第1部『アレフ』、3つの楽章?からなる第2部『暗黒時代の一条の光』、2つの楽章からなる第3部『スーパーノヴァ(超新星)』が組み合わさった曲。ストリーミングで聞ける録音が1つしかなくて、さっそく聴いてみましたが、キラキラ華やかな且つ繊細な音楽が印象的で、わりと耳に入りやすいと思います。ブラスセクションが活躍する場面が多いので京響が真価を発揮しやすいかと。

683回定期に登場する太田弦は1994年生まれ、東京藝大指揮科において沖澤さんから少し離れた後輩。
11月8日に九州交響楽団から2024年4月首席指揮者として就任することが発表されました。
 →九州交響楽団 ニュース&トピックス|2024年度、首席指揮者に太田弦氏が就任します
メインに据えた尾高尚忠の交響曲第1番は、どんな曲か全然知らないので逆に楽しみ。

685回定期で沖澤さんはフランス6人組のうちオネゲルとタイユフェールを採り上げますが、フランス言うてもオネゲルは中身スイス人だし、タイユフェールは当時大変に稀な“女性”作曲家ですからね。
フランスモノやりまぁ〜す言うてオネゲルを採り上げるの、なかなかに渋い。これまた楽しみ。

686回定期、サラッと「マルサリス:ヴァイオリン協奏曲」ってあるけど、
・・・マルサリスって、あ・の!
ウィントン・マルサリス!
ジャズ・トランペッターで超有名な人ですよ!?
そのウィントン・マルサリスが、これまた人気・実力ともに高い女性ヴァイオリニスト、ニコラ・ベネデッティのために作曲したのが
「ヴァイオリン協奏曲 ニ調」
だそうです。ググってビックリしたぜよ。

 

では、特別演奏会とフライデー・ナイト・スペシャルを除いたラインナップの一覧

 


 

◆第677回定期
2023年4月12日(土)14:30
指揮:沖澤のどか
◇メンデルスゾーン:序曲『リュイ・ブラース』 Op.95
◇メンデルスゾーン:交響曲第4番 イ長調『イタリア』 Op.60
◇ブラームス:交響曲第3番 ヘ長調 Op.90

◆第678回定期
2023年5月20日(土)14:30
指揮:井上道義
◇ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲
◇ドビュッシー:夜想曲
〔cho 京響コーラス(女声)〕
◇武満徹:地平線のドーリア
◇ドビュッシー:『海』―管弦楽のための3つの交響的素描

◆第679回定期
2023年6月24日(土)14:30
指揮:エリアス・グランディ
◇チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.35
〔Vn 金川真弓〕
◇バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116

◆第680回定期
2023年7月15日(土)14:30
指揮:沼尻竜典
 サロメ[S]田崎尚美
 ヘロデ[T]福井 敬
 ヘロディアス[Ms]谷口睦美
 ヨカナーン[Br]大沼 徹
 ナラボート[T]清水徹太郎
 ヘロディアスの小姓[Ms]山下裕賀
◇リヒャルト・シュトラウス:楽劇『サロメ』 Op.54 ※演奏会形式上演

 

◆第681回定期
2023年8月19日(土)14:30
指揮:原田慶太楼
◇ヴェルディ:歌劇『アイーダ』〜第2幕「エジプトとこの聖なる地を守りイシスの神に栄光あれ」
〔cho 京響コーラス〕
◇ストラヴィンスキー:歌劇『放蕩児の遍歴』〜第1幕「トムから何の便りもない」
〔S 森 麻季、 cho 京響コーラス〕
◇ボロディン:歌劇『イーゴリ公』〜第2幕「ポロヴェツ人の踊り」
〔cho 京響コーラス〕
◇ラター:レクイエム
〔S 森 麻季、 cho 京響コーラス〕

 

◆第682回定期
2023年9月23日(土・祝)14:30
指揮:沖澤のどか
◇ベートーヴェン:交響曲第4番 変ロ長調 Op.60
◇コネソン:管弦楽のための『コスミック・トリロジー』[※日本初演]

 

◆第683回定期
2023年10月14日(土)14:30
指揮:太田 弦
◇ラヴェル:スペイン狂詩曲
◇ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
〔Pf アレクサンドル・タロー〕
◇武満徹:波の盆
◇尾高尚忠:交響曲第1番 Op.35

◆第684回定期
2023年11月25日(土)14:30
指揮:シルヴァン・カンブルラン
◇モーツァルト:交響曲第31番 ニ長調 K.297(K6.300a)『パリ』
◇ブルックナー:交響曲第4番 変ホ長調『ロマンティック』 WAB 104[1888年稿・コーストヴェット版]

 

◆第685回定期
2024年1月20日(土)14:30
指揮:沖澤のどか
◇オネゲル:交響曲第5番『三つのレ』
◇タイユフェール:ハープと管弦楽のためコンチェルティーノ
〔Harp 吉野直子〕
◇イベール:寄港地
◇ラヴェル:ボレロ

 

◆第686回定期
2024年2月17日(土)14:30
指揮:川瀬賢太郎
◇ウィントン・マルサリス:ヴァイオリン協奏曲 ニ調
〔Vn 石田泰尚〕
◇ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95『新世界より』

 

◆第687回定期
2024年3月16日(土)14:30
指揮:広上淳一
◇バルトーク:ピアノ協奏曲第2番 Sz.95
〔Pf ジャン・エフラム・バヴゼ〕
◇ラフマニノフ:交響曲第3番 イ短調 Op.44

 


 

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]