京都市交響楽団が2025-26シーズンの定期演奏会ラインナップを発表

11月15日、京都市交響楽団から来シーズンの定期公演プログラムが発表されました。

まずは常任指揮者の沖澤のどかさんからのメッセージ
2025-26シーズンラインナップに寄せて――京都市交響楽団 第14代常任指揮者 沖澤のどか[PDF]

 2025年度のテーマは「王道!斬新!」とし、傑作と知られざる名曲を組み合わせた多彩なプログラムを練りました。

 私自身は、6月定期では生誕150年を迎えるラヴェル作曲の組曲「マ・メール・ロワ」と、日本初演となるジョルジュ・レンツの美しい「ヴァイオリン協奏曲」を中心としたフランス・プログラムを、そして9月定期では日本ではまだほとんど知られていないであろう19世紀に活躍したフランスの女性作曲家、ルイーズ・ファランクの「交響曲第3番」と、京響が得意とするダイナミズム溢れる名曲、リムスキー・コルサコフの「シェエラザード」を指揮します。

 さらにシーズンを締めくくる3月定期では、これぞ王道と言えるモーツァルトとダ・ポンテによるオペラの金字塔「コジ・ファン・トゥッテ」を、最高のキャストでお届けします。私の音楽人生の中心を貫くモーツァルトのオペラを、より音楽に集中することができる演奏会形式で取り組めることは、この上なく幸せです。

 古典に定評のある首席客演指揮者のデ・フリーント氏は、モーツァルトやシューベルトはもちろんですが、ブルックナーでどんなアプローチをされるのかとても楽しみです。また、これまで京響のサウンドを深化させてきた広上淳一、高関健、ジョン・アクセルロッド各氏にそれぞれの得意分野で腕を振るっていただくのをはじめ、世界的に活躍する個性豊かな指揮者陣にご登場いただきます。

 ソリストも、ベルリン・フィル・デビューが決まっているヴァイオリニストの HIMARI さんや世界を魅了するソプラノ歌手の森麻季さんをはじめ、日本国内外から優れた音楽家をお招きします。

 毎年ご好評をいただいている、オーケストラ・ディスカバリー・シリーズや、ZERO歳からのみんなコンサート等、若い人向けの公演にも積極的に取り組んでいきます。皆さまと、ホールでお目に掛かれますのを楽しみにしています。

京響公式ウェブサイトにてリリースされたシーズンプログラムの冊子
京都市交響楽団2025年度自主公演一覧表[PDF]
2025-26シーズンプログラム パンフレット[PDF]

 

沖澤さんの登場回はどれも食指をそそられますが、敢えて優先順位をつけるなら

  1. 演奏会形式の『コジ・ファン・トゥッテ』
  2. ルイーズ・ファランクの交響曲第3番&京響の十八番『シェヘラザード』
  3. ジョルジュ・レンツのVn協奏曲&タイユフェール+ラヴェル+デュカス

キリル・ペトレンコからの薫陶をどこまで糧としているかは見ておきたいので、『コジ』は外せません。
2番目も日本ではまず聴けないであろう19世紀の女性作曲家の交響曲に加え、『シェヘラザード』は広上さんやアクセルロッドの指揮で聴いたのと比較体験ができるのもまた一興。
3番目もメインとなるヴァイオリン協奏曲が日本初演の作品をチョイスした点がとても好感を持てます。

この3つに加えて、首席客演指揮者のヤン=ウィレム・デ・フリーントがブルックナーの3番を1973年第1稿で採り上げるのも、ブルヲタとしては絶対に外せない!

チケット代が以前から高くなってるのに加えて、この1年で日銀のアホどもが引き起こした超円安とハイパーインフレで懐具合がかなり厳しいのですが、なんとか4回分は捻出して聴きに行かないといけませんね・・・

 

あとは、京響定期初登場となる2人の客演指揮者について

ピエール・デュムソー(Pierre Dumoussaud)、どこかで1990年生まれ(=34歳)とかチラッと見えた気がしましたが、2017年にベルギーのワロン王立歌劇場で開催された国際オペラ指揮者コンクールに優勝したのを皮切りに欧州各地で指揮活動を突けている俊英のようですが、百聞は一見に如かずで、2023年のドニゼッティ・オペラ・フェスティバルで上演された演目の1つ、『ランメルモールのリュシー』(代表作の1つ『ランメルモールのルチア』をフランスで上演するために伊語→仏語への翻訳だけでなく台本の中身にもかなり手を加えたらしい)をピエール・デュムソーが指揮した公演がライヴ収録されて、Blu-ray並びにDVDでリリースされたばかりですので、ぜひご購入・ご視聴をお勧めします。

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ドニゼッティ: 歌劇《ランメルモールのリュシー》[日本語字幕・解説付き]

ジャン=クリストフ・スピノジは1964年生まれ、現在はフランス領になっているコルシカ島の出身。欧米各地の主要オーケストラや歌劇場に招聘されている他、新日本フィルの定期に何度が客演しているようなので、気になる方はググれば実演に接した方の感想を掘り出せるかもしれません。

 


 

◆第699回定期
2025年4月19日(土)14:30
指揮:ジョン・アクセルロッド
◇チャイコフスキー:幻想序曲『ハムレット』 Op.67a
◇リヒャルト・シュトラウス:4つの最後の歌
〔S 森 麻季〕
◇チャイコフスキー:交響曲 第6番 ロ短調 Op.74
 
 
◆第700回定期
2025年5月17日(土)14:30
指揮&ピアノ:ハインツ・ホリガー
◇ハインツ・ホリガー:エリス―3つの夜の小品[ピアノ独奏版&管弦楽版]
◇ハインツ・ホリガー:2つのリスト・トランスクリプション
◇武満 徹:夢窓
◇シューマン:交響曲 第1番 変ロ長調『春』Op.38
 
 
◆第701回定期
2025年6月20日(金)19:00
2025年6月21日(土)14:30
指揮:沖澤のどか
◇ジョルジュ・レンツ:ヴァイオリン協奏曲『…to beam in distant heavens…』【※日本初演】
〔Vn アラベラ・美歩・シュタインバッハー〕
◇ジェルメーヌ・タイユフェール:小組曲
◇ラヴェル:組曲『マ・メール・ロワ』
◇デュカス:交響的スケルツォ『魔法使いの弟子』
 
 
◆第702回定期
2025年7月18日(金)19:00
2025年7月19日(土)14:30
指揮:高関 健
◇マウリシオ・カーゲル:ティンパニとオーケストラのための協奏曲
〔Timp 中山 航介(京響首席打楽器奏者)
◇マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調
 
 
◆第703回定期
2025年8月29日(金)19:00
2025年8月30日(土)14:30
指揮:ヤン=ウィレム・デ・フリーント
◇ドヴォルザーク:ロマンス ヘ短調 Op.11
〔Vn HIMARI〕
◇ヴィエニャフスキ:グノーの『ファウスト』の主題による華麗なる幻想曲 Op.20
〔Vn HIMARI〕
◇モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626
〔S 石橋栄実、Ms 中島郁子、T 清水徹太郎、Bs-Br 平野 和、cho 京響コーラス〕
 
 
◆第704回定期
2025年9月19日(金)19:00
2025年9月20日(土)14:30
指揮:沖澤のどか
◇ルイーズ・ファランク:交響曲 第3番 ト短調 Op.36
◇リムスキー=コルサコフ:交響組曲『シェヘラザード』 Op.35
 
 
◆第705回定期
2025年10月11日(土)14:30
指揮:ピエール・デュムソー
◇ガブリエル・ピエルネ:劇付随音楽『ラムンチョ』〜序曲
◇アンリ・トマジ:アルト・サクソフォンと管弦楽のためのバラード
〔Sax 上野耕平〕
◇ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番 ホ短調 Op.93
 
 
◆第706回定期
2025年11月28日(金)19:00
2025年11月29日(土)14:30
指揮:ジャン=クリストフ・スピノジ
◇ロッシーニ:歌劇『アルジェのイタリア女』〜序曲
◇ハイドン:交響曲 第82番 ハ長調 Hob.I-82『熊』
◇ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68『田園』
 
 
◆第707回定期
2026年1月23日(金)19:00
2026年1月24日(土)14:30
指揮:広上淳一
◇バーンスタイン:政治的序曲『スラヴァ!』
◇バルトーク:ピアノ協奏曲 第3番 Sz.119
〔Pf 三浦謙司〕
◇コープランド:交響曲第3番
 
 
◆第708回定期
2026年2月13日(金)19:00
2026年2月14日(土)14:30
指揮:ヤン=ウィレム・デ・フリーント
◇シューベルト:交響曲 第4番 ハ短調 D.417『悲劇的』
◇ブルックナー:交響曲 第3番 ニ短調[1873年初稿・ノヴァーク版]
 
 
◆第698回定期
2026年3月20日(金・祝)14:30
指揮:沖澤のどか
◇モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』K.588[※演奏会形式]
〔フィオルディリージ[S] 隠岐彩夏、ドラベッラ[Ms] 山下裕賀、フェルランド[T] 糸賀修平、
 グリエルモ[Br] 大西宇宙、デスピーナ[S] 鵜木絵里、ドン・アルフォンソ[Bs] 宮本益光、
 cho 京響コーラス〕

 


 

[※以上、場所はすべて 京都コンサートホール・大ホール です]