2006年4月22日(土)18時開演
@京都コンサートホール(大ホール)
◆L.v.ベートーヴェン 『レオノーレ』序曲第3番 Op.72b
◆L.v.ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15
(休憩)
◆R.シュトラウス 交響詩『英雄の生涯』Op.40
指揮:大友直人
ピアノ:スティーヴン・コヴァセヴィッチ
コンサートマスター:グレブ・ニキティン
4月9日に50周年記念演奏会がありましたが、定期としては本日が今年度初めての京響。
会場に来る前に京都府立植物園をゆっくり散策して花見と洒落こんでいたのですが、それでも(いつもは開演時間ギリギリに行くのに)随分早くに京都コンサートホールに着いてしまい、でもそのおかげでロビーコンサートを楽しむことができました。
京響創立50周年の記念の一環ということで、 定期の開演前に大ホールのホワイエで団員さんたちによるアンサンブルのロビーコンサートをすることになっているそうで、今日の担当は第2ヴァイオリンの三瀬由起子さんとハープの松村衣里さん。
曲目をメモするのを忘れてしまいましたが、いい演奏でした。
わたしは1つ上のフロアから見ていたのですが、私のすぐ隣に2ndヴァイオリンの方がご覧になってました。
先輩団員から見てどうだったのでしょう・・・?
そういえば、大ホールに入って受付のすぐ後ろに3月まで首席ファゴット奏者だった仙崎さんのお姿が。
9日の時も同じようにいたよなァ~、と思い切って声を掛けてみると、
「今はこういう仕事なので・・・」
と名刺を頂きました。
拝見すると、京都市音楽芸術文化振興財団(京都コンサートホール・京都会館・円山公園音楽堂等、京都市の9つの文化施設の管理運営を市から受託している財団)の企画事業課長の文字。
そうですよね、あれだけ現場で貢献された方をただ定年させたんじゃぁ、もったいないですものね。
市民税払ってる者からしてもありがたい人事です(笑)。
さて、今日の定期、メインは大フィルと同じ『英雄の生涯』ですが、前半のプログラムも1曲目が曲は違えどベートーヴェンの序曲、コンチェルトも大フィルはリヒャルト・シュトラウス最晩年の曲で古典的な趣のする端整な曲、京響はベートーヴェンの若い頃の曲(つまりはバリバリの古典派)、なんかプログラムの組み方が大植さんと大友さんで似通っているように思えて、御二方の狙いのベクトルも同じ方向なのかなァ~と想像してみたり。
芸風の異なるこの2人、年は1つ違い(大植さんの方が1つ年上)で大学も同じ桐朋ですけど。
チェロのトップには上村昇さんがいました。
あとで知ったのですが、大阪シンフォニカーのコンマスの1人、田村安祐美さんも1stVnの真ん中辺りにいました。
1曲目。同じベートーヴェンでも大フィルと京響では響きとか違いますけど、キチッと整ったアンサンブルで、颯爽とした感じのとても充実した好演奏。
タイプは違えど昨日の大フィルに負けてなくて、後に続く曲にも期待を持たせてくれます。
2曲目。スティーヴン・コヴァセヴィッチ、私は初めてでしたが、EMIにソナタ全集を録音するなど、ベートーヴェンには定評のあるピアニストだとか。
ドイツものが得意という先入観とは異なり、思ったよりも明るく粒のくっきりした音色で、繊細さを感じる反面、テンポ感・リズム感がとてもよく、ダイナミックレンジもしっかり感じとれて良い印象を持ちました。
第3楽章などタッタッタッと小気味よく前に進む様がリズミカルでスピード感に溢れてて、若々しさを感じる心地好い演奏でした。
エキストラも多く参加しててステージは大人数の後半、お待ち兼ね?の『英雄の生涯』。
上村さんがいるせいか、出だしの音の質感もナカナカのものです。
昨日の大植&大フィルのように1人の男の人間模様を目の前に映し出されるような標題音楽的なものだったり、官能的雰囲気とダイナミックレンジ・絶妙なゲネラルパウゼで人の心を奥底から揺さぶりまくるような体験も、どちらもなく、かといって無味乾燥などということはなくて、色彩感豊かな響きとバランスよく整えられたアンサンブルを武器に、端麗で颯爽とした純音楽的表現の‘音’巻物を聴いているようでした。
全体として堅実な運びですがここという見せ場というか聴かせどころ、例えば「戦い」の場面なんかもスリリングでスペクタクルな感じがよく出ていた素晴しい演奏だったと思います。
2日続けて良い演奏に出会えるなんて、う~ん、なんて幸せだ(笑)。
ニキティンさんのソロはvery good!で、弦もすっきりとよく通る響きで大フィルとは違った魅力を打ち出せていて良し。
Ob高山さんとCl小谷口さんのソロも素晴しかったです。木管だけでなくホルンのセクションなど金管も良かったし。
最後の音、響きの余韻が静まるのを待って拍手するなんて、いつもの京響定期ではありえない聴衆のお行儀の良さ(苦笑)が出ましたが、いつも以上の盛大な拍手が今日の演奏の出来を物語っていたように思えます。
団員さんたちもみなさん充実した満足げな表情でした。