今年度からしばらくぶりに定期会員に戻ったしとらすさんです。
相変わらず私の懐は寂しいままなのですが(苦笑)、なんとか安いシートで都合つけました。
さぁ、ガンガン聴きまくるぞぉ~~~(爆)。
さて、今回545回定期のコンサートパンフの解説を執筆された小味渕彦之氏の文章の中に、下野さんの言として
「(マーラーの)スコアを見ていると天才だと思うが友達にはなれそうにない」
というのがありました。
音楽家としてのマーラーはとても尊敬しているそうですが、それでも下野さんは過去1番と5番しか振ったことがないそうです。
そんな下野さんがプレトークで仰ってたのは、最初にマーラーを聴いたのが高校の時でのインバル&フランクフルト放送響による5番で、第2楽章のコラールが(それまでずっとガチャガチャやってた後で)光が射しこんでくるように思えた、という彼自身の思い出と、終楽章のコラールに関する新妻アルマとのエピソードについてでした。
アルマに古臭いと言われて「ブルックナーだってやってるやんか」と言い返したとかいう(笑)あのエピソードについてです。
京都市交響楽団 第545回定期演奏会
2011年4月22日(金)19時開演@京都コンサートホール
◆J.ハイドン 交響曲第100番ト長調「軍隊」Hob.I-100
(休憩)
◆G.マーラー 交響曲第5番嬰ハ短調
指揮:下野竜也
前半のハイドンは弦の配置が第1ヴァイオリン×8、チェロ×4、ヴィオラ×6、第2ヴァイオリン×8という順の対向配置で、コントラバスはチェロの後ろに3名、あとホルンとトランペットがいつもと左右逆という、変わった配置をとられてました。
というわけで、第2楽章の進軍ラッパを模したファンファーレを吹く2番トランペットが指揮者から見て左斜め前にいることになるわけです。
どうしてこんな配置にしたのだろう?とその時は不思議に思いましたが、後半のマーラーの5番でなんとなく推測できた気がしました。
ハイドンの『軍隊』、演奏自体は手堅くまとめてきた印象。
そして後半のマーラー。
ブラスセクションの配置が左からホルン、トランペット、トロンボーンの順に並べてありましたが、トランペット奏者の並びを普段とは逆にさせてトランペット1番とトロンボーン1番を隣同士に座らせてました。
こういう変則的な配置をすることで出だしのファンファーレを担当するトランペット奏者が指揮者の右斜め前に座ることになり、前半のハイドンと後半のマーラーとでちょっとしたシンメトリーとなったわけです。
プレトークの時に下野さんが少し勿体ぶった言い方でハイドン『軍隊』とマーラー5番の2つのファンファーレのことについて触れてらっしゃいましたけど、視覚的にここまで明確にわかるようにやったのは私は初めて見ました。
ちなみに、マーラーでも弦セクションの並びはコントラバスがステージ最後方に1列に並べてあったの以外は前半と同様の配置でした。
コントラバスに押し出された形のパーカッションは指揮者から見て左斜め後方に陣取ってありましたが、この配置、中央の席ではどのように聴こえていたのでしょうか?
私は3回サイドのステージの真横の席でしたので、そのあたりがちょっと気になりました。
演奏自体は最初から最後まで緻密にコントロールされた素晴らしい出来で、特に終楽章はブラスセクションを朗々と響かせてラストへの畳みかけも見事にはまり、とても充実した熱演でした。
聴いてて思わずニヤリとしたのが、第2楽章と終楽章の2ヶ所の金管のコラールで、ホントに
「まんまブルックナーやん」
とツッコミ入れたくなる響かせ方をさせていたこと(笑)。
このあたり、録音でも実演でもブルックナーっぽいかな?くらいに思えるものは多々ありますが、今回ほど感じたのは個人的には下野さんが初めてでした。
もっとも、私の気のせいかもしれませんが・・・。
プレトークでもマーラーはあまり指揮しないと仰っていた下野さんですが、病んだ都会人(=マーラー)と南国育ち薩摩隼人(=下野さん)じゃ、そりゃぁソリが合うわけないか・・・などと熱演聴きながら実感した次第でしたし、これを聴いてしまうと、下野さん京響でもブルックナー振ってくれへんかなぁ~、なんてついつい思ってしまう、しとらすさんでした。