今日はめでたく久しぶりに大入り袋が出たそうです。
長引く不況と震災の影響で(大野さんの客演でマラ3やった時はチケット争奪になったという唯一の例外はありますが)広上回でも昨年あたりから満員御礼が出なくなって残念に思っていたので、お客さんがまた増えてきたいうのはホンマに嬉しいかぎりです。
しかも今日のなんてバルトークにシェーンベルク編ブラームスという素人受けしづらい選曲なので尚の事。
そして、今年度末で定年での卒団となるファゴットの山本一宏さん、今まで大変お疲れ様でした。
演奏後のステージでの花束贈呈だけでなく、レセプションで山本さんを含めたファゴット奏者4名で最後のアンサンブルが演奏されたことにも、仲間を気持ちよく送り出そうという楽団員全体の姿勢と雰囲気の良さが見えたようで好ましく思いました。
私が京響を聴くようになる少し前までは“公務員オケ”と揶揄された時期もあったそうですが、少なくとも今は全然違っていて皆でベクトルを前に向けて頑張ってるという感じですよね。山本さんが壇上での挨拶で
「(今までがそうではなかったと断りを入れつつも)広上さんが来てから京響で演奏するのが楽しくなりました。幸せです。」
といった趣旨のことを述べられていましたが、おそらく同様のことを皆で感じてるのではないかという気がします。
山本さんの後任は既に決まってるそうですが、どんな人が来るんでしょうね。楽しみです。
京都市交響楽団 第555回定期演奏会
2012年3月25日(日)14時30分開演@京都コンサートホール
◆B.バルトーク 管弦楽のための協奏曲 Sz.116
(休憩)
◆J.ブラームス ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25〔※管弦楽編曲:A.シェーンベルク〕
指揮:広上淳一
言い様によってはメインディッシュ2つという、なんとも濃いプログラミング。
プレトークでコンマス2人が広上さんに呼ばれて、広上さんが質問役という形で一緒に曲解説していましたが、泉原さんがバルトークのオケコンが好きで演奏するのは初めてだと仰ってましたが(コンマスとしてなのか全くの初めてなのか?)、私もバルトークのオケコンは好きな曲の1つなので、自分の期待値込みで
バルトークのオケコン≧シェーンベルク編ブラームス
と予想してたのですが、結果はというと
バルトークのオケコン<シェーンベルク編ブラームス
という印象でした。
やはり難曲2つを両方共100%に持ってくるのは至難の業だったか・・・と考えるのは楽ですが、高望み上等wな今の絶好調オケ京響に対してそれは寧ろ失礼ですし、実際に終楽章を華麗に締めくくって客席から盛大な拍手が送られてる程度には充分な好演でした。
ただ何と言うか、特に初めの2つの楽章でパズルのピースが何処か微妙にズレてたように私は感じました。
エッジを効かせたシャープなものを・・・と期待してたのが、弦の響きでゾクゾクするとかそういうのが若干不足気味だったり。
逆に後半のシェーンベルク編ブラームスは昨年のラフ2や『ローマの祭』に伍することのできるレベルの圧巻の演奏。
弦も管も鳴るわ鳴るわ、しかも響きがブラームスにもシェーンベルクにも偏らない絶妙なバランスの奏で方で、曲の構造をしっかり把握した上でのテンポ感もピタッとハマった感じで、終楽章をゴージャスに締めくくった終わった時には期待以上の素晴らしい出来に大いに感動し満足しました。
CD収録が無かったのは非常に勿体ない!とつい考えてしまったほど(笑)。
広上さんは今日は前半も後半もずっと指揮棒を持たないで指揮されてました。
今まで演奏途中で持ったり持たなかったりと変えることはありましたが、最初から最後まで指揮棒無しで通したのは私は初めて見ました。
後半は曲があんな感じなのでともかく、前半のバルトークのオケコンで使わなかったのは結構な冒険のような気もしましたが・・・
広上さん本人に直接その質問を伺えればよかったのですが、なんせ花粉症が酷くて薬でギリギリ抑えてる上に眠剤が効かなくて寝不足という有様なしとらすさんだったので、レセプションは長居せずに大人しく帰ったもので、疑問は疑問のままです(苦笑)。