今回のプレトーク、広上さんは早坂さんを伴って登場。前半でTp協奏曲やるからかと思いきやそれだけではなかったようで、今日は早坂さんの53歳のお誕生日なのだそうです(お誕生日おめでとうございます>早坂さん)。
完売御礼というわりには金曜の夜のせいか客席の空きがまだ目立ってましたけど、それでも会場からは温かい拍手が。トークは質問形式でトランペットの歴史(昔はバルブがなかったとか云々)や聴きどころ、ソリストの紹介といったところでした。
京都市交響楽団 第564回定期演奏会
2013年1月25日(金)19時開演@京都コンサートホール
◆F.J.ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調 Hob.VIIe:1
(アンコール)
◇マカレナの乙女〔※トランペットソロ&管弦楽版〕
(休憩)
◆H.ベルリオーズ 幻想交響曲 Op.14
(アンコール)
◇J.シュトラウス2世&ヨーゼフ・シュトラウス ピツィカート・ポルカ
指揮:広上淳一
トランペット:ルベン・シメオ
コンサートマスター:渡邊 穣
前半のハイドンのトランペットコンチェルト。ソリストのルベン・シメオは若干20歳のスペイン人奏者ですが、技術の高さはもちろんのこと、その澄んだ甘いメロウな音色はとろけそうな感じでしたね。伴奏もやや角の取れた響きで上手くサポートしていた印象でした。
そしてアンコールは・・・珍しくオケも一緒になってのもの(ロビーにあった表記は少し違うと思います。
モンテルデ作『マカレナの乙女』に管弦楽とソロトランペット用に二重三重に手の入ったものかと。リサイタルの時はルベンの父ホセ・ビセンテ・シメオがTpとピアノ伴奏用にアレンジしたものをよく演奏しているようですし)でしたが、もう超絶テクが炸裂してましたねぇ〜。
とにかく凄かったです。
音色もハイドンの時よりはゴールドがかったメタルチックな感じで遠くまで朗々と響くような印象でした。
たぶんほとんどの人はハイドンの時よりもインパクト大きかったんじゃないかなぁ〜と(笑)。
ルベン・シメオ、テクはさすがといったところ。音色のメロウな部分は若さ故(まだ唇が柔らかい年代)かもしれませんが、歳を重ねていろんなものが蓄積しての成長がどのようになっていくのか楽しみですね。
後半、広上さんはプレトークで幻想交響曲にまつわるエピソードなどを語る際にベルリオーズのことを変態だの何だの散々言ってた記憶がするのですが(苦笑)、今日の演奏はスロースターターといったところでしょうか。
第1楽章や第4楽章のリピートを省略しなかったこともあったけど、たぶんトータルで1時間弱はあったように思います。
スロースターターといったのはテンポだけじゃなく、立ち上がりがもうひとつのように思えたから。
個人的には第1楽章と第2楽章のコントラストがもう少しつけてあればという印象でしたけど、他は悪くなかったです。
第3楽章からはもうほぼパーフェクトだったのではないでしょうか。
コーラングレに呼応させるオーボエは3階席Lサイドにシャレールさんを配置、終楽章のカリヨンはオルガンの横に置いてありました。
第3楽章での牧歌的なメロディーの中に密かに陰が忍びよるような雰囲気、第4楽章での(あえてドンチャンドンチャン鳴らすことを控えたかのように)粛々とした断頭台への歩み、終楽章も心の闇を強調するかのようにクライマックスでもギアを加速させずズシンズシンといった感じでの締め。
幻想交響曲の“変態”っぷりというか音楽に潜む闇の部分を広上&京響なりに余すところなく表現したという印象でした。
この曲、しとらす的にはミュンシュ&パリ管のエキセントリックでクレイジーな演奏(セション録音のEMI盤だけでなくライヴ盤も持ってるのです)が脳裏にこびり付いてしまってるので比較しないようにとは思ってるのですが、聴く前の私なりの予想ではもう少し暴れるかな?と考えていたので、その意味ではやや予想外れ。
ですが、完成度というか練度の高さとそれに伴う豊かな表情付けには何ら欠けることなく、広上&京響の充実ぶりを新年から味わうことができたと思います(あれ以上何かをやろうとすると京響サウンドの良さが崩壊してしまうでしょうし)。
・・・で、通常の定期ならここで終わりなのですが、今日は違いました(笑)。
カーテンコールの後に広上さんがステージから新年のご挨拶がありました。市民に対する感謝の気持ちは折にふれて広上さんが必ず口にされる言葉ですけど、それと併せて「世界(レベル)の京響」とか「京都から(世界へ)発信する」というメッセージがあったのは、一般客以上に(あの場に何人かは誰かしらいたであろう)京都市や法人会員のお偉方に向けた精一杯のアピールなのかなと思いました。
今の京響って(会員の私が言うのも何だけど)かつてない黄金期とも言えるレベルだと思うのですが、どこまで広く周知されてるかというと・・・???ですものね。
定期2日公演も未だ実現してませんし、マイナーな曲をやると客の入りがとたんに悪くなるし(ブツブツ)。
日本の景気がこんな底辺状態なので、どこぞの市みたいに存続云々の話が出ないだけまだマシなのですが、それでもせっかく良い状態にある街のオケの認知度が低いのは古都京都の街全体にとってもそこの住人にとっても大変に勿体ないことです。
なので、広上さんの挨拶を聞きながら彼自身もどかしさを感じてるんだろうと思いました。
そして、アンコールにピツィカート・ポルカ。
いえね、気にはなってたんですよ、どうして使いもしないはずのグロッケンシュピールがフルートセクションの隣にずっと置いてあるんだろう?って(笑)。
前半でもアンコールのためだけに何人かワサワサ出てきてたし、皆さんマジお疲れ様でした。