京都市交響楽団 第571回定期演奏会(指揮:広上淳一)

プレトークでは広上さんと京響のマネージャーさんが出てきて、今年の1月から8月の今回まで定期はずっと完売御礼が続いている(年度明けから連続というのは覚えてたけど1月からだったのか・・・1月はニューイヤーも前売完売だったし、京響の演奏の質に客数がようやく追いついてきましたね)等の簡単な報告があり、それから合唱指揮をされてる小玉さんを呼んで練習についてのエピソードなどを広上さんの質問に答える形でお話しされてました。

ちなみに、この曲に関しては半年前から準備したそうで、皆が集まっての定期的な練習は毎週月曜の18時半から21時まで。聴き所として小玉さんは第10曲「Quando corpus morietur(肉体は死して朽ち果てるとも)」のアカペラの部分を挙げられました。コーラスにとってはまぁそうなるか、わかりやすいですね。

 

京都市交響楽団 第571回定期演奏会
2013年8月11日(日)14時30分開演@京都コンサートホール
◆A.ドヴォルザーク スターバト・マーテル Op.58
指揮:広上淳一
コンサートマスター:渡邊 穣
合唱:京響コーラス(合唱指揮:小玉 晃)
ソプラノ:石橋栄実
メゾ・ソプラノ:清水華澄
テノール:高橋 淳(※急病の大槻孝志氏より変更)
バス:久保和範

 

管セクションの編成はスコア通りでフルートだけ1番が副首席の中川さんだった(清水さんはお休み)他は首席揃い踏み。
演奏時間、アナログな腕時計で見ただけなので細かい数値は出せませんし、おおよそですが、
・第1曲:18分
・第2曲+第3曲+第4曲:25分弱
・第5曲+第6曲:11分
〈オケが再度チューニング〉
・第7曲+第8曲:10分弱
・第9曲+第10曲:14分
こうして改めて見ると合計したら78分で第1曲以外はチョイ速め・・・なのかな?何種類もディスクを聴き比べたわけではない私にはわかりませんけど。

まずは京響コーラス、大健闘だったと思います。プレトークで小玉さんも仰ってましたけど、まったくのド素人集団、しかも日本の場合はキリスト教圏のように定期的に集まってミサで歌うとかコーラスの文化が全然ありませんし、そうした中でゼロから音楽を作り上げていって、この曲では最初から最後まで全体の約3分の2を歌いっ放しになるわけですが、よくラストまでスタミナと集中を切らさず、ピッチもなんとか安定させてハーモニーを濁らせることなく歌いきりました。“Quando corpus morietur”からのアカペラもピタッとはまってましたし、小玉さんにしっかり鍛えられた京響コーラスは現状でベストを尽くせたのではないでしょうか。本当にお疲れさまでした。
ソリスト陣はバスが若干ノリきれてないかな?と思った箇所があった以外は文句無し。高橋さんはピンチヒッターにもかかわらずめっちゃ張りきってたみたいでしたし、清水さんがレセプションでの挨拶でヒロシマ・ナガサキ(原爆が落とされた日)のことと大震災と併せていろんな祈りを込めてという趣旨のことをお話されてましたけど、作曲者と歌詞の意図を汲み取って歌っているのが皆さん充分伝わってきました。

オケは今回は完全に黒子に徹していた感がありましたね。2管編成でもパワーのMAXはもう少し出せたはずですが、おそらく京響コーラスとのバランスとハーモニーの純度を優先させたのでしょう。終曲のブラスセクションの見せ場も私にはちょっと控え気味のように感じましたし(ちなみにトランペットはナエスさんと稲垣さんのコンビ)。もっとパワーと技巧に秀でた合唱団と組ませたら京響も全力全開でいけたかもですが。広上さんの指揮も合唱がいることもあって終始インテンポ気味で、その代わりにダイナミックレンジを上手く使って盛り上げ所は外さないといった印象でした。終わってみればやっぱりなかなかの感動モノ。スターバト・マーテル=「悲しみの聖母」の詩の内容に見合った好演奏でした。

演奏後のレセプション、小玉さんや京響コーラスのメンバーの方の挨拶などがあり、帰り支度を終えられた4人のソリストの方々もソプラノの石橋さんから順にマイクを渡されてましたが、女性陣が凄いハイテンションで彼女たちに煽られてた久保さんがちょっと気の毒でした(笑)。しばらくして広上さんも来られて、1月から完売御礼が連続していることを改めて強調されてたのと、会員じゃなかったら今日の演奏会に来なかったという客と話ししてたのを引き合いに出して、彼ならではのレストランの例え話で新しい料理も少しずつ取り入れていきますけどどうか食わず嫌いにならずに今後とも・・・など仰ってました。ドヴォルザークのスタバトくらいでブツクサ言うのはどうせジジババ連中なのでしょうけど(苦笑)、レア度の高い曲を生演奏で気軽に聴けるのが優れたフル編成のプロオケを地元に持つ醍醐味の1つでしょうに・・・ともあれ、こうして京響の演奏の質がハイレベルで安定してきているのに併せて観客数がようやく増えてきているのならば、あとは定期2日間公演が早期に実現できることを願うのみです。