2017年度の最初の定期がいよいよ・・・なのですが、コンマスはここ最近と同様のパターン、1プルトのコンマス席には名フィル客演コンサートマスターの植村太郎さんで隣が尾崎さん。裏事情は存じませんが、やはり正規のコンマスの御二方が揃わないのは淋しいし、それだけでなく京響らしくなくて好ましくないように思います。ちなみに今晩はチェロ首席に上村さんが入ってました。
京都市交響楽団 第611回定期演奏会
2017年4月21日(金)19時開演@京都コンサートホール
◆F.メンデルスゾーン 序曲『フィンガルの洞窟』Op.26
◆F.ショパン ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21
(ピアノ・ソロ・アンコール)
◇F.メンデルスゾーン 無言歌集 第3巻 Op.38〜第6曲 変イ長調『デュエット』
(休憩)
◆W.ルトスワフスキ 管弦楽のための協奏曲
指揮:アレクサンダー・リープライヒ
ピアノ:北村朋幹
コンサートマスター:植村太郎
ショパンのPコンなんてぶっちゃけオーケストレーションに疎い出来損ないが書いた曲に過ぎないし、ソリストの男の子くんも特に何か光るようなものを持ってるようでもなく平均的なショパン弾き程度にしか感じなかったので、前半は元々期待してなかったけど結局その予想を裏切らない演奏に(苦笑)。
ともあれ、私にとってははじめからお目当てはルトスワフスキのオケコンだったわけですが、これが期待以上の大当たり!ワルシャワ・フィルによって初演されたこの曲、私は予習がてらにアントニ・ヴィト&ワルシャワ・フィルの録音を聴いてて、そして聴きながら、京響も(オケの力量はワルシャワ・フィルの方が上だしアントニ・ヴィトもトップクラスの巨匠でリープライヒよりも格上だけど)これくらいハイレベルな演奏をしてくれたらいいけどなぁ〜なんて思ってたわけですが、ホンマに文句なしのスバラな演奏が聴けるなんて、こいつぁハナから縁起がイイネェwwwでした。
リープライヒさんにとっても手兵のポーランド国立放送響と録音をリリースしているくらいなので十八番の曲なのか、それともプレトークで今でもアバンギャルドと評したのを意識してか、後半はわざわざジャケットの下を動きやすいシャツに着替えての指揮はとてもシャープかつ細部まで明瞭で、前半かったるかったのが嘘みたくガラッと正反対の、まさに手に汗握る熱演でした。ヴィルトゥオーソが要求される曲に対する京響の適応能力も流石といったところで、広いダイナミックレンジや快速・変速テンポにもよく対応できてゴージャスな雰囲気を醸し出してましたし、ソロの受け渡しとか随所に散りばめられたギミックが視覚で楽しめたのは生演奏ならではで皆さんパーフェクトでした。
そもそも、オケコンこと“管弦楽のための協奏曲”というジャンル?というか形態の曲、創始はパウル・ヒンデミットですが、実質的に嚆矢となったのはバルトーク最晩年の最高傑作である Sz.116 のそれで、作曲する側も演奏するオーケストラ側もそれぞれに、ソロ・グループやセクションのアンサンブル・全体のスペック、その各々をどれだけ引き出して魅力的に聴衆に見せるか、作曲者の管弦楽的技巧と力量、指揮者とオーケストラのレベルの高さ、双方が問われるわけですが、今晩のリープライヒ&京響によるルトスワフスキのオケコンの演奏は、そうしたものをたっぷりと堪能できる素晴らしい演奏で、素敵な幸福感に満ちたひとときを過ごせた印象でした。
そして、やっぱり京響は前回のマラ8や今回のルトスワフスキのオケコンのような、管楽器&パーカッション大勢の大編成でヴィルトゥオーソが試される20世紀モノ〜現代音楽をやるのが真価を発揮できて、聴いていても楽しいです。昨年末の60周年記念の特別演奏会でやったシュトックハウゼンの『グルッペン』やジョン・ケージの「5つのオーケストラのための30の小品」もとても楽しませてもらいましたし。いま募集中な第2Vnの首席が埋まってコンマス2人戻る体制になったら、プログラムは攻めの志向でどんどん挑戦してほしいですね。