スペイン・カタルーニャの映画、ルシア・アラマニュ監督『イノセンス(La Inocencia)』は地元スペインでDVDが発売されてますが、残念ながら日本版はリリースされてないようです。
ペソアの『アナーキストの銀行家』はramonbookさんが書かれていますが一昨年に邦訳本が出ました。
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フェルナンド・ペソア『アナーキストの銀行家――フェルナンド・ペソア短編集』
スタッフのオススメ映画
【イノセンス】
スペイン・カタルーニャの女性監督の作品
子どもから大人になろうとする少女のひと夏のドラマ
19日19:30〜 https://t.co/ZuW4eZ15dZ
オンライン上映 https://t.co/ThgNOBu3ro#なら国際映画祭2020 #映画祭 #Cstalan #女性監督 pic.twitter.com/DCeM8gvfvN— なら国際映画祭 公式 (@naraiffnaraiff) September 19, 2020
オンラインで見た。成長の過程で自尊心を攻撃し、従う立場を受け入れるように女性を教育する役割を地域共同体が担うというカトリックの家父長制が良く描かれてる。主人公リスのように女性が自らを解放するにはまず自尊心の回復が必要だから、スペイン語圏のフェミニズムは第一に家父長制打倒を掲げる。 https://t.co/a28LbYdLZn
— ramonbook (@ramonbookprj) September 20, 2020
超保守的な村でリスの友人の母親は「魔女」と呼ばれる。シングルマザーでスピリティズム実践者という彼女は、教会と家族という二つの家父長制に背いているために共同体から疎外されるけど、彼女に癒しを求める女性がいるのは、カトリック信仰が女性に救済をもたらさないから。https://t.co/8TQRDB0Y9H
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スペインは信者の数は減っているものの、カトリックの価値観は根強く社会に残っている。私自身は保守的な村出身の同年代の元修道女と出会ったことが理解を深めるきっかけになった。バルセロナのような大都市は例外中の例外なので、バルセロナにいてもスペインはもちろん、カタルーニャも理解できない。
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アナキズムは自助組織を作るイメージがあるけど、19世紀のスペインではカトリック共同体が自助組織だった。教会を中心にする濃密な人間関係がベースの自助組織から疎外された人の受け皿になったのがアナキズムなので、アナキストが目指したのは個人的な人間の繋がりに拠らない相互扶助の「仕組み」。
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私たちの多くがイメージするアナキズムは1968年以降のもので、それ以前のアナキズムとは大きく異なる。私自身は国家の中で自治空間を運営するというサパティスタの印象が強すぎた。「相互扶助の仕組み」についてエマ・ゴールドマンは「私が信じるのは協同と連帯であって組織ではない」と説明している。
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私とイベリア半島の出会いはポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアなので、イベリア半島のアナキズムを指す「リベルタリオ」という言葉を最初に目にしたのは1998年にリスボンの書店で買ったペソアの著作『O Banqueiro Anarquista』の中。エスクード札にペソアの肖像画が描かれた表紙に惹かれて買った。 pic.twitter.com/I1bbsF6kpY
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邦訳も出てるペソアの『アナーキストの銀行家』の中で、元アナキストは書き手に対して「いかなる組織も圧制に終わる」と辛辣な批判を繰り広げる。20世紀のアナルコシンディカリズムを批判する銀行家が、元印刷工(19世紀のリベルタリオを象徴する職業)というのも示唆に富む。https://t.co/Roseduj8FN
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フェルナンド・ペソアは若い頃、親戚から転がり込んだ遺産で、リスボンに活版印刷所を開いた。すぐに潰してしまったそうだけど。英国領だった南アフリカで育ったので、得意の英語を活かして貿易事務の職に就き、事務員をしながら詩を書き続けたというのもリベルタリオっぽい。https://t.co/xd8t7KNWlE
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銀行とアナキストは水と油のようだけど、カタルーニャ最初の労働者組織は普段からお金を積み立てておいて失業や病気で働けない時に受け取る仕組み「共済基金」で、現在は大銀行。無償奉仕を讃えるのはブルジョワカトリックの価値観で、労働者にとって対価のない奉仕は不当な労働力の搾取でしかない。
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アナキストが国家、教会、家族に反対したのは、どれもが不当な搾取を行う仕組みだからで、家父長制はその仕組みを正当化する役割を担ってきた。賃金が存在する前から搾取の構造はあったので、賃金を否定して無償にしたところで搾取は無くならない。搾取がなくなれば賃労働はなくなるかもしれないけど。
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アナキストの理論で有名な「Amor Libre自由な愛」も同じ。テレザ・マニェ(フェデリカ・モンセンの母親)は、アナルキアが実現した時に可能となるのが「自由な愛」なので、現在の社会では実践不可能な愛の形と説明している。「自由な愛」の実践からアナルキアが生まれるわけではなく、これも順番が逆。
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