ヘッセン放送協会のおかげで正月を有意義に過ごせました・・・YouTubeにあるhr交響楽団のライヴ動画

ドイツにはドイツ公共放送連盟(ARD: Arbeitsgemeinschaft der öffentlich-rechtlichen Rundfunkanstalten der Bundesrepublik Deutschland)というのがドイツ国内に9つある地方公共放送団体を統括していて、ナチスの悪妙なメディア世論操作への反省から連邦政府が放送に介入できない一方で、放送行政はドイツ各州の所管というシステムになっているそうです。

そして、9つの地方公共放送団体がそれぞれにオーケストラを設立して運営しているのですが、有名どころですとバイエルン放送交響楽団、ベルリン放送交響楽団、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団(旧称:ハンブルク北ドイツ放送交響楽団)等々。ただし昨今の財政難から放送局所属のオーケストラも統廃合が起きてしまってるのは、さしものクラシック大国ドイツでもいろいろと大変なんだなぁ・・・と。

で、“hr交響楽団(hr-Sinfonieorchester)”[https://www.hr-sinfonieorchester.de/]。フランクフルトに本部を置くヘッセン放送協会(hr: Hessischer Rundfunk)所属のオーケストラで、2005年に今の名前に改称される前はフランクフルト放送交響楽団と称していて、前世紀末に日本のDENONレーベルによる優れた録音で当時の首席指揮者エリアフ・インバルとマーラーの交響曲全集をリリースしていたのは、往年のファンの知るところですね。ただ名前がhr交響楽団ではドイツ国外の人から見たら???となりそうだからなのか、2015年から国際公式名をFrankfurt Radio Symphony(日本語では昔と同じフランクフルト放送交響楽団ですが、旧称のドイツ語はRadio Sinfonieorchester Frankfurt、英語でFrankfurt Radio Symphony Orchestra)にしているようです。首席指揮者は2006–2013年のパーヴォ・ヤルヴィ(現名誉指揮者)の跡を引き継いで、2014年より1977年コロンビア生まれのアンドレス・オロスコ=エストラーダが務めています。ヒューストン交響楽団の音楽監督と兼任ですが、PentaToneレーベルからヒューストン響とのコンビでドヴォルザークの交響曲6・7・8・9番やハイドンの『天地創造』など、hr交響楽団とはリヒャルト・シュトラウスのアルプス交響曲や『英雄の生涯』、歌劇『サロメ』などを全てハイブリッドSACDでリリースしていて、どれも一定の高評価を得られているようです。

それにしても、公共放送だから定期演奏会を毎回TVカメラ撮りしているのは当然にしても、惜しげもなくYouTubeに公式チャンネル作ってアップロードしているのは凄い太っ腹ですね。どこぞの低レベルな犬HKとは大違いwww 直近のアップが2週間以上前の12月14日に催された演奏会で、プログラムが
・シューベルト:ヴァイオリンと弦楽のためのロンド
・イェルク・ヴィトマン:ヴァイオリン協奏曲第2番(※サントリーホールからの委託作、2018年8月31日に世界初演)
・シューベルト:交響曲ハ長調『ザ・グレイト』
なのですが、開演始めから見ることができます。まず楽団員が一斉に出てきて観客が拍手で迎えるのは今の京響定期のスタイルと同じだなぁ〜とか(欧州でのこういう習慣を京響も今シーズンからやってみたとかかしら?)、イェルク・ヴィトマンの新作コンチェルトはサントリーホールでの世界初演の際には作曲者自身の指揮でオケが東京都交響楽団、ソリストが妹のカロリン・ヴィトマンだったけど、ドイツでの初演にあたるhr交響楽団とのこの演奏会にもカロリン・ヴィトマンが客演してます。

他にもいろいろと数多くありますし、なによりタダで観れるので、興味のある方はぜひどうぞ。
↓↓
hr-Sinfonieorchester – Frankfurt Radio Symphony 【YouTube公式チャンネル】
https://www.youtube.com/user/hrSinfonieorchester

ちなみに欧州の経済都市フランクフルトにはフル編成のオケが2つあって、1つはこのhr交響楽団(フランクフルト放送交響楽団)、もう1つはフランクフルト・ムゼウム管弦楽団(フランクフルト歌劇場管弦楽団)で、こちらはフランクフルト歌劇場GMDを10年以上務めてるセバスティアン・ヴァイグレがシェフです。200年以上の歴史を持つフランクフルト歌劇場、レコードとかCDとかに名前を見ることがとても少ないので、日本ではあまり馴染みがないと思うのですが、ヴァイグレが音楽総監督に就いてからドイツのOpernwelt誌[http://www.opernwelt.de/]が毎年選出する年間最優秀オペラ座に昨シーズンと2014/2015シーズンの2回選ばれてることもあり、その実力はオペラファンでは知る人ぞ知る、みたいな感じでしょうか。

それはさておき、この正月3が日で視聴したのをツイートしてみたので、ここにも貼っておきます。ヘッセン放送協会に感謝を!w