リスト:巡礼の年/ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)

今年が生誕200周年というメモリアル・イヤーということで、年初のウィーン・フィルのニューイヤーでも採りあげられるほど何かと演奏機会の多かったリストですが、正直私はあまり好んで聴いてる作曲家ではありません(苦笑)。そんなしとらすがわりによく聴いている数少ないリストのCDがこれ。

 

リスト:巡礼の年(全曲)/ニコラ・アンゲリッシュ【Mirare】
フランツ・リスト
・巡礼の年 第1年「スイス」 S.160
・巡礼の年 第2年「イタリア」 S.161
・巡礼の年 第2年補遺「ヴェネツィアとナポリ」 S.162
・巡礼の年 第3年 S.163
ピアノ:ニコラ・アンゲリッシュ
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リストの『巡礼の年』は「イタリア」を生で聴いたことがあって、それで気に入った曲なのですが、このCDは当時ピアニストの名前を全然知らずに、Mimareが出す新譜というのでこのレーベルの目利きを信用して購入したものです。結果的には大当たりでホッとしたものです(笑)。
ニコラ・アンゲリッシュ、1970年生まれのフランスのピアニスト。時折来日もしてるそうですが私は聴いたことがありません(このCD買うまで名前知らなかったくらいなので)。リストの曲って私にはどうにも必要以上に大仰に聴こえる印象で、食指が伸びないのもそれが理由なのですが、このアンゲリッシュの演奏は繊細で美しい音色に加え技巧と造形に優れているのはもちろん、スコアが表現せんとする風景と印象の描写に徹しているようなところがあるのが素晴らしいところだと思います。
特に秀逸なのが「イタリア」でしょうか。私自身が好きな曲だからということもあるのですが、己をひけらかすところが全く無い、それでいて深みのある演奏なので、何度聴いても飽きることがありません。
ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノフェスティバル(南フランスはプロヴァンス地方のフロラン城庭園という場所の野外ステージで毎年開催されてるそう)にアンゲリッシュが出演して『巡礼の年』を弾いている映像があります。日付らしい表記からすると今年の夏でしょうか?野外コンサートなので音響云々は期待できませんが、どんなピアニストがどんな演奏をするのか、それを知るには充分すぎる映像だと思います。下記のページで見ることができます(ただし全部フランス語なのであしからず)ので、これを見て購入検討の材料にしてもいいのではないでしょうか。
ARTE Live Web:Les années de pélerinage de Liszt par Nicholas Angelich
http://liveweb.arte.tv/fr/video/Les_annees_de_pelerinage_Liszt_Nicholas_Angelich/
それでは、みなさま、よいお年を。

Mimare[http://www.mirare.fr/]はラ・フォル・ジュルネ音楽祭のアーティスティック・ディレクターであるルネ・マルタンが主宰するフランスのレーベルです。私はフランスのクラヴサン奏者であるピエール・アンタイが録音したゴルトベルク変奏曲やスカルラッティのソナタ集で名前を知ったので、古楽系が多い印象だったのですが、調べてみたらそんなことなかったですね(笑)。あ、でも起用している音楽家はフランス人っぽい名前の人が多いかしら?でも録音良し、実力派揃い良しで信頼できるレーベルだと思います。

P.S. YouTube探したらブラームスの2番コンチェルトのプロモーションビデオもありました。英語ですけどアンゲリッシュだけでなくパーヴォ・ヤルヴィのインタビューもあります。