ブラームス全集&ドヴォルザーク全集/スウィトナー&シュターツカペレ・ベルリン

今日のN響アワーはスウィトナーさんの追悼特集でした。メインがブラームスの3番でしたので、せっかくですし手兵のシュターツカペレ・ベルリンとの録音に触れてみたいと思いますが、ドヴォルザークの全集と8枚組のセットになった廉価盤が出ていますので、併せて軽く触れておくこととします。

★ブラームス:交響曲全集、ドヴォルザーク:交響曲全集
 /オトマール・スウィトナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン【Berlin Classics】
《収録曲》
ブラームス:交響曲全集
・交響曲第1番ハ短調 op.68
・交響曲第2番二長調 op.73
・交響曲第3番ヘ長調 op.90
・交響曲第4番ホ短調 op.98
 録音:1984-86年 ベルリン、キリスト教会[ステレオ]
ドヴォルザーク:交響曲全集
・交響曲第1番ハ短調 op.3『ズロニツェの鐘』
・交響曲第2番変ロ長調 op.4
・交響曲第3番変ホ長調 op.10
・交響曲第4番ニ短調 op.13
・交響曲第5番ヘ長調 op.76
・交響曲第6番ニ長調 op.60
・交響曲第7番ニ短調 op.70
・交響曲第8番ト長調 op.88
・交響曲第9番ホ短調 op.95『新世界より』
 録音:1977-81年 ベルリン、キリスト教会[ステレオ]
・ブラームス全集→http://ml.naxos.jp/album/0013502BC
・ドヴォルザーク全集→http://ml.naxos.jp/album/0002782CCC

第一印象は
「なんて温かいブラームスなんだろう」
響きも演奏もいわゆる木の温もりってやつでして。そして1番から4番まで通して聴いても全然聴き疲れしなくて、また最初から聴いてみようかなぁ~という気にさせられる演奏。ブラームスはあまり好んで聴く方じゃありませんので、こう思うのだけでも珍しいんですよ、しとらすにとっては。1・2番はともかく3・4番なんて気難しい一面が鼻につくこともありますし(苦笑)。
ブラームスの全集は手元にはカラヤンとベルリン・フィルのコンビのがありますが、確かにオケはめちゃ上手いし演奏もとにかくゴージャスで光り輝いているという感じで、大変優れたものだと思います。ですが4曲を1回通して、また繰り返して聴こうとまでは思わない。フルトヴェングラーも今は手元にないですが4曲とも聴いたことがあって、2番があの亡命直前のウィーン・フィルとのライヴ、1・3・4番は戦後のベルリン・フィルとのもの。で、彼のブラームスってこれだけが他よりも突出して超越しているのと、全てにおいて完璧でかつ表現の起伏が激しいのと。さらに2番のライヴが顕著ですが、もう神懸っているとすら思えるほどですよね。スピーカーの前に襟を正して跪くしかないような・・・。
同じ独墺系でもスウィトナーさんのはまたタイプが違って、木の温もりと人の温かみを感じるもの。だからといって、決してヌルくはないんですよね。時に厳しさも垣間見せますし、2番の終楽章ではラストに向かってアッチェレランドで畳み掛けていく(オケが速さに追いつけなくなりかけるほど)など情熱的で激しい部分もしばしば見られます。だから退屈しないでアっという間に聴き終えてしまうんでしょうね。N響アワーで放送されたものよりも数年前の録音ですが、演奏自体は随分と練りこまれたものなのに年齢的にはかなり若いようにも感じました。
さて、ドヴォルザークの方はというと、全曲通して聴いたのはこれが初めてでした。しとらすが個人的に好きな8番はともかく、初期のなんてまず食指が動きませんし(をい)。それで感想はというと、ボヘミアの薫りこそありませんが、それ以外に交響曲に必要なものはキチンと揃ってます、というところでしょうか。ドイツらしくカチッとした印象ですね。“ボヘミアの薫り”の有無をどう捉えるかだと思いますが、しとらすからしたら8番はちょっとドライに感じたかも。でもだからこそドヴォルザークの交響曲作品の素の部分を見るという点ではいいのではないでしょうか。