ナクソス・ジャパンのツイートで今日が命日というのでデンマークの後期ロマン派の作曲家ルーズ・ランゴーのディスクが紹介されていたのですが、ふだんなら誕生日とか命日とか気にも止めないところなのですが、そこに指揮者ダウスゴーの名前があったからには見逃すわけにもいかず、試しに聴いてみたら諸々の理由でなかなかにユニークな印象を受けたので、ここでも簡単に触れることにしました。
★ランゴー:交響曲全集/ダウスゴー&デンマーク国立交響楽団、他(7枚組)【Dacapo】[Hybrid SACD]
ルーズ・ランゴー:交響曲全集
〈CD 1〉
・交響曲第1番「岩の田園詩」 (2007年5月12-18日録音)
〈CD 2〉
・交響曲第2番「春の目覚め」 BVN 53 〔※1912-14年原典版、世界初録音〕(2006年6月6-9日録音)
・交響曲第3番 BVN 96 (2006年6月12-14日録音)
〈CD 3〉
・交響曲第4番「落葉」 BVN 124 (2001年8月21-22日録音)
・交響曲第5番・ヴァージョン1 BVN 191 〔※世界初録音〕(2001年8月23日録音)
・交響曲第5番・ヴァージョン2「夏の伝説の戯曲」 BVN 216 (1999年6月17,21日録音)
〈CD 4〉
・交響曲第6番「天国強襲」 BVN 165 (1998年8月18,21-22日録音)
・交響曲第7番 BVN 188 (2000年4月7-10日録音)
・交響曲第8番「アメリエンボーの思い出」 BVN 193 (2000年6月21-23日,8月15日録音)
〈CD 5〉
・交響曲第9番「ダウマー王妃の街から」 BVN 282 (1999年4月7-8日録音)
・交響曲第10番「向こうに見える雷の住みか」 BVN 298 (1999年1月12-13日録音)
・交響曲第11番「イクシオン」 BVN 303 (1999年6月23日録音)
〈CD 6〉
・交響曲第12番「ヘルシングボリ」 (2004年10月29日録音)
・交響曲第13番「不信心」 (2006年6月15-16日録音)
・交響曲第14番「朝」 (2006年6月9-10日録音)
〈CD 7〉
・ドラパ〜エドヴァルド・グリーグの死に〜 BVN 20
・スフィンクス BVN 37
・ヴィズビェア頌歌 BVN 343 〔※世界初録音〕
・デンマーク放送 BVN 351 〔※世界初録音〕
・常軌を逸したこと!? BVN 354 〔※世界初録音〕
・交響曲第15番「海の嵐」 BVN 375
・交響曲第16番「太陽の氾濫」 BVN 417
(2004年10月27-30日、2006年6月10日・16日、2007年5月11日、2008年6月5-6日録音)
指揮:トーマス・ダウスゴー
管弦楽:デンマーク国立交響楽団
合唱:デンマーク国立合唱団、デンマーク国立声楽アンサンブル[BVN 343、BVN 354、交響曲第15番]
ピアノ:ペア・サロ[交響曲第3番]
ソプラノ:インガー・ダム=イエンセン[交響曲第2番]
バリトン:ヨハン・ロイター[交響曲第15番]
録音場所:デンマーク放送コンサートホール
※元は10年近くかけて分配されていたのでNMLのリストでは下記のようになっています。
→CD 1 http://ml.naxos.jp/album/6.220525
→CD 2 http://ml.naxos.jp/album/6.220516
→CD 3 http://ml.naxos.jp/album/8.224215
→CD 4 http://ml.naxos.jp/album/8.224180
→CD 5 http://ml.naxos.jp/album/8.224182
→CD 6 http://ml.naxos.jp/album/6.220517
→CD 7 http://ml.naxos.jp/album/6.220519
リヒャルト・シュトラウスに影響を受けた管弦楽法の大家と言われるだけのことはあって、ランゴーの交響曲自体はどれもオーケストレーションに秀でていて、ワーグナーやリヒャルト・シュトラウスが好きな人なら比較的馴染みやすい類のものだと思います。サブタイトルに拘らずに先入観無しで聴けばいいのではないでしょうか。
ただ、“交響曲”と呼ぶにはあまりにフリーダムというか、1・2・3番はまぁシンフォニーっぽい形になってますが、4番以降は他の作曲家なら交響詩とかにするか、いっそのことその手の分類名を一切付けないかの曲にまで“交響曲”と名付けているので、中には11・12番みたいに「え?」とツッコみたくなるのもあります。ですが、敢えて言うなら
・・・ってやつです(笑)。
完成まで10年を要しているのでSACDで聴くなら音質のバラツキが多少は気になるかもしれませんが、演奏自体はダウスゴーのタクトのもとでデンマーク国立交響楽団(=DR放送交響楽団、デンマーク放送局専属のファースト・オーケストラ)が精緻なアンサンブルで、それぞれの曲に見合った表情のヴァリエーションに富んだ音楽を聴かせてくれています。ランゴー自身が故国デンマークでもかなり遅れて再評価された経緯があるそうで、時間を取り戻すかのようなDacapoレーベルによるランゴー・ツィクルスは素晴らしい出来栄えだと感じました。