クリスマスをクリスマスらしく(雰囲気を大切に)過ごすための音楽を、ということで響きと旋律の素朴な美しさや親しみやすさからシャルパンティエを推してみようと思いますが、価格の面からも流通の面からも入手しやすいものとしてナクソスからリリースされているCDから選んでみました。まずはシャルパンティエの作品の中ではよく知られている『テ・デウム』と『真夜中のミサ曲』が含まれているものを。
★シャルパンティエ『真夜中のミサ曲』『テ・デウム』/ケヴィン・マロン&アラディア・アンサンブル【NAXOS】
マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ
・テ・デウム ニ長調 H.146
・主は言われた H.204
・真夜中のミサ曲 H.9
指揮:ケヴィン・マロン
演奏:アラディア・アンサンブル、他
→http://ml.naxos.jp/album/8.557229
ティンパニが随分張り切って叩いて(笑)始まっている『テ・デウム H.146』(シャルパンティエは何曲か『テ・デウム』という題の曲を書いているそうですが演奏機会の多いのはH.146という整理番号が付けられたニ長調のもの)ですけど、派手で華やかな曲ながらも繊細な美しい響きで演奏されるので、トランペットの高音とかも心地よく耳に入ってきます。
『真夜中のミサ曲』は当時のノエル(フランスに伝わるクリスマスの歌)のメロディーを借用したりしてるそうで、クラシック音楽にもキリスト教にも縁のない人にも親しみやすい作品だと思います。優しく暖かく響く音楽で、最後の「アニュス・デイ」なんて思わず口ずさみたくなります。合唱もいいですが素朴な音色の楽器も印象的ですね。“(クラシックの)宗教音楽”というフィルターを外して全ての前提も知識も抜きでぜひ聴いてみてほしいと思います。素朴で暖かく優しい響きに、きっと心が癒されるのではないでしょうか。
ちなみに、アラディア・アンサンブル[http://www.aradia.ca/]はカナダのトロントを拠点とする古楽器オケ、そして音楽監督のケヴィン・マロンは北アイルランド首都のベルファストの出身だそうです。このコンビでナクソスにヴィヴァルディやヘンデル、パーセルなど多数の録音を残しているようなので、時間があれば他にもいろいろ聴いてみたいですね。