京都には京響の他に京都フィルハーモニー室内合奏団[http://kyophil.com/](以下、京フィル)という小編成のオーケストラがありまして、時々ユニークなプログラミングで定期公演をやったりしてるので長いこと興味は持っていたのですが、なかなか機会に恵まれず、これまで演奏会に行ったことがありませんでした。その京フィルの第189回定期公演が明日あるのですが、プログラムがチャイコフスキーの『フィレンツェの思い出』とヒナステラの協奏的変奏曲の2曲でして、前者は私が個人的にチャイコフスキーの作品の中でも1・2を争うほど気に入ってる曲で、後者はまず生演奏で聴く機会がないであろう曲ということで、お小遣いをちょっと奮発して(笑)チケット買いました。
で、『フィレンツェの思い出』は今更なのでいいとして、アルゼンチンの作曲家ヒナステラはこれまで私にとっては名前を知ってる程度の馴染みのない作曲家ですので、どんな音楽かと思いNMLのリストを検索して見つけたのか下に挙げるディスクです。
★ヒナステラ:カザルスの主題による変奏曲、協奏的変奏曲/ジセル・ベン=ドール&ロンドン響、他【NAXOS】
アルベルト・エバリスト・ヒナステラ
・パブロ・カザルスの主題による変奏曲 Op.48~管弦楽のための
・協奏的変奏曲 Op.23
・パブロ・カザルスの主題による変奏曲 Op.46~弦楽五重奏と弦楽オーケストラのための
指揮:ジセル・ベン=ドール
管弦楽:ロンドン交響楽団、イスラエル室内管弦楽団[※協奏的変奏曲]
録音時期:1995年1月、1994年7月[※協奏的変奏曲]
録音場所:ロンドン、アビーロード・スタジオ;テル・アヴィヴ、マン・オーディトリアム[※協奏的変奏曲]
→http://ml.naxos.jp/album/8.572249
収録されている3曲のうち2曲は同じものです。まずカザルスの生誕100周年の記念祝賀祭のために作品46が作曲され、当時ワシントン・ナショナル交響楽団の音楽監督だったロストロポーヴィチがこの曲を世界初演したいと申し出たのでフル・オーケストラ用に管弦楽版のアレンジをしたのが作品48なのだそうです。カザルスに因んだいろんなフレーズが郷愁や何かしらの想いをかきたてるのと管楽器の有無をそれぞれに活かした2作品を聴き比べられる趣向も面白かったです。
そしてカザルスの変奏曲の2つの版に挟まれた協奏的変奏曲ですが、25分弱の曲が12の部分で構成されているのですが、1つ1つの短いヴァリエーションがめくるめくる感じが好印象なのと、中に挟まれている7つの変奏曲にはそれぞれフルート、クラリネット、ヴィオラ、オーボエとファゴット、トランペットとトロンボーン、ヴァイオリン、ホルンと中心になる楽器があって面白いですし、最後は全部揃っての華やかな音楽で締めくくられるという、ちょっとエスプリを効かせたユニークな曲です。ただし、意外に演奏者のミスが目立ちやすいところも見受けられましたので、明日の京フィルがどんな演奏を見せてくれるのか期待したいですね。
ロンドン響とイスラエル室内管の2つのオケを指揮しているジセル・ベン=ドールという人はウルグアイ出身の左利きの女性指揮者だそうですが、ここでの彼女のタクトはヴィヴィットでリズム感のキレがよく、クリアながらもラテンっぽいパワフルさを感じさせる音楽を作っていると思います。ヒナステラのサウンドによく合っているように感じました。