昨日はアルベニス、今日はグラナドス。彼の作品をこうしてじっくり聴くのは初めてかも?おかげで良い思いができましたが。
さて、NAXOSレーベルでグラナドスの録音を残しているダグラス・リヴァというピアニスト、見るからにアメリカあたりにいそうな名前=スペイン人じゃない(だからスペイン独特のリズム感を熟知しているかどうか不安)、ってんで初めて見た時はどうかと思ったんですが、グラナドスの代表作とされるスペイン舞曲集やゴイェスカスを聴いているうちに、私の先入観が間違ってたことを思い知る羽目に(苦笑)。
このおっちゃんピアニスト、ググってみると単に弾くだけでなしにグラナドス研究の分野では一目置かれる存在らしくて、例えばピアノとオルガン・合唱のための作品『星の歌』が初演以降数々の不運が重なって自筆楽譜が傷んだ上に所有権関係がグチャグチャになっていたのを、作曲者の末娘夫婦から依頼を受けて自筆譜の入手から校正を経て出版にまで持っていって、96年ぶりとなった再演コンサートでもピアノを担当したというエピソードがあるそうで(詳細はこちらのブログ記事をどうぞ→『福島睦美の地中海サロン』「≪星の歌 Cant de les estrelles≫~初演から約100年後の出版と録音」)、時には強い引きというか凄い演奏家を持ってくるNAXOSにはこういった侮れないところがあるんですよね。
そのダグラス・リヴァによるグラナドスの演奏は彼の作品に込められている、スペイン的なリズムや旋律の中に潜むショパンのような詩的でロマンティックな側面をジワッと浮かび上がらせるような、第一印象でのインパクトは派手でないにしろ、聴いていくうちに徐々にそういったものが見えてくるという、とても味わい深いピアノだと思います。
強引にスペイン風なものを押し出すわけでも叙情的な部分を強調するわけでもなく、長年作曲者のスコアと正対して向き合ってきた人ならではの正統派的な熟練さによる音楽の深みを垣間見たような気がしました。
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.1 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・12のスペイン舞曲集 Op.37
・ホタ・ヴァレンシアにおける即興曲[※オーガスティン・M・マルティネスによる採譜]
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2009年3月26,27日
録音場所:イギリス、サフォーク州ウェストルトン、ポットン・ホール
→http://ml.naxos.jp/album/8.572313
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.2 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・組曲『ゴイェスカス』
1.愛の言葉
2.窓辺の語らい
3.燈し火のファンダンゴ
4.嘆き、またはマハと夜鳴きうぐいす
5.愛と死
6.終曲〈幽霊のセレナード〉
7.わら人形
8.ゴヤ風のセレナード
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:1998年4月22,23日
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.554403
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.3 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・前奏曲ヘ長調
・ゆっくりした舞曲
・組曲『ロマンティックな情景』
・舟歌
・スペイン奇想曲
・祈りの書
・風景
・アレグロ・アパッショナート
・演奏会用アレグロ
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:1999年5月13,17,18日
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.554628
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.4 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・ロマンティックなワルツ集
・キューバ風に
・若き日の物語
・付随音楽『アルカリアの蜂蜜』〜ホタ
・詩的なワルツ集
・アラゴン狂詩曲
・子供の情景
・幽霊
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:1999年5月
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.554629
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.5 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・アルベニス作「アスレーホス」[※グラナドス編曲]
・演奏会用ワルツ
・牧場にて
・詩的な情景
・シェヘラザードの幻想
・アラベスカ
・アラブの歌
・ムーア風舞曲
・ムーアの歌
・オリエンタル
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2000年6月26,27日
録音場所:イギリス、サフォーク州ダンウィッチ、ポットン・ホール
→http://ml.naxos.jp/album/8.555325
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.6 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・スペイン民謡による6つの小品
・エリセンダの庭
・パランダ - ムルシア
・6つの表情的練習曲~パストラール
・性格的な舞曲
・サルダーナ
・セレナード
・ハカラ
・海の中の魔法の宮殿
・3つの即興曲
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2000年11月18,20日
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.555723
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.7 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・感傷的なワルツ
・7つの練習曲
・6つの表情的練習曲
・スケッチ:小品からのコレクション
・エクスキーズ…!ワルツ・ツィガーヌ
・死者のための讃歌
・恋文(心のワルツ)
・昔風に - ブレー
・メヌエット
・ゴンドラ - 詩的な情景
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2002年8月5-8日
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.557141
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.8 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・カレッサ・ワルツ
・ドローラ
・クロティルデ
・人魚
・森にて
・ロイヤル・マーチ
・厚紙の兵隊
・エルヴィラ
・旋律のアルバム、パリ、1888年
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2002年8月5-8日
録音場所:イギリス、ハンプシャー州イースト・ウッドヘイ、セント・マーティン教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.557142
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.9 /ダグラス・リヴァ(ピアノ) (2CD)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・スカルラッティの26のソナタ
ピアノ:ダグラス・リヴァ
録音時期:2005年8月2-5日、2006年10月4日
録音場所:イギリス、サフォーク州ウェストルトン、ポットン・ホール
→http://ml.naxos.jp/album/8.557939-40
★グラナドス:ピアノ作品集 Vol.10 /ダグラス・リヴァ(ピアノ)【NAXOS】
エンリケ・グラナドス
・歌劇『ゴイェスカス』〜間奏曲(ピアノ独奏のための)
・メロディ
・マズルカ・アッラ・ポラッカ
・マズルカ イ短調
・アンダンティーノ・エスプレッシーヴォ
・アンダルーシア・ペテネーラ
・漁師の歌
・子守歌
・3つの軍隊行進曲
・村にて – 詩曲
・2つの軍隊行進曲
・アルベニス『イベリア』第2集〜「トリアーナ」[※グラナドスによる2台ピアノ編曲版]
ピアノ:ダグラス・リヴァ
第2ピアノ:ホルディ・マソ(村にて、2つの軍隊行進曲、トリアーナ)
録音時期:2006年10月2-3日
録音場所:イギリス、サフォーク州ウェストルトン、ポットン・ホール
→http://ml.naxos.jp/album/8.570325
ところで、前述した『星の歌』に関しては再演時のライヴ録音がちゃっかり残っています。他にパブロ・カザルスなどカタルーニャ系の音楽家に焦点を当てたプログラミングのコンサートだったようで、なかなか興味深いディスクです。
★星々の歌〜近代カタルーニャの作品集/ヴォイシズ・オブ・アセンション・コーラス、他【NAXOS】
パブロ・カザルス
・マリアの薔薇の花冠
・きっと、とりなし給え 聖母マリアよ
エンリケ・グラナドス
・サルヴェ・レジーナ
パブロ・カザルス
・われは黒けれど
エンリク・モレーラ
・ナイチンゲール[※世界初録音]
エンリケ・グラナドス
・ロマンス
エンリク・モレーラ
・アヴェ・マリア[※世界初録音]
エンリケ・グラナドス
・宗教的情景[※世界初録音]
マヌエル・ブランカフォルト
・愛の歌[※世界初録音]
マヌエル・オルトラ
・3つの愛の歌〜第2番:エコー、第3番:前奏曲[※世界初録音]
エンリケ・グラナドス
・星々の歌[※世界初録音]
指揮:デニス・キーン
合唱:ヴォイシズ・オブ・アセンション・コーラス
ソプラノ:エレーナ・ウィリアムソン、ヒラリー・リョン(マリアの薔薇の花冠);メリッサ・ケリー(アヴェ・マリア)
オルガン:マーク・クルチェク
ピアノ:ダグラス・リヴァ
ヴァイオリン:エリカ・キーセウェッター
録音時期:2007年3月21,22,24日
録音場所:ニューヨーク、昇天教会
→http://ml.naxos.jp/album/8.570533