NMLでは毎月1日に自社レーベルのディスクをまとめて登録しますが、今月というか今日登録された中にホルディ・マソによるトゥリーナのピアノ作品集の9作目がありました。以前ここで紹介した時には第1〜7集までで第8集にはまだ触れていませんでしたので、まとめて挙げておこうと思います。
まず第8集。これまでリリースされてたディスクはそれぞれに大まかなテーマ性を持たせた選曲になっていると以前申し上げたと思うのですが、1920年代半ばと1940年代前半の作品2曲ずつを収録したこのアルバムは、アンダルシアの風景をそれぞれに描いているというか、都会的ではなくやや土臭い田舎っぽさを漂わせている印象がしますが、そこは典型的な地中海性気候の土地柄、夏のまばゆい陽光が照りつける極彩色の明るさが随所に現れているように思います。
そして、今日付でNMLに登録された新譜の第9集は、さしずめセヴィリアをテーマにしていると見てもいいのではないでしょうか。曲名がそのままな『セヴィリアの街角』と『セヴィリアの通りに』はもちろんですが、『ヒラルダの伝説』もユネスコの世界遺産に登録されているセヴィリア大聖堂の鐘楼“ヒラルダの塔”に何らかの所縁を持足せた曲なのでしょうし(ちなみにスペイン語のgiralda=風見)、作品99の『コンテンプラシオン』も第3曲がセヴィリアの生んだスペイン画壇を代表する巨匠ディエゴ・ベラスケスをモチーフにしたと思わせるサブタイトルになっています。
ピアニストのホルディ・マソ[http://www.jordimaso.com/]の演奏もこれまで回を重ねてきただけあって、トゥリーナの作風に合わせた明るめの上品な響きとリズム感の良さに磨きがかかり、安定感も増して詩的な雰囲気に満ちた音楽を奏でている印象です。続編がどこまで続くのかわかりませんが、マソによるトゥリーナ・ツィクルスのプロジェクトが無事完成することを願うのみです。
★トゥリーナ:ピアノ作品集 Vol.8 /ホルディ・マソ(ピアノ)【NAXOS】
ホアキン・トゥリーナ
・アンダルシアの庭 Op.31
・サンタ・クルス街 Op.33
・アンダルシアのミューズたち Op.93〜1.クリオ、7.ウラニア、8.テルプシコレ
・農場にて Op.92
ピアノ:ホルディ・マソ
録音時期:2011年2月26-27日
録音場所:カタルーニャ州ジローナ県ヤフレ、アウディトリアム
→http://ml.naxos.jp/album/8.572682
★トゥリーナ:ピアノ作品集 Vol.9 /ホルディ・マソ(ピアノ)【NAXOS】
ホアキン・トゥリーナ
・セヴィリアの街角 Op.5
・組曲『ヒラルダの伝説』 Op.40
・セヴィリアの通りに Op.96
・視点(Contemplación) Op.99
・ピアノのための版画『我が家のテラスにて』 Op.104
ピアノ:ホルディ・マソ
録音時期:2012年7月27-28日
録音場所:カタルーニャ州ジローナ県ヤフレ、アウディトリアム
→http://ml.naxos.jp/album/8.572915