NMLでは毎月1日に自社レーベルのディスクをまとめて登録しますが、今月というか今日登録された中で、しとらす的に注目したいディスクの2枚目がこちら。非常に珍しいイタリアものです。『ヴェネツィアの風景』という曲名とジャケット絵に興味が湧いて聴いてみたのですが、予想以上の良作だったので。
★マンチネッリ:ヴェネツィアの風景、他/ラ・ヴェッキア&ローマ交響楽団【NAXOS】
ルイージ・マンチネッリ
・ヴェネツィアの風景
・「クレオパトラの悲劇」のための6つの交響的間奏曲〜序曲、アクティウムの海戦
指揮:フランチェスコ・ラ・ヴェッキア
管弦楽:ローマ交響楽団
録音場所:ローマ、コンチリアツィオーネ・アウディトリウム
録音時期:2011年12月18-19日
→http://ml.naxos.jp/album/8.573074
ラ・ヴェッキアとローマ響のコンビはこれまでもNAXOSレーベルにアルフレード・カゼッラやジュゼッペ・マルトゥッチといった、あまり馴染みのないイタリアの作曲家の管弦楽作品を採り上げて録音してますけど、ルイージ・マンチネッリ(1848年2月5日-1921年2月2日)なんて作曲家の名前、これで初めて見ましたよ(笑)。ヴェリズモ・オペラ全盛期のイタリア音楽界にあってワーグナー主義の影響を受けた珍しいイタリア人音楽家だったようですが、「アクティウムの海戦」なんかは確かに多少そんな雰囲気を感じる曲ですね。
で、メインの『ヴェネツィアの風景』なんですが、ちょっと映画音楽っぽい華やかさと親しみやすさ、そして旋律の美しさがあって(かといって安っぽさは皆無)、後の世代であるレスピーギとはまた違った趣きの色彩感があって、全体的にとてもキラキラした印象のする音楽です。“アドリア海の女王”とまで呼ばれたヴェネツィア共和国の全盛期の輝きある栄光を偲ばせる、という表現ができるかな?そんな感じです。こういう埋もれた良曲を掘り起こして録音するのはNAXOSレーベルならではです。
演奏も変なクセがなくしっかりしたアンサンブルで、これらの曲の魅力を充分引き出したものとなっています。ローマ交響楽団[http://www.orchestrasinfonicadiroma.it/]は2002年創立のまだ若いオケのようですが、この録音で聴くかぎりでは悪くないレベルにあると思います。