ネットサーフィンしてて偶然BIS[http://www.bis.se/]からリリースされているアリオスティのストックホルム・ソナタ集を推しているページがいくつか目に止まり、このレーベルならNMLで聴けるから・・・と思って検索かけたらちゃんとありましたので、試しに聴いてみた次第です。
作曲者のアッティリオ・アリオスティは1666年生まれで1729年に亡くなったというイタリア人作曲家。
ジャケット絵を見ると“ストックホルム・ソナタ”とスウェーデンの首都名が冠されており、でも当時のスウェーデンを治めていたプファルツ王朝はググってみてもイタリア諸国家との接点がほとんど無さそうな感じ。“?”マークが頭にたくさん浮かびそうなところですが、少し調べてみると、北欧で最も重要なバロック音楽の作曲家と目されるストックホルム生まれのユーハン・ヘルミク・ルーマンが、1710年代に音楽学生としてロンドンに留学しヘンデルに師事していた頃にアリオスティの作品に触れ、書写してスウェーデンに持ち帰った経緯があってこの通称となったとかで、これらの曲の手稿譜のほとんどがスウェーデンの国立音楽図書館にしか存在してないそうです。
曲の通称の由来もですけど、録音してリリースしているのがスウェーデンの誇るクラシックレーベルというのも、また粋な感じがしますね。
まだ鉄道も飛行機もなかった時代、しかも直接の国交があったわけでもなかったはずなのに、南欧生まれの作曲家が書いたものが流れ流れて北欧の、しかもよりによって北欧のヴェネツィアと称される水の都ストックホルムの資料館に残されている・・・考えれば考えるほど一種のロマンを感じずにはいられません。
アルバムのジャケットにもそれぞれに情緒ある趣きを感じさせる風景を撮った写真が採用されていますね。
さて、肝心の音楽の方ですけど、ヴィオラ・ダモーレがメインの旋律を担当して通奏低音がそれに加わるという至ってシンプルな編成ですけど、叙情的な美しいメロディーを奏でる楽器が1人浮きすることなく他の楽器も巧みに絡ませてあり、どの作品も清楚で温もりある安らぎを私達に与えてくれる、とても聴きやすい曲になっているのではないでしょうか。
また、ヴァイオリンやヴィオラ・ダ・ブラッチョに比べると音域が低いヴィオラ・ダモーレがこれほど輝いて聴こえるのは、作曲家アリオスティの書法の巧みさもさることながら、この楽器を担当する演奏者トーマス・ゲオルギの技量が冴え渡っていることも大いに貢献していると思います。
速いテンポをとっている楽章でも軽々と弾いている様はスリリングでとても惹かれるものがありますね。
★アリオスティ:ストックホルム・ソナタ集 1 /トーマス・ゲオルギ、他【BIS】
アッティリオ・アリオスティ
・練習曲第1番 変ホ長調
・練習曲第2番 イ長調
・練習曲第3番 ホ長調
・練習曲第4番 ヘ長調
・練習曲第5番 ホ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第6番 ニ長調〔補完:トーマス・ゲオルギ〕
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第7番 ニ長調〔補完:トーマス・ゲオルギ〕
ヴィオラ・ダモーレ:トーマス・ゲオルギ
アーチリュート、テオルボ、バロック・ギター:ルーカス・ハリス
ヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオール:ジョエル・モートン
→http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-1535
★アリオスティ:ストックホルム・ソナタ集 2 /トーマス・ゲオルギ、他【BIS】
アッティリオ・アリオスティ
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第8番 ニ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第9番 ト短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第10番 ヘ長調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第11番 イ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第12番 ホ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第13番 ハ長調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第14番 変ホ長調
ヴィオラ・ダモーレ:トーマス・ゲオルギ
アーチリュート、バロック・ギター:ルーカス・ハリス
チェロ:ミメ・ヤマヒロ=ブリンクマン
→http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-1555
★アリオスティ:ストックホルム・ソナタ集 3 /トーマス・ゲオルギ、他【BIS】
アッティリオ・アリオスティ
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第15番 ヘ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第16番 ト長調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第17番 変ロ長調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第18番 ニ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第19番 イ短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第20番 ト短調
・ヴィオラ・ダモーレのためのソナタ第21番 イ短調
・カンタータ『やさしいアルフィンに』
ヴィオラ・ダモーレ:トーマス・ゲオルギ
アーチリュート、バロック・ギター:ルーカス・ハリス
チェロ:ミメ・ヤマヒロ=ブリンクマン
ソプラノ:エマ・カークビー(カンタータ『やさしいアルフィンに』)
→http://ml.naxos.jp/album/BIS-CD-1675