2つのシューマン交響曲全集/コンヴィチュニー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管、ダウスゴー&スウェーデン室内管

一昨年の京響定期で広上さんがシューマンの『ライン』を採り上げました(CD化されたこの演奏のこと)が、シューマンのシンフォニーってどうにもベタベタ重ね塗りな印象があって、それまでずっと遠ざけてきてたのですが、いい機会だからとNMLで探して聴き直してみたことがありました。先々週にツイッター上でベーレンライターさん(@Supraphon)がダウスゴーの名前を出された際に私が反応したことがありましたが、それはあの京響定期前にダウスゴー&スウェーデン室内管のシューマンを聴いてとても印象深くて気に入ったからです。ふとあの時のことを思い出しましたので、せっかくですから拙サイトでも少し採り上げてみることにしました。

 

シューマン:交響曲全集・序曲集
 /コンヴィチュニー&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管【Berlin Classics】

ロベルト・シューマン
・交響曲第1番変ロ長調 Op.38「春」
・交響曲第2番ハ長調 Op.61
・交響曲第3番変ホ長調 Op.97「ライン」
・交響曲第4番ニ短調 Op.120 〔※1841年初稿版〕
・序曲、スケルツォとフィナーレ ホ長調 Op.52
・歌劇『ゲノヴェーヴァ』Op.81〜序曲
・コンツェルトシュテュック ヘ長調 Op.86
・劇音楽『マンフレッド』Op.115〜序曲
指揮:フランツ・コンヴィチュニー
管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
0020162bc
http://ml.naxos.jp/album/0020162BC

 

さすが有名曲なだけあってNMLにも多数の録音が登録されていますが(フルトヴェングラーやトスカニーニなんてのもしっかりありますぜw)、その中で選んだのがコンヴィチュニー&ゲヴァントハウス管の演奏でした。ネットでググったら概ね高評価だったのと、コンヴィチュニー時代のゲヴァントハウス管の演奏は聴いたことがなかったので、どうせなら、と選んで聴いてみたのですが、これがメデタクしとらすにとっても大当たり(笑)。純粋に良い意味での“古くて新しい”というフレーズがピッタリくる印象でした。
先に『ライン』だけ聴いて、その後に1曲目から聴き直したのですが、その『ライン』が出だしから堂々としたものでメリハリもしっかりつけてあり、オーケストレーションの厚ぼったさがまるで感じられなかったんですよね。(旧東独のオケらしい)重厚で古風な響きに飾り気のまるで見られない解釈と、それが全く色褪せないまま今でも聴けてしまうのは、コンヴィチュニーと当時のゲヴァントハウス管の両方の実力あってこそなんでしょう。
そういえば当時のゲヴァントハウス管にはボッセさんがコンマスでいたんでしたっけ?そう思うと今聴き直しても改めて感慨深いものがあります。

 


 

交響曲第1番『春』 、ツヴィッカウ交響曲、他/ダウスゴー&スウェーデン室内管【BIS】 [Hybrid SACD]
ロベルト・シューマン
・交響曲第1番変ロ長調 Op.38「春」
・序曲「メッシーナの花嫁」 Op.100
・歌劇『ゲノヴェーヴァ』Op.81〜序曲
・ツヴィッカウ交響曲 ト短調〜第1楽章
・序曲、スケルツォとフィナーレ ホ長調 Op.52
指揮:トーマス・ダウスゴー
管弦楽:スウェーデン室内管弦楽団
Bissacd1569
http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1569

 

シューマン:交響曲第2番、第4番(初稿版)、他
 /ダウスゴー&スウェーデン室内管
【BIS】 [Hybrid SACD]
ロベルト・シューマン
・交響曲第2番ハ長調 Op.61
・ゲーテの「ファウスト」からの情景 WoO.3〜序曲
・序曲「ジュリアス・シーザー」 Op.128
・交響曲第4番ニ短調 Op.120 〔※1841年初稿版〕
指揮:トーマス・ダウスゴー
管弦楽:スウェーデン室内管弦楽団
Bissacd1519
http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1519

 

交響曲第3番『ライン』、第4番(改訂版)、他
 /ダウスゴー&スウェーデン室内管
【BIS】 [Hybrid SACD]
ロベルト・シューマン
・交響曲第3番変ホ長調 Op.97「ライン」
・劇音楽『マンフレッド』Op.115〜序曲
・序曲「ヘルマンとドロテア」 Op.136
・交響曲第4番ニ短調 Op.120 〔※1851年改訂版〕
指揮:トーマス・ダウスゴー
管弦楽:スウェーデン室内管弦楽団
Bissacd1619icon
http://ml.naxos.jp/album/BIS-SACD-1619

 

先日来日して新日フィルに客演したデンマークの指揮者トーマス・ダウスゴーが、スウェーデン室内管と組んで録音したシューマン・ツィクルスは3枚のSACDとしてリリースされています。BIS[http://www.bis.se/]が手がけてるので録音の良さは言うまでもないことで、4番は1841年の初稿版と1851年の改訂版を両方録音しています。
シューマンのシンフォニーにもピリオド的なアプローチの演奏がポツポツ出てるみたいだし・・・ということで聴いてみたのですが、何と言いますか、オフィスとか倉庫とか一旦中にあるものを全て外に出して不要な物はゴミに出しつつ整理整頓したら見違えるほどスッキリして仕事がスイスイ捗りました、と、敢えて言うならそんな感じ(笑)。小編成オケだからかもしれませんが見えないものまで見えてきてしまうような新鮮な響きに、切れ味の良さと人数を感じさせない力強さを感じる演奏です。おかげでダウスゴーという名前がしっかり私の頭の中に刻み込まれてしまいました(笑)。
先週の新日フィルとの初顔合わせも好評だったようで、どうせなら今度は東京じゃなくて京都に来てくれへんかなぁ〜と羨ましくなったりもw
余談ですけど、ジャケットの写真のチョイスもいいですね。どれもきれいな風景というだけでなく、中身の演奏とのマッチングをも考慮されてるように感じました。

※P.S. ググってダウスゴーのポートレイト拾ってきました↓
Thomas_dausgaard_ulla_by_carin_ekbl