バーゼル響の自主レーベルについて触れた時に思い出して、改めて聴き直してみたディスクです。
マーク・エルダーとハレ管のコンビによるドビュッシーの「海」、随分前に『「おかか1968」ダイアリー』というブログで採り上げられたのに興味を惹かれて聴いたのがキッカケです。
イギリスのオケの実力や自主レーベルの存在を知る最初のきっかけがフランスものという風変わりな経緯ですが(笑)。
★ドビュッシー:海、前奏曲集(マシューズ編)/エルダー&ハレ管【Hallé】
クロード・ドビュッシー
・『海』〈管弦楽のための3つの交響的素描〉
・前奏曲集〔※管弦楽編曲:コリン・マシューズ〕
〜霧
西風の見たもの
ミンストレル
カノープ(エジプトの壷)
音と香りは夕暮れの大気に漂う
ヴィーノの門
風変わりなラヴィーヌ将軍
枯葉、交代する三度
パックの踊り
野を渡る風
亜麻色の髪の乙女
指揮:サー・マーク・エルダー
管弦楽:ハレ管弦楽団
→http://ml.naxos.jp/album/CDHLL7513
演奏に関してはおかかさんのレビューに付け加えることがさほどありません。
私にとってドビュッシーの管弦楽曲はラヴェルのそれほどではなくともわりと好みがうるさい方だと思いますが、『海』でのエルダーとハレ管による演奏には充分満足できました。丁寧な音楽作りでスケールの大きい演奏で、ただブラスセクションの響きはやっぱり英国的な香りがして、どちらかというと北の地域の大洋を思わせる印象でしたが、初演当時に出版されたスコアの表紙には葛飾北斎の『冨嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」が使われてますので、その辺は・・・ね?w
そして『冥王星』の作曲者として知られるコリン・マシューズの編曲による前奏曲集ですが、録音はメルクル&リヨン国立管よりも先立って、こちらが世界初なのだそうです。
想像よりもドビュッシーの雰囲気を残したオーケストレーションに思えますし、「亜麻色の髪の乙女」でちょっと神秘的かつ母性的な雰囲気を漂わせているなど弦の使い方が印象に残りました(この弦の美しい響きはハレ管の実力の結果でもあるのでしょうけど)。
ところで、上記のディスクがリリースされた2年後の2009年にも同じコンビでドビュッシーの作品集がリリースされました。
収録曲は「遊戯」に加えてコリン・マシューズの編曲による前奏曲集などです。
こちらも丁寧で堅実な演奏で色彩感にも不足のないものとなっていて、オケと指揮者の充実ぶりが窺える録音ではないでしょうか。
★ドビュッシー:遊戯、前奏曲集(マシューズ編)/エルダー&ハレ管【Hallé】
クロード・ドビュッシー
・バレエ「遊戯」
・前奏曲集〔※管弦楽編曲:コリン・マシューズ〕
〜デルフィの舞姫
とだえたセレナード
雪の上の足跡
妖精たちはあでやかな踊り子
ヴェール(帆)
ピクウィック卿をたたえて
月の光が降り注ぐテラス
ヒースの荒野
水の精
アナカプリの丘
花火
沈める寺
コリン・マシューズ
・ポストリュード「ムッシュ・クロッシュ」
指揮:サー・マーク・エルダー
管弦楽:ハレ管弦楽団
→http://ml.naxos.jp/album/CDHLL7518