ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第5番、第8番/マーク・エルダー&ハレ管

今日付でNMLに登録されたハレ管弦楽団[http://www.halle.co.uk/]の自主レーベルの新譜。今回のはヴォーン=ウィリアムズの交響曲の5番と8番を収録したものです。

 

ヴォーン=ウィリアムズ:交響曲第5番、第8番/マーク・エルダー&ハレ管【Hallé】
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ
・交響曲第5番 ニ長調
・交響曲第8番 ニ短調
指揮:サー・マーク・エルダー
管弦楽:ハレ管弦楽団
録音時期:2011年11月9日(5番、ライヴ)、2012年2月3日(8番)
録音場所:マンチェスター、ブリッジ・ウォーター・ホール(5番)
     サルフォード、メディアシティUK・BBCスタジオ(8番)
http://ml.naxos.jp/album/CDHLL7533
Cdhll7533

 

ググってみて気がついたのですが、ヴォーン=ウィリアムズの8番シンフォニーってバルビローリに献呈された作品で、彼と手兵のハレ管によって1956年5月2日にマンチェスターで初演されたのだそうな。
それはさておき、両曲とも近年のこのコンビの充実ぶりをよく表した素晴らしい演奏だと思います。ライヴ収録された5番は頻出する弦セクションの旋律が柔和で穏やかなトーンでなんとも美しく奏でられていて、聴いていてもその心地好さがたまらず印象深いものとなっています。
8番は作曲や初演の経緯からいってもハレ管にとっては十八番と言ってもいいのでしょうか、30分にも満たない作品の中にもバルビローリ時代以来の第二の黄金期にあると呼び声高い現コンビの良いトコ取りが詰まっているような感じです。5番以上にブラスセクションが大活躍といった印象で、パーカッションも入って賑やかになる終楽章は上品な華やかさがあって楽しく聴けました。

 


 

エルダー&ハレ管によるヴォーン=ウィリアムズの録音はロンドン交響曲と劇音楽『すずめばち』とが既にリリースされています。前者はロンドンの多様な風景が音化された傑作を、丁寧で精緻な演奏によってロンドンの街並みが目に浮かぶような素晴らしいものとなっています。カップリングされたオーボエ協奏曲でもハレ管の弦セクションの良さと首席オーボエ奏者の力量が示された好演となっています。
また、後者の『すずめばち』は1909年にケンブリッジ大学でアリストファネスによるギリシャ喜劇『すずめばち』をギリシャ語上演するにあたって、ヴォーン・ウィリアムズに劇付随音楽の作曲が依頼され、誕生した作品だそうで、これまで組曲版の録音はあってもテノールとバリトンの独唱と男声合唱を必要とする全曲版での録音はなかったのだそうです。この録音はイギリスの演出家でありライターでもあるデヴィッド・パウントニーが新たに英語への翻訳とスコアの校訂を行い、BBCラジオ3の協力のもとで世界初全曲リリースが実現したのだとか。私は英語のヒアリング能力がゴニョゴニョ(苦笑)なのでナレーターが何を言ってるのかは聞き取れませんでしたけど、音楽だけ聴いていてもちょっとした遊び心が満載といった感じで結構楽しめました。

 

ヴォーン=ウィリアムズ:ロンドン交響曲、オーボエ協奏曲/マーク・エルダー&ハレ管【Hallé】
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ
・交響曲第2番『ロンドン交響曲』
・オーボエと弦楽合奏のための協奏曲 イ短調
指揮:サー・マーク・エルダー
管弦楽:ハレ管弦楽団
オーボエ:ステファン・ランクール(ハレ管弦楽団オーボエ首席奏者)
録音時期:2010年10月14日(ロンドン交響曲、ライヴ)、2010年6月23日
録音場所:マンチェスター、ブリッジ・ウォーター・ホール(ロンドン交響曲)、BBC第7スタジオ
http://ml.naxos.jp/album/CDHLL7529
Cdhll7529

 

 

ヴォーン=ウィリアムズ:劇音楽『すずめばち』/マーク・エルダー&ハレ管(2CD)【Hallé】
レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ
・付随音楽『すずめばち』〜アリストファネスの劇のための
 〔※デヴィッド・パウントニー校訂による英語全曲版、世界初録音〕
指揮:サー・マーク・エルダー
管弦楽:ハレ管弦楽団
合唱:ハレ合唱団
ナレーター:ヘンリー・グッドマン
録音時期:2005年7月26-28日
録音場所:ロイヤル・アルバート・ホール
http://ml.naxos.jp/album/CDHLD7510
Cdhld7510