カゼッラ:狂詩曲「イタリア」、交響曲第3番、他/ジャナンドレア・ノセダ&BBCフィル

NMLで月半ばという今の時期は大手・中堅どころのレーベルの新譜がドサッとまとめて登録されるのですが、今月はザッと見た感じでも個人的にいろいろ注目してみたいディスクが多いですね。どれを採り上げようか迷いますが、まずはChandos[http://www.chandos.net/]レーベルからリリースされた、ノセダとBBCフィルのコンビによるカゼッラの作品集から。

 

カゼッラ:狂詩曲「イタリア」、交響曲第3番、他/ジャナンドレア・ノセダ&BBCフィル【Chandos】
アルフレード・カゼッラ
・狂詩曲『イタリア』 Op.11
・序奏、コラールと行進曲 Op.57
・交響曲第3番『管弦楽のためのシンフォニア』 Op.63
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽:BBCフィルハーモニック
録音時期:2012年11月6-7日、2012年6月28日(狂詩曲『イタリア』)
録音場所:イギリス:サルフォード、メディアシティ
http://ml.naxos.jp/album/CHAN10768
Chan10768

 

1曲目の『イタリア』はスペインにおけるアルベニスの立ち位置をちょっと意識して書かれたらしいのですが、これの終楽章・・・あれ?どこかで聴いたことのある・・・って、まるっきり『フニクリ・フニクラ』。この歌のメロディーをベースにいろいろとアレンジを施してヴァリエーションを持たせているのですが、巧いことクライマックスを作っていくさまがとても面白かったです。
そしてメインとも言うべき交響曲第3番。シカゴ交響楽団の創立50周年記念にと第2代音楽監督のフレデリック・ストックから委嘱されて作曲(ちなみにストックから委嘱を受けたのはこれに限らずストラヴィンスキーの交響曲ハ調やコダーイの管弦楽のための協奏曲なども同様の事情で作曲されたもの)、1941年3月27日にストック指揮のシカゴ響で世界初演された経緯があるそうです。アメリカとイタリアが直接戦争状態に入ったのは日本軍の真珠湾攻撃以降なので、政治的に見るとかなり微妙なタイミングですね。
政治的事情を絡めると水量や憶測がいろいろできて長くなりそうなので、それはさておくとして、この曲、カゼッラの3番目の交響曲という以前にわざわざ“Sinfonia”(シンフォニア)という題を付けられているのがとても興味深いところです。後期ロマン派的な交響曲の延長線上にある作品として見るのではなく、17世紀後半から18世紀初頭にかけて流行っていたイタリア風序曲を『シンフォニア』と呼んでいたことを思い起こすと、凝縮されたカゼッラの個性がここに結実しているようにも感じます。ブラスセクションが大活躍する終楽章は急→緩→急と色彩感豊かに変化していく華やかさが、さながら万華鏡を見ているような印象でした。ノセダの冴え渡るタクトのもとでBBCフィルも好演奏を披露しています。

 


 

ところで、Chandosの公式サイト6月リリース予定の新譜の項目を見たところ、カゼッラのディスクには“ORCHESTRAL WORKS, VOLUME 3 (管弦楽作品集・第3集)”と書かれてありました。これまでノセダとBBCフィルによるカゼッラの過去2枚のディスクにはナンバリングがされていませんでしたから、もしかしたらこの後に第4弾・第5弾とシリーズ化することにしたのかな?と推測しているのですが、どうなんでしょう・・・?とりあえず、過去のリリース分も下記に挙げておきたいと思います。

 

カゼッラ:交響曲第2番、スカルラッティアーナ/ジャナンドレア・ノセダ&BBCフィル【Chandos】
アルフレード・カゼッラ
・交響曲第2番 Op.12
・スカルラッティアーナ Op.44
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽:BBCフィルハーモニック
ピアノ:マーティン・ラスコー[※スカルラッティアーナ]
録音時期:2009年11月12日(スカルラッティアーナ)、2010年1月12-13日(交響曲第2番)
録音場所:マンチェスター、新ブロードキャスティングハウス・第7スタジオ
http://ml.naxos.jp/album/CHAN10605
Chan10605

 


 

 

カゼッラ:管弦楽のための協奏曲、他/ジャナンドレア・ノセダ&BBCフィル【Chandos】
アルフレード・カゼッラ
・管弦楽のための協奏曲 Op.61
・深夜にて Op.30
・歌劇『蛇女』~交響的断章 第1番 Op.50bis
・歌劇『蛇女』~交響的断章 第2番 Op.50ter
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
管弦楽:BBCフィルハーモニック
ピアノ:マーティン・ラスコー〔※深夜にて〕
録音時期:2011年8月5日、11月22-23日
録音場所:イギリス:サルフォード、メディアシティ
http://ml.naxos.jp/album/CHAN10712
Chan10712