★弦楽のためのイギリス音楽(ホルスト『セント・ポール組曲』、エルガー『弦楽セレナード』、他)
/ジョージ・ハースト&ボーンマス・シンフォニエッタ【Chandos】
《収録曲》
・グスターヴ・ホルスト セント・ポール組曲 Op29-2
・エドワード・エルガー 弦楽セレナード ホ短調 Op.20
・ピーター・ウォーロック カプリオール組曲
・ジョン・アイアランド 田園協奏曲
ジョージ・ハースト指揮 ボーンマス・シンフォニエッタ
→http://ml.naxos.jp/album/CHAN8375
しとらすの青春時代の思い出の1枚です。決して大げさではなくて、高校を卒業してすぐ大学進学、そしてバイトを始めてステレオコンポ買ったりしたのですが(当時はCDプレーヤーだって今ほど安くはなかったんですよ・笑)、生まれて初めて買った輸入盤CDがこれだったんです。
このCDの最初の曲の『セント・ポール組曲』ですが、初めて聴いたのは高校の時にFMをエアチェックして。高校時代は3年間吹奏学部にいたのですが(しばらくして後輩達が全国大会まで行ったようですが私の頃はそこまでのレベルではなかった)、吹奏楽でホルストといえば『惑星』の他にも吹奏楽のための2種の組曲がとても有名で、ホルストには他にもこんな作品があるんだぁ~と雑誌をチェックして聴いたんだったのかしら?たぶん。
で、聴いてみてビックリ。ホルストがロンドン近郊のセント・ポール女学校の音楽教師(1905年から亡くなるまで勤めてたそうな)だった当時に、その勤務先の女学校のために作曲されたというこの曲、フィナーレが『吹奏楽のための第2組曲』のラストと同じなんです。後でわかったのですが、第2組曲のラスト「“ダーガソン”による幻想曲」を弦楽合奏にアレンジしたんだそうですね。ただ、吹奏楽の組曲が作品番号28、『セント・ポール組曲』は29-2なので、ほとんど同時期に書かれたのかもしれませんが・・・。
で、「ブラスのと同じたい」と気づいたと同時に全体を通して民謡風の親しみやすく美しいメロディーがふんだんに盛り込まれているのがとても気に入って、誰の演奏家もしっかり頭に残っていて、後年買った、というわけで。以来20年、大切にしっかり手元に残してます。
録音は1977年。エルガーの『弦楽セレナード』などとのカップリングですが、無名の団体とはいえ演奏水準はなかなかのレベルだと思いますし(残念ながら1999年に財政的理由で解散したそうですが)、何度聴いても決して飽きのこないオーソドックスで変な癖の無い演奏です。ホルストの『セント・ポール組曲』とエルガーの『弦楽セレナード』を両方楽しみたい時に候補に挙げてもいい1枚。他のカップリング2曲も日本ではあまり知られていないイギリスの作曲家による弦楽の小品ですが、聴いて損はない良曲だと思います。
Chandos(http://www.chandos.net/)に関してはもう今更ですよね?1979年にイギリスの実業家ブライアン・カズンズにより設立されて以来、英国を代表するクラシックレーベルとしてここまで大きく成長を遂げただけではなく、現在進行形でメジャーよりも元気だったりして(笑)。指揮者の尾高忠明さんや作曲家の吉松隆さんを筆頭に藤岡幸夫さんや田部京子さんらChandosと縁のある日本人の作曲家、指揮者、演奏家も多いですしね。
2005年にはクラシックレーベルとして初めてMP3形式でのダウンロード販売を開始していて、Chandosに限らずNaxosやLSO Live(ロンドン響の自主レーベル)など他レーベルの録音も扱ってます。
今後にますます幸あらんことを願って、ぜひ頑張って活動してほしいです。できたら、札響だけじゃなくて京響とも録音してくれると嬉しいなぁ(笑)。だって日本のレコード会社だと値段が高いばっかりで録音もパッとしないし。