オルウィン:交響曲全集、弦楽のためのシンフォニエッタ/ヒコックス&ロンドン響

以前にロッシーニの『スターバト・マーテル』に触れた際にリチャード・ヒコックスの演奏を採り上げましたが、それ以来この英国人指揮者に興味を持ち、幸いChandos[http://www.chandos.net/]の録音を残されてましたので、試しに聴いてみた次第です。オルウィンを選んだのはどうせなら今まで聴いたことのない作曲家からという天邪鬼な理由だったんですが(笑)、映画音楽を多数手がけている人のためか、それほどとっつきにくさは感じませんでした。

 

オルウィン:交響曲全集、弦楽のためのシンフォニエッタ/リチャード・ヒコックス&ロンドン響【Chandos】
ウィリアム・オルウィン
・交響曲第1番
・交響曲第2番
・交響曲第3番
・交響曲第4番
・交響曲第5番「Hydriotaphia(壷葬論)」
・弦楽のためのシンフォニエッタ
指揮:リチャード・ヒコックス
管弦楽:ロンドン交響楽団
Chan942931

http://ml.naxos.jp/album/CHAN9429-31

 

しとらす的にインパクトの大きかったのは1番シンフォニーでしょうか。「William Alwyn at MusicWeb International http://www.musicweb-international.com/alwyn/」というサイトでのデータによると作曲年が1949年(バルビローリによって初演され、そのまま彼に献呈されたそうです)、1905年生まれの彼が44歳の時ですから壮年期の作品ということでしょうか。時代的にも第2次大戦が終わってさぁこれからいう頃でしょうから、1番と番号が若いわりにとても充実した印象を受けますし前向きで意欲的なものを感じす。ブラスセクションが大活躍で、とても聴き映えのする曲でした(俗っぽい言い方を許してもらえるなら“カッコイイ”)。実演で聴いたらオケ次第でかなり圧倒されそうな気がします。
シンフォニー5曲のうち、5番のみ1973年とやや離れた年代の作品で、これだけ時間も短めです。副題に“Hydriotaphia”とあるのですが、17世紀の同国人の作家であるトーマス・ブラウンの著書に感化された曲らしいです。夏目漱石の『三四郎』を読んだことのある人ならトーマス・ブラウンの『壷葬論(Urn Burial or Hydriotaphia)』が引用されてるのでピンとくるものがあるのかもしれませんが、あいにく私は漱石が苦手でして・・・(苦笑)。
6曲とも欧州屈指のオケの1つであるロンドン響の演奏ということもあるのでしょうけど、難解そうな部分でも隅々まで整然とコントロールの行き届いた印象を受けました。交響曲だけでなくオルウィンの他の管弦楽作品や協奏曲・映画音楽を多数録音しているだけあって、自信を持って指揮されてるのでしょうね。中には長野五輪でのフィギュアで使用された曲もあるそうなので(「リラ・アンジェリカ」でしたっけ?別のかな?)、時間があればヒコックスの指揮によるオルウィンの他の録音もいろいろ聴いてみようと思います。