ラッブラ:交響曲全集/ヒコックス&BBCウェールズ・ナショナル管

以前紹介したオルウィンの交響曲全集とほぼ同時期に、ヒコックス繋がりで聴きはじめたものです。オルウィンとほぼ同時代を生きた(オルウィンが1905年11月7日-1985年9月11日、ラッブラは1901年5月23日-1986年2月14日)英国人作曲家ですが、随分と印象が異なるものでした。まぁ、どこの国だって十人十色は当てはまりますよね。同時代の英国の作曲家では他にも有名なウィリアム・ウォルトン(1902年3月29日-1983年3月8日)がいますよね。ウォルトンは来年2月の京響定期にエイドリアン・リーパーの指揮で1番シンフォニーが採り上げられて、楽しみな回の1つでもあります。

 

ラッブラ:交響曲全集/ヒコックス&BBCウェールズ・ナショナル管【Chandos】
エドムンド・ラッブラ
・交響曲第1番 op.44
・交響曲第2番 op.45
・交響曲第3番 op.49
・交響曲第4番 op.53
・交響曲第5番 op.63
・交響曲第6番 op.80
・交響曲第7番 op.88
・交響曲第8番 op.132
・交響曲第9番 op.140 “Sinfonia sacra”
・交響曲第10番「室内交響曲」 op.145
・交響曲第11番 op.153
指揮:リチャード・ヒコックス
管弦楽:BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団
 〔※交響曲第9番のみ〕
  ソプラノ:リン・ドーソン
  コントラルト:デッラ・ジョーンズ
  バリトン:スティーヴン・ロバーツ
  合唱:BBCウェールズ・ナショナル合唱団
Chan994448

http://ml.naxos.jp/album/CHAN9944-48

 

経歴を見るとホルストやRVWに師事したとありましたが、1948年にカトリックに改宗した敬虔なクリスチャンでもあったそうで、6番くらいまでは比較的地味で控えめな感じかなぁ・・・くらいにしか思ってなくて聴いてたんですけど、後の作品になるほど形式がこれまでよりも自由になって、独自の瞑想的・宗教的な雰囲気が出てきてるように思います。声楽の入る9番(副題の”Sinfonia sacra”を他で見るように「復活」と訳してしまっていいものか迷って原題をそのまま載せました。「復活」ったらマーラーの2番がどうにも印象強いし、それとは違う感じの曲ですしね)あたりはそれが顕著に出てる気がします。
歌詞カードが手元にないので詳細がわからないのですが、第1楽章でバリトンが初めて歌いだすのが
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか)」
なんです。マタイの27章に出てくるくだりですね。残念ながら外国語が苦手なので文字抜きでは歌詞があまり聞き取れないのですが、それでもヒコックスのタクトによる声の扱いが抜群に冴えていて、神秘的な中にもある種の凄みを感じます。やっぱりヒコックスが合唱曲を得意にしてるんでしょうかね?
そんな調子で、リチャード・ヒコックスという名前の指揮者に興味がわいてからオルウィン、ラッブラとツィクルスでまとめて聴ける録音を聴いてみたわけですが、こうして気軽に未知の作曲家の作品を聴くことのできるNMLの有難味を改めて再認識した次第です。自由なブロードバンド・ネット社会に乾杯!!(笑)