NMLに今月初旬から「第55回グラミー賞 ノミネート作品」と題した特集ページが用意されていて、NMLのカタログの中から今回のグラミー賞[http://www.grammy.com/]の各部門にノミネートされたディスクが紹介されているのですが、その中でベスト・コーラル・パーフォーマンス部門にノミネートされたものの1つが下記に挙げたディスクです。
★ストリッジョ:40声と60声のためのミサ曲
/エルヴェ・ニケ&ル・コンセール・スピリチュエル【Glossa】[Hybrid SACD]
カトリック典礼歌「祝せられた胎よ(幸いなるかな、乙女マリアの御体)」
オラツィオ・ベネヴォリ
・「われ喜びに満てり」
・ミゼレーレ
フランチェスコ・コルテッチャ
・「主をほめたたうるは良きことなり」
・「父に栄光あれ」
アレッサンドロ・ストリッジョ
・ミサ曲『かくも幸せな日が』〜キリエ、グローリア
フランチェスコ・コルテッチャ
・アレルヤ
アレッサンドロ・ストリッジョ
・ミサ曲『かくも幸せな日が』〜クレド
オラツィオ・ベネヴォリ
・マニフィカト
アレッサンドロ・ストリッジョ
・ミサ曲『かくも幸せな日が』〜サンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス・デイ
フランチェスコ・コルテッチャ
・汝はいと高き者の預言者と呼ばれ
アレッサンドロ・ストリッジョ
・40声のモテット『見よ、祝福されたる光が』
指揮:エルヴェ・ニケ
演奏:ル・コンセール・スピリチュエル
録音場所:パリ、ノートルダム・デュ・リバン教会
録音時期:2011年8月
→http://ml.naxos.jp/album/GCDSA921623
ジャケットには大きくアレッサンドロ・ストリッジョ(1540-92年、イタリア後期ルネサンス音楽の作曲家・演奏家兼外交官)の名前がありますが、彼の作品の合間に同じイタリアのルネサンス期の作曲家フランチェスコ・コルテッチャ(1502-71年)とバロック初期の作曲家オラツィオ・ベネヴォリ(1605-72)の曲を混在させた構成になってます。
なぜこうした構成をとったのか、実際に買ってライナーノーツを読めば書いてあるのでしょうけど、ミサ曲『かくも幸せな日が(Missa sopra Ecco si beato giorno)』に関してはストリッジョが作曲してからパリで発見されるまで400年ほど所在不明の時期があったそうで、見つかった楽譜もミサ曲を構成するものとしてはアレルヤなどいくつか欠けている部分があって、それを補うためにこうしたのかなぁ〜???と勝手に推測しています。
閑話休題。
40声・60声のミサ曲とあって、とても壮大壮麗な響きの音楽となっています。
現代人の私ですらそう感じるのですから、16世紀当時の人たちにとっては教会でこれを聴いたら耳にさぞかし壮麗に響いたことでしょう。
彼の作品が欧州各地に出回っていた史実があるそうですが、なるほど、それも頷けます。
この演奏の録音に際しては60人の歌い手と器楽奏者たちを指揮者とマイクを取り囲むように円状に配置して行われたそうで、SACDのサラウンド再生で聴いたら大聖堂にいるような雰囲気を味わえるのではないでしょうか。
音楽自体も厳かな中に清らかにゆったりと流れる川のせせらぎのような癒しの要素を含んだものとなっていますので、ヒーリング系としても違和感なく聴けると思います。
演奏水準も録音もさすがにレベルの高いディスクで、グラミー賞にノミネートされるのも納得の1枚です。