ブルックナー:交響曲第2番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル

アントン・ブルックナー 交響曲第2番ハ短調〔1872年稿、キャラガン校訂〕
 /シモーネ・ヤング指揮 ハンブルク・フィル
【OEHMS】
http://ml.naxos.jp/album/OC614
Oc614

 

実は2年前の発売されて間もない頃に、かなり評判になっているのを見て購入していたものです。SACDにもかかわらず当時¥1,300程度で買えたことと、女性指揮者がブルックナーを録音・リリースするという物珍しさも多分にあったのですが、ライヴ録音された定期演奏会を実際にハンブルクのライスハレで生で聴いた日本人の方のブログを見たということが一番大きかったですね(ココココ)。しとらすにとってブル2のディスクはこのヤング盤が初めてだったのですが、素直に感動できるとは思ってもみませんでした。とてもいい演奏です。さすがはドイツの音楽誌「Opernwelt」で2006年度年間最優秀指揮者賞を受賞した指揮者、ワーグナーで評判を集めているだけはありました。
ただ、できたらストリーミングじゃなくてSACDを買って聴いてほしいな、と(笑)。しとらすは先にSACDで聴いてたので、後からPCのちゃちいスピーカーを通してストリーミングで聴くと、やっぱり物足りないです。
感想は以前しとらすが別HNでやってたブログに書いた文章をそのまま引用します。

 

《引用始》******************************
私はブルックナーの場合特に最初の1回で良いと思えるか合わないかが100%決まってしまうのですが(何度か繰り返し聴いてわかるようになった、というのがありえない)、決め手は2つあって、1つは音色・響き、もう1つは例えでしか言えないのですが「複雑難解な連立方程式を目の前でこちらにもどういう構造になっているのか容易に理解できるよう説明しながら1つ1つ解き明かしていく」錯覚を覚えるような演奏かどうか、ということです。
まず1つ目、ハンブルク・フィル(ハンザ都市の市立歌劇場の流れを汲みマーラー・クレンペラー・ベーム・ヨッフムらも音楽監督を務めたハンブルク州立歌劇場のオケで現在コンサート活動においては公式には‘Philmarmoniker Hamburg’と名乗っているようです。そして州立歌劇場の現在の音楽監督がシモーネ・ヤング)は少なくとも日本ではレコード・CDではあまりお目にかからないオケだったように思いますし、私も聴くのは全く初めてだったのですが、厚みのあるサウンドで弦も管もよく鳴ってるし、最初から最後まで集中力をしっかり保っててアンサンブルの精度も高く、いいオケじゃないですか(実際は結構ムラッ気があるみたいなことをどこかで目にした気がするけど記憶違い?!)。
2つ目に関しても文句無しです。第1楽章と終楽章で曲の持つ壮大なコスモスを熱く雄弁な語り口を伴って明瞭に現出させていて、第2楽章のスケルツォでもどこかしら田舎臭さの抜けない朴訥なブルックナー独特のリズム感が出てますし、続くアダージョも崇高な美しさに満ちた響き。全体的に流麗かつ躍動的で迫力も充分、とても感動的な素晴らしい演奏だと思いました。
******************************《引用終》

OEHMS(http://www.oehmsclassics.de/)は2003年創立とドイツの新しいレーベルですが、なんでも元ARTE NOVA社長のエームス氏が独立して立ち上げたのだそうで、最初期のラインナップはArte Novaから発売されていた録音も多かったようです。歴史が浅いわりにリリース数が多い(HMVのネットショップに登録されてるだけでも300近くある)のはそのせいかなぁ、と思ったり。
もちろん創立後ある時期からは活発に新録音をリリースしてて、ヤング&ハンブルク州立歌劇場と組んでヒンデミット『画家マティス』やワーグナー『ラインの黄金』を録音するくらいですので、それなりに(企業としての)体力があるんだろうと思います。日本のファンにはスクロヴァチェフスキ&ザールブリュッケン放送響によるベートーヴェン全集とブルックナー全集が知られているでしょうか?