ブルックナー:交響曲第0番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル

今日NMLに登録されたディスクの中で注目すべき新譜は他にもOEHMS[http://www.oehmsclassics.de/]レーベルから7月下旬にリリース予定の2枚のディスクがあります。1つはドミトリー・キタエンコとケルン・ギュルツェニヒ管のコンビによるチャイコフスキーの3番『ポーランド』(→http://ml.naxos.jp/album/OC670)、もう1つはシモーネ・ヤングとハンブルク・フィルのコンビによるブルックナーの0番です。いっそ両方とも・・・というのも考えましたが、前者の方は残すは4番のみでマンフレッド交響曲を含めたチャイコフスキー・ツィクルスが完成するため、全部揃ってからでもいいかと思い直し、後者の方を今回は採り上げたいと思います。

 

ブルックナー:交響曲第0番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第0番ニ短調 WAB.100[1869年版]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2012年12月20-21日(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC685
Oc685

 

ジャケット両面にわざわざ「1869」という数字をクレジットしてあるのは、私の当てずっぽうな推測ですけど、おそらくは1869年版を改定稿とみなしたノヴァークの見解ではなく、この曲が1番シンフォニーの後に2番シンフォニーを意図して作曲されて完成したものの最終的にブルックナー自身によって取り消されたとするウィリアム・キャラガンらの有力説を意識してのものなのかな、という気がします(2番でキャラガン版を使ってるくらいですし)。

閑話休題。

ヤングと彼女の手兵ハンブルク・フィルによるブルックナー・ツィクルスは2番→3番→4番→8番→1番ときて、これが6枚目のリリースとなります。この0番は下野竜也さんが8年前に大フィルの定期で採り上げられていましたが、その演奏会には機会を逸して行くことが叶わず、かといってライヴ録音としてリリースされたディスクは日本のメーカーが再販制に胡座をかいたボッタクリ価格をつけているので買う気にもならず、ブルヲタを名乗れるほどブルックナーを積極的に聴く方ではない私は、以来ずっとこの曲を聴かないまま過ごしてきました。

そして、今回ヤング盤で初めて耳にしたのですが、ブルックナーが破棄したのが勿体なく思えるほど構成が意外にしっかりしていて、たしかにやや荒削りとはいえ全体を見渡してもブルックナーらしい起承転結が魅力的で各楽章間のバランスもとれているので、想定していた以上に聴き応えがありました。また、過去の録音では全て初稿を採用してきた彼女のタクトによる演奏は流れるような伸びやかさがとても印象的で、終楽章でも大らかに歌い上げるさまがカッコよくすら思える見事な出来栄えだと感じました。
これで残すはブルックナー中後期の作品のみとなりましたが、次のリリースも大いに期待したいと思います。

 


 

さて、せっかくですから、シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィルのコンビでこれまでリリースされたブルックナーをここに挙げておきたいと思います。いずれも初稿を用いてのもので高い評価を受けている演奏ばかりです。どれもがライヴ録音のハイブリッドSACDというのもいいですね。

 

ブルックナー:交響曲第1番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第1番ハ短調[1865/66年リンツ稿、キャラガン校訂版]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2010年1月(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC633
Oc633

 


 

 

ブルックナー:交響曲第2番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第2番ハ短調[1872年稿、キャラガン校訂版]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2006年3月12-13日(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC614
Oc614

 


 

 

ブルックナー:交響曲第3番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第3番ニ短調[1873年稿]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2006年10月15-16日(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC624
Oc624

 


 

 

ブルックナー:交響曲第4番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第4番変ホ長調『ロマンティック』[1874年稿]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2007年12月1-3日(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC629
Oc629

 


 

 

ブルックナー:交響曲第8番/シモーネ・ヤング&ハンブルク・フィル(2枚組)【OEHMS】[Hybrid SACD]
アントン・ブルックナー
・交響曲第8番ハ短調[ノヴァーク版・第1稿]
指揮:シモーネ・ヤング
管弦楽:ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団
録音時期:2008年12月14-15日(ライヴ)
録音場所:ハンブルク、ライスハレ
http://ml.naxos.jp/album/OC638
Oc638