次の日曜に迫った京響定期は、バルトークのオケコンにシェーンベルク編のブラームスという組み合わせでのプログラムです。ということで、予習用にとNMLで同曲の録音をちょっと漁って聴いてみることにしました。まずはバルトークから。
★バルトーク:管弦楽のための協奏曲、マルティヌー:リジツェへの追悼、クライン:弦楽のためのパルティータ/エッシェンバッハ&フィラデルフィア管 [Hybrid SACD]【Ondine】
・ボフスラフ・マルティヌー:リディツェへの追悼
・ギデオン・クライン:弦楽三重奏曲
〔※ヴォイチェフ・サウデクにより『弦楽のためのパルティータ』として編曲〕
・ベーラ・バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116
指揮:クリストフ・エッシェンバッハ
管弦楽:フィラデルフィア管弦楽団
録音:2005年5月、フィラデルフィア:ヴェリゾン・ホール(ライヴ)
→http://ml.naxos.jp/album/ODE1072-5
バルトークのオケコンならライナーとかショルティとかブーレーズとかシカゴ響の名盤があるだろうと言われそうですが、あいにくNMLにRCAやデッカやグラモフォンのリストなんか無いですし(苦笑)。私が最初にオケコンを聴いたCDはフリッチャイ&ベルリン放送響の演奏で、しかも録音したグラモフォンがまだCD化する前に『レコ芸』誌か何かで読者向けに限定受注生産されたやつだったのですが、1957年のモノラル録音だったにもかかわらずその熱烈峻厳な演奏に度肝を抜かれた記憶があります(カップリングされた弦チェレがほとんど印象に残らなかったほど)。
まぁ私の古い思いで話はさておいて、今回採り上げたCD、よくこんな選曲にしたものだと感心しています。1曲目はナチスによって1942年7月に全滅させられたチェコのリディツェ村への追悼の音楽。2曲目は作曲者のギデオン・クラインが1941年にナチスによってテレージエンシュタット強制収容所に送られ、その後アウシュヴィッツや他の収容所に転送されて終戦まで生き延びることができなかったチェコのユダヤ系作曲家。バルトークのオケコンの作曲の経緯は誰もがご存知の通り、そして指揮者が幼児期に肉親をホロコーストで失ったというエッシェンバッハ・・・なんでも第2次大戦終結60周年記念の演奏会のライヴ録音らしいのですが、プログラムのテーマ性が半端ないですね。
変に音色がギスギスに荒れずにすんでいるのはフィラデルフィア・サウンドの賜物でしょうし、そしてこれだけのプログラムを敢えてぶつけてきたエッシェンバッハの意志の強さと熱意が充分すぎるほど伝わってくる、素晴らしい演奏だと思います。Ondineの録音には定評がありますので、SACDで聴くと尚のことその凄い迫力が伝わってくるのではないでしょうか。
・・・この6年後にオケの破産申請の知らせを聞くことになるなんて、時はまさに一寸先は闇なんですね・・・。