PentaTone[http://www.pentatonemusic.com/]レーベルの新譜を採り上げた際に、そういえば今度のグラミー賞でノミネートされた中にここのレーベルのもあったよな?と思い出して聴いてみた次第です。
“Music for a Time of War”というタイトルが付けられているこのディスク、昨今マグレブ地方で大変痛ましい事件が起きている時期に何ともキャッチーなものをと我ながら思いますが、仏軍の軍事介入と過激派組織の反乱の狭間で被害に遭われた民間人の方々の無事を祈りつつ採り上げることにしました。
★戦争の時代の音楽/カルロス・カルマー&オレゴン交響楽団【PentaTone】[Hybrid SACD]
チャールズ・アイヴズ
・2つの瞑想~答えのない質問
ジョン・アダムズ
・包帯係
ベンジャミン・ブリテン
・シンフォニア・ダ・レクイエム Op.20
レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ
・交響曲第4番ヘ短調
指揮:カルロス・カルマー
管弦楽:オレゴン交響楽団
バリトン:サンフォード・シルヴァン(「包帯係」)
録音時期:2011年5月7-8日(ライヴ)
録音場所:ポートランド、アーレン・シュニッツァー・コンサートホール
→http://ml.naxos.jp/album/PTC5186393
アメリカ西海岸のオレゴン州では最大の都市であるポートランドに本拠を置くオレゴン交響楽団[http://www.orsymphony.org/]、音楽監督を務めるカルロス・カルマー共々あまり日本では馴染みがありませんが、カルマーの前任者ジェームズ・デプリーストの代にグッと実力を上げたようで、この演奏でも力強く精緻なアンサンブルを見せています(セッション録音でなくライヴ収録なのですからこの実力は本物でしょう)。
古今のライバル録音が多いであろう『シンフォニア・ダ・レクイエム』やRVWの4番といった曲でも過去の名盤に充分伍するだけの内容あるものに思えます。
カルマーの指揮も全体のバランスをとりながら細部までキッチリ目を行き届かせている生真面目さが感じられ、また随所に切れ味の鋭さを垣間見せています。
PentaToneレーベルは録音の良さもさることながら、若手ヴァイオリニストのユリア・フィッシャーに早いうちから目を付けるなどスカウティングにも長けたところがありますので、カルマー&オレゴン響のコンビでの録音とリリースを進めるのもPentaToneの目利き故かもしれません。