ロッシーニ、ペーザロ、ロッシーニ・オペラ・フェスティバル

世界史上、稀代のオペラ作曲家の1人、ジョアキーノ・ロッシーニ。
1792年2月29日(2月‘29日’ですよ!‘29日’!4年に1度の閏日!)にペーザロで生まれたロッシーニ。

1810年にオペラ・ファルサ『結婚手形』がヴェネツィアのサンモイゼ劇場で初演されたのを皮切りに18歳でオペラ作曲家としてデビュー。
20歳から21歳にかけて作曲・初演された『タンクレーディ』と『アルジェのイタリア女』でオペラ作曲家としての評価を確立し、1816年『セビリアの理髪師』の発表で欧州中に(オペラが書けないベートーヴェンが僻むほど)名声を轟かせるようになりました。
1825年に挙行されたフランス国王シャルル10世の戴冠式のために記念オペラ・カンタータ『ランスへの旅』を作曲して国王に献呈。献呈されたシャルル10世は『フランス国王の第一作曲家』の称号と終身年金をロッシーニに与えます。1830年フランス7月革命でも新政府と交渉して年金給付の権利を確保することに成功した彼は、前年1829年8月にパリ・オペラ座で『ギヨーム・テル(ウィリアム・テル)』の初演を無事に成功させた後にオペラ界からの引退を表明。ボローニャやフィレンツェなどに移り住みながらの隠居生活では食道楽を存分に堪能したり(かなりの美食家で食べるのも作るのも大好きで得意だったとか)、サロンを催して作曲も細々と行ったりするなどしながら、1868年に76歳で逝去しました。

一方でロッシーニの隠居中にも欧州の政治・経済情勢は目まぐるしく変化し、音楽界においてもロマン派の本格的な台頭、オペラだけをとっても隠遁のロッシーニが嘆くほどベルカントが廃れてしまい、イタリアでヴェリズモ・オペラが主流となった他、パリでグランド・オペラの流行、ドイツ語圏を中心にワーグナーが支持を集めるなどがあり、ヴェルディのように良くも悪くも政治に振り回されることのなかったロッシーニは彼の作品とともに忘れられた存在になっていきました。大作『ウィリアム・テル』ですら取りようによってはハプスブルク家への批判と受け取られることもあって、イタリアでもハプスブルクの影響下にあった地域では検閲逃れのために仏語→伊語への翻訳ついでにカットや改竄が上演の度に発生した、ということもありました。

そして2度の世界大戦を経て20世紀も半ば1960年代から、かつてロッシーニの没後に遺言と遺産を託された彼の生地ペーザロ市に創設されたロッシーニ音楽院とロッシーニ財団の内、ロッシーニ研究を担っていた財団の動きが活発化して(指揮者かつロッシーニ研究家の)アルベルト・ゼッダらが中心となってロッシーニの作品のクリティカル・エディションを手掛けてロッシーニ全集として楽譜を出版するようになっていくと、当時にあって実力・人気ともに急上昇中のマエストロだったクラウディオ・アバドが(プッチーニとヴェリズモ・オペラは全く手を染めなかった反面)ロッシーニに注目して積極的に採り上げるようになり、ついにはペーザロ氏の後押しをも受けて1980年にロッシーニ・オペラ・フェスティバル [https://www.rossinioperafestival.it/]の開催にこぎつけ、ロッシーニ・ルネッサンスの一大潮流が起こることになりました。

1980年からペーザロで毎年8月に開催されるようになったロッシーニ・オペラ・フェスティバルでは1984年に散逸した楽譜の復元が成った『ランスへの旅』がクラウディオ・アバドの指揮で(1825年シャルル10世の戴冠式が終わると程なく劇場のレパートリーから消え去って)約150年ぶりに蘇演されて、同時にメジャーレーベルのドイツ・グラモフォンが世界初録音を行いディスクをリリース。またロッシーニ財団を中心とした研究成果がクリティカル・エディションとして作品の全集版が楽譜で出版されて随時校訂も継続して行われており、ロッシーニ・ルネッサンスを先頭に立って牽引していたアルベルト・ゼッダも2017年に亡くなるまで精力的に活動を続けた甲斐もあって、現在では『セビリアの理髪師』『チェネレントラ』以外のロッシーニのオペラも世界各地の歌劇場で上演されるようになりました。

かく言う私も、プッチーニとヴェリズモ・オペラは鳥肌が立つほど毛嫌いしてて、ヴェルディも苦手ではないけど好んで積極的に視聴するまでとはいかず、ロッシーニとの出会いがなかったらベッリーニやドニゼッティも含めてイタリア・オペラには全く縁がないまま人生を送り続けていたでしょう。COVID-19パンデミック初期にYouTubeで、ミケーレ・マリオッティ+ボローニャ市立歌劇場管弦楽団&合唱団+ファン・ディエゴ・フローレスのトリオによるペーザロ音楽祭での上演でライヴ収録された『ウィリアム・テル』と『マティルデ・ディ・シャブラン』が、短期間でも無料公開されて視聴する機会があったおかげです。Blu-rayも入手不可状態になる前にサクッと買えましたしね。
あと、円盤化で商業収入できそうな素晴らしい上演の『セミラーミデ』を無料公開してくれてるフェニーチェ歌劇場にも深く感謝。

(声楽の扱いがまるで下手っぴなベートーヴェン相手に『セミラーミデ』でザマァとドヤ顔できるw)

・・・というわけで、ナクソス・ミュージック・ライブラリに未登録のも含めて、ロッシーニ・オペラ・フェスティバルでの上演をライヴ収録したDVD・Blu-rayを挙げてみます。

 

 

ロッシーニ:歌劇『アルジェのイタリア女』/レンツェッティ&ボローニャ市立歌劇場管、他【Dynamic】[DVD]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『アルジェのイタリア女』

指揮:ドナート・レンツェッティ
管弦楽:ボローニャ市立歌劇場管弦楽団
合唱:プラハ室内合唱団
イザベラ(メゾ・ソプラノ):マリアンナ・ピッツォラート
ムスタファ(バス):マルコ・ヴィンコ
リンドーロ(テノール):マキシム・ミロノフ
タッデオ(バス):ブルーノ・デ・シモーネ
エルヴィーラ(ソプラノ):バルバラ・バルニェージ
ズルマ(メゾ・ソプラノ):ホセ・マリア・ロ・モナコ
ハリ(バス):アレックス・エスポジト

録音時期:2006年8月12・15・19日(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ヴィトリフリーゴ・アレーナ

https://ml.naxos.jp/album/CDS526

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ロッシーニ:歌劇『トルヴァルドとドルリスカ』/ヴィクトール・パブロ・ペレス&ボルツァーノ・トレント・ハイドン管、他【Dynamic】[DVD]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『トルヴァルドとドルリスカ』

指揮:ヴィクトール・パブロ・ペレス
管弦楽:ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団
合唱:プラハ室内合唱団
ドルリスカ(ソプラノ):ダリーナ・タコヴァ
デュカ・ド・オルドウ(バス):ミケーレ・ペルトゥージ
トルヴァルド(テノール):フランチェスコ・メーリ
ジョルジョ(バス・バリトン):ブルーノ・プラティコ
カルロッタ(ソプラノ):ジャネット・フィッシャー
オルモンド(バス・バリトン):シモーネ・アルベルギーニ

録音時期:2006年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ロッシーニ劇場

https://ml.naxos.jp/album/CDS528

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ロッシーニ:歌劇『ビアンカとファッリエーロ』/レナート・パルンボ&ガリシア交響楽団、他【Dynamic】[DVD]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『ビアンカとファッリエーロ』

指揮:レナート・パルンボ
管弦楽:ガリシア交響楽団
合唱:プラハ室内合唱団
ビアンカ(ソプラノ):マリア・バーヨ
ファッリエーロ(メゾ・ソプラノ):ダニエラ・バルチェッローナ
コンタレーノ(テノール):フランチェスコ・メーリ
カペッリオ(バス):カルロ・レポーレ
コスタンツァ(ソプラノ):オルネラ・ボノメッリ
プリウリ(ヴェネツィアのドージェ、バス):ダリオ・ベニーニ
ロレダーノ(バス):イェリ・プルディチ

録音時期:2005年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ロッシーニ劇場

https://ml.naxos.jp/album/CDS501

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ロッシーニ:歌劇『泥棒かささぎ』/リュー・ジア&ボルツァーノ・トレント・ハイドン管、他【Dynamic】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『泥棒かささぎ』

指揮:リュー・ジア
管弦楽:ボルツァーノ・トレント・ハイドン管弦楽団
合唱:プラハ室内合唱団
ファブリツィオ(バス):パオロ・ボルドーニャ
ルチア(メゾ・ソプラノ):クレオパトラ・パパテオロギュー
ジャンネット(テノール):ドミトリー・コルチャック
ニネッタ(ソプラノ):マリオラ・カンタレロ
フェルナンド(バス):アレックス・エスポジト
ゴッタルド(代官、バス・バリトン):ミケーレ・ペルトゥージ
ピッポ(アルト):マヌエラ・クスター
イザッコ(テノール):ステファン・チフォレッリ
アントーニオ(テノール):コジモ・パノッツォ
ジョルジョ(バリトン):ヴィットリオ・プラート
エルネスト(バリトン):マッテオ・フェッラーラ

録音時期:2007年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ヴィトリフリーゴ・アレーナ

https://ml.naxos.jp/album/CDS567

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ロッシーニ:歌劇『パルミラのアウレリアーノ』/クラッチフィールド&オーケストラ・シンフォニカ・ロッシーニ、他【Arthaus Musik】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『パルミラのアウレリアーノ』

指揮:ウィル・クラッチフィールド
管弦楽:ロッシーニ交響楽団
合唱:ボローニャ市立歌劇場合唱団
アウレリアーノ(テノール):マイケル・スパイレス
ゼノビア(ソプラノ):ジェシカ・プラット
アルサーチェ(メゾ・ソプラノ):レーナ・ベルキナ
プブリア(メゾ・ソプラノ):ラファエッラ・ルピナッチ

録音時期:2014年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ロッシーニ劇場

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ロッシーニ:歌劇『ブルスキーノ氏』/クラッチフィールド&オーケストラ・シンフォニカ・ロッシーニ、他【Opus Arte】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『ブルスキーノ氏』

指揮:ダニエーレ・ルスティオーニ
管弦楽:ロッシーニ交響楽団
ガウデンツィオ(バリトン):カルロ・レポーレ
ソフィーア(ソプラノ):マリア・アレイダ
ブルスキーノ(バリトン):ロベルト・デ・カンディア
ブルスキーノ2世(テノール):フランシスコ・ブリート
フロルヴィッレ(テノール):デイヴィッド・アレグレット
フィリベルト(バス):アンドレア・ヴィンツェンツォ・ボンシノーレ
マリアンナ(メゾ・ソプラノ):ヒアーラ・アマール

録音時期:2012年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ロッシーニ劇場

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ロッシーニ:歌劇『リッチャルドとゾライーデ』/ジャコモ・サグリパンティ&RAI国立交響楽団、他【C Major】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『リッチャルドとゾライーデ』

指揮:ジャコモ・サグリパンティ
管弦楽:RAI国立交響楽団
合唱:ヴェンティーディオ・バッソ劇場合唱団
ゾライデ(ソプラノ):プリティ・イェンデ
リッチャルド(テノール):フアン・ディエゴ・フローレス
アゴランテ(テノール):セルゲイ・ロマノフスキー
ゾミーラ(メゾ・ソプラノ):ヴィクトリア・ヤロヴァヤ
イルカーノ(バス):ニコラ・ウリヴィエリ
エルネスト(テノール):シャビエル・アンドゥアーガ
ファティマ(ソプラノ):ソフィア・ムチェドリシヴィリ
エルミーラ(メゾ・ソプラノ):マルティニアーナ・アントニエ
ザモッレ(テノール):ルジル・ガティン

録音時期:2018年8月11日(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ヴィトリフリーゴ・アレーナ

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ロッシーニ:歌劇『イタリアのトルコ人』/スペランツァ・スカップッチ&フィルハーモニカ・ジョアキーノ・ロッシーニ、他【C Major】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『イタリアのトルコ人』

指揮:スペランツァ・スカップッチ
管弦楽:フィルハーモニカ・ジョアキーノ・ロッシーニ
合唱:アゴスティーニ・フォルトゥーナ劇場合唱団
セリム(バス):アーウィン・シュロット
フィオリッラ(ソプラノ):オルガ・ペレチャツコ
ジェローニオ(バリトン):ニコラ・アライモ
ナルチーゾ(テノール):ルネ・バルベラ
詩人プロスドーチモ(バリトン):ピエトロ・スパニューリ
ザイーダ(メゾ・ソプラノ):セシリア・モリナーリ
アルバザール(テノール):ピエトロ・アダイーニ

録音時期:2016年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ロッシーニ劇場

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ロッシーニ:歌劇『湖上の美人』/ミケーレ・マリオッティ&ボローニャ市立歌劇場管弦楽団、他【C Major】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『湖上の美人』

指揮:ミケーレ・マリオッティ
管弦楽:ボローニャ市立歌劇場管弦楽団
合唱:ボローニャ市立歌劇場合唱団
スコットランド王ジャコモ5世・ウベルト(テノール):フアン・ディエゴ・フローレス
アンガス伯ダグラス(バリトン):マルコ・ミミカ
ロドリーゴ(テノール):マイケル・スパイレス
エレナ(ソプラノ):サロメ・ジーチャ
マルコム(メゾ・ソプラノ):ヴァルドゥイ・アブラハミヤン
アルビーナ(ソプラノ):ルース・イニエスタ
セラーノ、ベルトラム(テノール):フランシスコ・ブリート

録音時期:2016年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ヴィトリフリーゴ・アレーナ

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ロッシーニ:歌劇『コリントの包囲』/ロベルト・アバド&RAI国立交響楽団、他【C Major】[Blu-ray]

ジョアキーノ・ロッシーニ
・歌劇『コリントの包囲』[仏語校訂版]

指揮:ロベルト・アバド
管弦楽:RAI国立交響楽団
合唱:ヴェンティーディオ・バッソ劇場合唱団
マオメット2世(バス):ルカ・ピサローニ
クレオメーネ(テノール):ジョン・アーヴィン
パミラ(ソプラノ):ニーノ・マチャイゼ
ネオクレス(テノール):セルゲイ・ロマノフスキー
イエロス(バス):カルロ・チーニ
アドラステ(テノール):シャビエル・アンドゥアーガ
オマール(バリトン):ユーリ・サモイロフ
イスメーネ(メゾ・ソプラノ):セシリア・モリナーリ

録音時期:2017年8月(ライヴ)
録音場所:ペーザロ、ヴィトリフリーゴ・アレーナ

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