先程もSAO第10話の感想記事のところにも少し書いたのですが、アスキー・メディアワークスの委託業者から掲載画像に関して警告書が届く事態がありました。某やらおんとかのようなサイトならいざしらず、うちみたいな場末で細々と趣味でクラシックやアニメなどの感想を書いてるだけの、他に何の悪意もないサイトまで監視して警告が送られてくるようになっては世も末となったものです。大震災と原発事故を放置して碌でもない法律ばかり作りやがった野田政権と菅政権には恨み真髄なのですが、マスゴミ報道等に騙されて真実を見過ごし声を上げることも正しき一票の行使もしなかった私達選挙民の側にも当然に責任の一端はあります。
小市民の生活にダイレクトに影響する消費税増税やTPP賛成云々にあきたらず、ダウンロード刑罰化や更には欧州では大批判を浴びているACTAに批准するなどネット監視強化に向けても着々と手を打たれてしまってる状態ですが、どんな臆病者でも政治に自分の意見を通す=選挙に行って一票を投じることは、日本の成人なら誰にでもできます。政治家とて人の子、完全無欠なんてありえませんが、誰がヨリ正しき言動を行なっているのか、そしてそうした人を見極めて票を投じる目を私達は養い、投票行動に移さないといけません。関わりの度合いはともかく社会の一員として政治に無関心というのはありえません。選挙にすら行かないこと、イコール自らが声なき奴隷に甘んじることです。
むか〜し、大江千里さんのヒット曲に『十人十色』というのがありましたけど、人が百人いれば意見が百通りあって当たり前、ですが小市民の生活に尽力してくれそうな人を選ぶ=情報を取捨選択してヨリ正しき判断基準を持って投票行動に移すにはどうしたらいいか?そのための一助になりそうな本を非才の身ながらも紹介したいと思います。
まずは最近刊行された中から必読書となる2冊を。
1.孫崎享『戦後史の正体』
第2次大戦後から近年に至るまでの戦後の政治史を、主に対米外交の面から描かれた本です。出版社から高校生にも読めるものをと話を持ちかけられたのが執筆のきっかけだそうで、平易な文章でわかりやすくまとめられていますが、書かれている内容は日本の新聞・TVがこれまで覆い隠してきた、とても重要な事実ばかりです。ネットの海にあふれる大小様々の情報をどのように整理し判断に結びつけていくか、そのメルクマールにもってこいの1冊だと思います。
2.郷原信郎『検察崩壊〜失われた正義』
著者が郷原さん名義になっていますが対談形式で書かれた本であり、その中には森ゆうこ参院議員らと共に現代日本のオルレアンの乙女ジャンヌ・ダルクがごとく司法当局に立ち向かっておられるミュージシャンの八木啓代[http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/]さんも含まれています。検察と裁判所、日本の司法がいかに腐っているかを明らかにしています。ダウンロード刑罰化にACTAと日本が中国並みの監視社会になれば細やかな生活を送っている人間も明日は我が身、何時如何様に冤罪に巻き込まれるか、わかったものではありません。今の日本の状態が危険であることを知るのには最適かと思います。
上記の2冊を読んだら、そうちょっとだけ頑張って次のステップに進みましょう!
3.丸山眞男『日本の思想』
もう半世紀も前に出された岩波新書なのですが、2010年代の今になっても全く色褪せることなく、未だに立派に通用するのがこの本の凄いところです。定価でなくとも古本屋に行けば見つけやすいと思うので、上記2冊に加えてぜひとも手に取ってほしい本です。
4.アントニオ・ネグリ & マイケル・ハート『マルチチュード〜<帝国>時代の戦争と民主主義』(上下2分冊)
グローバル化に伴い登場しつつある国境を超えたネットワーク状の権力を“帝国”とし、その対抗勢力としてのグローバル民主主義を推進する主体=マルチチュードについて書かれた本。同著者による『〈帝国〉 — グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』という大著の続編的なものとして書かれた本ですが、単独でも充分理解が可能ですし、だいたいこちらの方が薄くて読みやすくて値段も安いし(笑)。
以下はオマケ、よほど気が向いて財布に少し余裕がある(もしくは公立や大学の大きな図書館を利用可能な)読書好き向けです。本来ならフーコーとかデリダとかアーレントあたりを挙げたいところですが、それでは面白味がないし・・・というか私がへそ曲がりなだけなんですが(苦笑)、あと現役で活躍されている方の本を採り上げたい意図もあったので。個人的にアガンベンとスピヴァクは学生時代に当時お世話になった大学講師から勧められて邦訳の著書(下記のではないですが)を読んで卒論の参考にさせてもらったことがありまして・・・哲学科じゃなくて社会科学系だったんですけどね、私www。
5.ガヤトリ・チャクラヴォルティ・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判〜消え去りゆく現在の歴史のために』
今年の京都賞の“思想・芸術部門”の受賞者であるスピヴァクの代表作の1つ。現代世界の歪み、文化における支配的なものを検証しながら、従来のフェミニズム-ポストコロニアル研究を乗り越えつつ、従属的立場におかれた者たちの抵抗の可能性を脱構築的に編み直そうとする理論的実践の本。
6.ジョルジョ・アガンベン『ホモ・サケル〜主権権力と剥き出しの生』
現代イタリアを代表する哲学者の代表作の1つ。フーコーの生政治とカール・シュミットの例外状態をもとに、ローマ時代のローマ時代の特異な囚人“ホモ・サケル”を現代の政治と重ね合わせて読み解いた本。