台湾で初めての女性総統が誕生、民進党の蔡英文主席が圧勝して8年ぶりに政権を奪還

台湾の総選挙、開票の様子をリアルタイムでツイッターのTL追いかけていたのですが凄かったですね。蔡英文さんがほぼダブルスコアで圧勝したというだけでなく、第3勢力の台頭もあったりでとても興味深い結果ですし、今の日本よりも先を行ってるのが羨ましかったりも。ともあれ、台湾では初めての女性の総統、大いに注目ですね。

 

台湾総統に民進党の蔡英文氏 8年ぶり政権交代【朝日新聞 2016年1月16日】

 台湾総統選が16日投開票され、独立志向の野党・民進党の蔡英文(ツァイインウェン)主席(59)が与党・国民党の朱立倫(チューリールン)主席(54)、親民党の宋楚瑜(ソンチューユイ)主席(73)を大差で破り、当選した。8年ぶりの政権交代で、総統に女性が当選するのは初めて。中央選挙委員会の集計では、蔡氏の得票率は56・12%の圧勝。民進党は同時にあった立法院(国会、定数113)選で68議席を得て初めて過半数となった。中台関係にも影響が出そうだ。

 蔡氏は同日夜に記者会見し、政権交代だけでなく立法院でも過半数を得たことで「台湾人は投票で歴史に新たな一ページを加えた」と述べた。得票率は、過去の総統選で最高だった2008年の馬英九(マーインチウ)総統の58・44%に迫る。

 投票率は過去最低だった前回(12年)の74・38%を大きく下回る66・27%だった。蔡氏の得票数は、04年の陳水扁氏の647万票(得票率50・11%)を上回って民進党候補で過去最高で、国民党支持者の投票意欲が低かったと見られる。

 立法院選では民進党が改選前の40議席から躍進、国民党は64議席から35議席に大幅に減らした。朱氏は16日夜、党主席の辞任を表明した。一昨年3月に学生らが立法院議場を占拠した「ひまわり学生運動」から発展した新政党「時代力量」が5議席を得た。

 選挙戦では、8年間の馬政権への市民の強い不満が蔡氏と民進党を後押しした。馬氏は対中関係を改善すれば経済も良くなると訴えたが、恩恵は一部に集中。勤労者の給料は上がらず、息苦しさが増した。

 ログイン前の続きこれに対し、中国とのサービス貿易協定締結への反対に端を発した「ひまわり学生運動」など、市民の力で政治を変えていこうとする動きが高まった。蔡氏はこうした動きとも連動し、世代間格差の是正や政治的対立の終結を唱え、圧倒的な支持を集めた。

 民進党には、台湾統一を悲願とする中国が強い警戒感を抱く。蔡氏は中台関係の「現状維持」を掲げ、挑発的行動は取らないなどと明言。馬政権が対中傾斜を強めたことで、台湾市民の間で逆に台湾人意識が高まり、対中政策を不安視する声は広がらなかった。

 ただ、中国は「一つの中国」原則をめぐる1992年の中台間のやりとりを「92年コンセンサス」と位置づけ、受け入れを台湾との交流条件としている。蔡氏や民進党はこれを「共通認識」と認めていない。選挙戦終盤で、やりとりの内容自体は受け入れる立場を明確にしたが、中国は当面圧力をかけながら蔡氏の出方をうかがうと見られ、駆け引きが続きそうだ。

 一方、国民党はいったん公認した総統候補を途中で朱氏に差し替えたが、党内をまとめきれなかった。今後、分裂含みの展開になる可能性もある。

 蔡氏は5月20日に総統に就任する。立法院選に合わせるため総統選が繰り上げて行われ、新総統選出後も現政権が約4カ月続く異例の事態になる。

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 〈蔡英文〉 台北生まれ。台湾大卒業後、英国で博士号取得。大学教授を経て政界入りし、2008年に民進党主席に就任した。12年の総統選で馬英九氏と争って落選、14年に再び党主席に就いた。

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〔※写真:総統選の勝利宣言をする民進党の蔡英文主席=16日午後9時13分、台北、林敏行撮影〕