「ルシオ・ウルトゥビア」
でGoogle検索してもramonbookさんの以外はほぼ何も出てきません。
「Lucio Urtubia」
にしてググると約243,000件とあります。
かなりの重要人物っぽいのですが、英仏独伊じゃないのはマルっと無視されるの、日本の人文科学&社会科学の大きな欠点ですし損失もかなりのものなはず。
にもかかわらず改善されそうにない現状でトホホなのだ・・・
歴史を辿れば、かつて日本とスペイン(プラス言語的に近しいポルトガル)は大きな接点を持った時期がありました。やがてカトリック弾圧排除と鎖国令があって、それから400年を経てもなお縁が戻らないのはもったいないように思います。
「アナキストだけで孤立するより、アナキストではない人たちの中で最もアナキストらしく生きたい」。最後までリベルタリオ的な生き方の人物だった。
という一文がとても印象的です。
Fallece a los 89 años en París el histórico anarquista navarro Lucio Urtubia
https://www.lavanguardia.com/politica/20200718/482370990072/fallece-paris-anarquista-lucio-urtubia.html
昨日パリでルシオ・ウルトゥビオ逝去。享年89歳。偽造のトラベラーズチェックを世界中にばらまいて現シティバンクを手玉に取った伝説的アナキスト。生涯一タイル職人として生きた彼は、19世紀から脈々と続くスペイン・アナキスト=リベルタリオの原型を今に伝える人物だった。https://t.co/JCsuJhALtg
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ウルトゥビアは銀行から強奪したお金を活動資金にするというロス・ソリダリオスの流れを汲む最後のアナキストととも言えた。資金提供だけでなくパスポートや身分証明書の偽造で、米国のブラックパンサーやムヒカも参加していたツパマロスなど世界各地の反政府組織を支援した。 https://t.co/IzBmGFA4Wg
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ウルトゥビアはナバラの農村生まれ。フランコ体制下で徴兵される。軍の資材を横流しがバレてフランスに亡命。パリでカタルーニャのアナキストたちの影響でアナキストになる。ピレネー山脈に潜んでフランコ体制にゲリラ戦を仕掛けていた「最後のCNTゲリラ」キコ・サバテと出会って非合法活動を始める。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ちなみにカタルーニャのアナキストたちは「スペイン内戦終結」をアナキズム革命の終わりとは捉えていなかった。フランスで再集結して「Movimiento Libertario リベルタリオ運動」を結成。カタルーニャCNTの代表だったヒターノのバスケスが委員長となり、革命継続とフランコ打倒の道を模索を開始した。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ウルトゥビアはサバテから託された機関銃で銀行強奪を始めるが、はずみで人を傷つけるのが怖かったということで、偽造という非暴力的解決法を見つけると銀行襲撃をやめる。米ドル紙幣の偽造をキューバ政府に持ちかけ、パリを訪れた経済相ゲバラに交渉するが断られ、トラベラーズチェックの偽造を開始。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
世界中で自社のトラベラーズチェックの偽造が流通するようになり、現シティバンクはパニックに。フランス警察は首謀者としてウルトゥビアを逮捕拘束するが、偽トラベラーズチェックの流通は止まらない。困惑したフランス警察はシティバンクに示談を勧め、銀行は彼に慰謝料(!!)を支払い流通を止めた。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ウルトゥビアによれば、欧州と北米、南米に30あまりのグループをが存在して偽造と流通を行っていた。リーダーなしでも完璧に機能するシステムを構築していたわけで、「人の統治をモノの管理に置き換える」と説明したプエンテのコムニスモ・リベルタリオの実践に他ならない。https://t.co/mMgi6Tg371
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
5年前のTVのインタビューでウルトゥビアは「 84歳になっても世界を改善できると信じている」「世界にアナキストはたくさんいる。アナキズム思想は必要不可欠なのだから」と語っている。この強固な楽観主義と未来への希望がスペイン・アナキスト=リベルタリオの最大の特徴。 https://t.co/thEqjZ0nzw
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
20世紀にアナキズムが入ったところでは、アナキズムとニヒリズムが近しいようなのだけど、スペインでは19世紀の思想。20世紀にはすでにリベルタリオ思想として固まっていたので、ニヒリズムの影響はほとんどない。ニヒリズムにひかれる人を取り込んだのがスペイン製ファシズム「ファランヘ」だった。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
スペイン市民戦争のアナキスト側の象徴ドゥルティは、独裁者プリモ・デ・リベラの長男でファランヘの創設者ホセ・アントニオとは同郷で幼馴染だったらしい。そして、ドゥルティの弟は兄と同じくCNT組合員になったが、その後にファランヘに転向した。https://t.co/Jro90I6aA8
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ルシオ・ウルトゥビアの生涯を扱ったドキュメンタリーはスペインの公共放送TVのサイトで観られる。公共放送が銀行強奪や偽造を行ったアナキストのドキュメンタリーを扱うところに、スペインの歴史や社会におけるアナキズムの存在感や重要性がとてもよく現れていると思う。https://t.co/9rDEDEEQfK
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
ウルトゥビアはシティバンクから受け取った慰謝料で、アナキズムの黒旗の考案者ルイーズ・ミシェルに捧げたオープン・スペースを造った。マラテスタ曰く「アナキストだけで孤立するより、アナキストではない人たちの中で最もアナキストらしく生きたい」。最後までリベルタリオ的な生き方の人物だった。
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020
イタリアのアナキストとして知られるマラテスタだけども、実はスペイン、ラ米とスペイン語圏のアナキズムに多大な影響を与えた人物。だからこそ、マラテスタ研究者の戸田三三冬さんは研究のためにスペイン、ウルグアイ、アルゼンチンを訪問していた。https://t.co/3l4iIKV2JZ
— ramonbook (@ramonbookprj) July 19, 2020