ramonbook[@ramonbookprj]さんの過去ツイをサルベージ。
理由というか事情はこちら→https://kyotofan.info/politics_society/20120925-30/
Twiiter社の新API仕様変更
・・・平たく言うなら
イーロン・マスクの傍若無人な我儘
・・・つーかさぁ、ナニコレ
【Twilogについてお知らせ】
本日、TwilogのAPI利用が停止されました。このため、誠に残念ですが今後Twilogが新規ツイートを取得することが不可能となりました。既に記録済みのツイートについては、当面はこれまで通り閲覧可能な状態で残したいと考えております。
— ロプロス (@ropross) April 5, 2023
ふざけんなよ!イーロン・マスク (-_-💢)
2020年8月17日
スペインでアナキズムがフェミニズムと結びついたのは、女性の役割を巡るプルードンとバクーニンの論争がそのまま入ってきたから。社会の中での女性の役割が妻や母に限定されることに疑問を持たなかったプルードンに対して、バクーニンはアナキズムは女性を固定された役割から解放するべきだと考えた。
posted at 17:55:34プルードンが問題視しなかった家父長制をバクーニンは諸悪の根源とみなしていた。そもそもバクーニンが国家、教会、家族を否定したのは、どれもが家父長制に基づく組織だったから。とてもわかりやすい。ここからスペインのアナキズムは反家父長制という方向性に進んで行く。www.portaloaca.com/pensamiento-li…
posted at 18:08:22バクーニンが家父長制の問題に目を向けたのは、父親の権威に反逆した姉妹のおかげ。父親が帝政ロシアの習慣に倣って長女を自分の選んだ相手と結婚させようとすると娘たちの猛反対にあって断念せざるえなかった。妹のタチアナがいなければバクーニンの思想は存在しなかったかもしれないと言われている。 twitter.com/Anarquismos14/…
posted at 18:23:17バクーニンは軍に入って学業から離れるが、タチアナは学業を続け、特に文学に情熱を傾けてモスクワの知識人との交流を深めた。彼女が除隊した兄を知識人サークルに紹介し、そこでバクーニンは思想の着想を得た。ツルゲーネフの恋人でもあったという極めて興味深い人物なのにほとんど知られていない。。
posted at 18:40:42偉大な男の影に隠れてしまう女の話は枚挙にいとまがなく、19世紀末から20世紀初頭に活躍した女性アナキストの名はほとんど忘れ去られてた。スペイン語圏でアナキズムが強力な民衆運動となったのは女性を取り込んだことが大きいので、女性の視点が増えるに従ってアナキズムを巡る歴史も変わりつつある。
posted at 19:01:54例えば1910年メキシコ革命の口火となったカブレラ大佐の殺害に関して。今までは発砲したのはアキレス・セルダンと言われてきたのだけど、女性劇作家バルバラ・コリオは当時の文献を調査した結果、同じく革命支持者だった妹カルメンが発砲したと結論付けて脚本を書いている。 lasillarota.com/nacion/el-dia-…
posted at 19:14:52バクーニンの父親みたいに、スペイン語圏でも19世紀の半ば頃からリベラル思想に影響を受けて、娘にも息子と同じ教育を受けさせる父親が出てきた。リベラル教育を受けた娘は成長するにつれて、まず家庭の中の権威とぶつかるわけで、自発的に家父長制に反旗を翻して、アナキズムの支持者となっていく。
posted at 19:26:49興味深いのがアナキスト二世として有名な人には娘が多いこと。最も有名なのがスペイン第二共和政で閣僚となったフェデリカ・モンセン。ウルグアイのアナキズムの創設者とみなされてるルチェ・ファブリの父はマラテスタの盟友でイタリアからラテンアメリカにプロパガンダに行ったルイジ・ファブリ。 twitter.com/cgtgirona/stat…
posted at 19:44:50フェデリカ・モンセンは当時の女性の悲願であった中絶の合法化には自分が保健相になるしかないと思ったそう。父母、夫(全員アナキスト)に縁を切るとまで言われても、反対を押し切って入閣して合法化を実現した。徹底的に反家父長制を貫いたところがアナキストらしいと思う。 www.elsaltodiario.com/laplaza/ii-rep…
posted at 20:01:37フェデリカ・モンセンは入閣したことで裏切り者扱いされて、アナキズムの歴史ではその役割と功績がかなり低く評価される傾向にあった。エマ・ゴールドマン同様に、近年になってフェミニズムの観点から再評価が進んでる。ちなみにこの二人はあまり折り合いが良くなかったとか。 www.pikaramagazine.com/2020/06/federi…
posted at 20:12:29
2020年8月22日
バクーニンのラディカルさは、女性は子どもを産むためや家族の面倒を見るために存在しているのではなく、男性と同じように一人の人間として自分自身の人生を生きる権利があると主張したことにある。バクーニン派が多数派になったスペインでは、女性解放がアナキズム革命の重要な目標の一つとなった。
posted at 14:17:20自給自足を目指すと労働力の再生産も賄う必要があるから、労働力の再生産である出産と子育ての重要性が必然的に高まる。プルードンが女性の社会的役割に疑問を持たなかったのは、女性は出産して家族の世話をするものという前提が崩れると彼の理想とするモデルは成立しえないからで、当然といえば当然。
posted at 14:28:31プルードンは農村に希望を見ていた一方で、バクーニンは故郷ロシアの伝統的な農村が家父長制で役割を固定することで女性の労働力を搾取していると批判した。さらに、伝統的な家族の価値観が強いから、男性パートナーを持つことを拒否する女性(妻でも母でもない)には社会的役割がなく居場所がない。
posted at 15:03:19資本主義社会で生き延びるためには賃金労働者になる必要があるのに、女性に妻や母以外の社会的役割を認めない家父長制社会は女性が賃金労働につくハードルを上げる。無理矢理結婚させようとする父親から逃げて生き延びるために移民しなければならなかった女性も数多く、その一人がエマ・ゴールドマン。
posted at 15:12:53エマ・ゴールドマンは、タチアナ・バクーニンと一緒で父親の決めた相手との結婚を拒否することが反逆の出発点にある。言ってみれば、ゴールドマンはアナキストになる前に反家父長制を実践していた。彼女は米国のアナキストとして紹介されることが多いけど、バックボーンはバクーニンと同じ帝政ロシア。
posted at 15:25:40興味深いことに、賃金労働の登場によって女性は家父長制から逃げる手段を手に入れた。19世紀のスペインでは、タバコ工場や繊維工場で働く賃金労働者の女性たちが女性解放運動の担い手となり、女性が男性に依存せずに生きられる社会を作ろうとした。家父長制支持者はそんな彼女たちをアナキストと呼ぶ。
posted at 15:45:14賃金労働には労働力の搾取を可視化するという機能がある。この目的で行われたのが『キャリバンと魔女』の著者でフェデリチ(イタリア出身)らが参加した「家事に賃金を!」。この運動は60-70年代イタリアのアウトノミア運動の中にあった女性差別の問題に出発点があるので、アナキズムの影響も強い。
posted at 15:57:08賃金による搾取の可視化は貨幣経済で機能する。アナキストは貨幣や賃金に反対では?と聞かれることがあるけど、スペイン革命の時にも貨幣を廃止したのは農村部だけで、都市部では同一賃金が実施された。搾取の構造が解消される前に貨幣や賃金を廃止すると搾取が不可視化されて存続する危険があるから。
posted at 16:21:28現在の資本主義の危機は、新自由主義で労働市場(賃金)による富の再分配が機能不全に陥ったことが原因。労働市場に国家が替わるというのがベーシックインカムの基本的な考え方だけど、個人の国家への依存度が高まるのがどうも歓迎できない。家父長制の国家では女性の権利はあっという間に後退する。
posted at 16:33:14バクーニンの掲げた反家父長制に賛同して女性の賃金労働者が始めたのがスペインの女性解放運動だった。これに対して家父長制の既得権益者である教会とブルジョワが始めたのが女性参政権運動なので、この二つは激しくぶつかり合った。現在公式なフェミニズムとして語られるのは女性参政権運動の歴史。
posted at 16:46:21エマ・ゴールドマンは主流の女性参政権運動家(フェミニスト)に噛み付いた異端という扱いだけど、時系列で見るとゴールドマンが支持した家父長制に反対する女性解放運動の覇権が家父長制を温存する役割の女性参政権運動に奪われていく。目の当たりにしていたゴールドマンはさぞかし悔しかっただろう。
posted at 17:01:34家父長制を巡る二つのフェミニズムの潮流は現在も続いている。昨年日本でも国家権力を批判するチリ発フェミニズム運動が話題になったから、米国発me too運動との違いが説明しやすくなった。現在でもスペイン語圏のフェミニズムにはアナキズムの女性解放運動の影響が色濃く、反家父長制が前面に出る。 twitter.com/BFJNews/status…
posted at 17:35:08「レイプしたのはあなた」 の詩の原案者がアルゼンチン出身の人類学者リタ・セガト。レイプ犯の心理研究の第一人者で「レイプ犯を駆り立てるのは性欲ではなく支配欲」と指摘した。フェデリチと並んで近年のスペイン語圏の反家父長制フェミニズムに大きな影響を与えている。 www.bbc.com/mundo/noticias…
posted at 17:44:51
2020年8月27日
チリ警察が「レイプしたのはあなた」の作者を当局に対する攻撃、憎悪と暴力の扇動で告発したことを受けて、国連はチリ政府に訴えを取り下げるよう勧告した。フェミニズムの運動の訴えが国家に対する攻撃とみなされるのは、国家が家父長制の組織であることの紛れもない証拠。 www.nuevatribuna.es/articulo/globa…
posted at 17:40:04家父長制を支えるのは単なる男尊女卑ではなく、女性の身体は子どもを産むためにあると考えるイデオロギー。その価値観では、女性を孕ませることは賞賛されるべきことなので、レイプが罪とはみなされない。だから「レイプは犯罪である」と指摘する「レイプしたのはあなた」が強烈な家父長制批判となる。
posted at 18:21:51スペイン語圏の社会に家父長制を持ち込んだのは国家ではなくてキリスト教。キリスト教社会においては女性の役割は聖母と娼婦の二つしかなく、女性が生き延びるためには男性のセックスの相手をすることを求められた。女性にとって男性とセックスせずに生き延びることが可能な唯一の場が修道院だった。
posted at 18:40:52キリスト教社会において女性にとってセックスは単なる義務でしかなかったのに、女性の人権が問題になると家父長制の維持のために「恋愛(自由意志)による結婚」が発明され、いつの間にかセックスが愛の証になった。この欺瞞を暴くのが「妻も娼婦も同じ」というエマ・ゴールドマンのような結婚批判。
posted at 18:53:01『キャリバンと魔女』の著者シルビア・フェデリチは「魔女狩り」を家父長制キリスト教社会が男性とのセックスを拒む女性を罰する仕組みと位置付ける。彼女の「魔女狩りはフェミサイドの一種だった」という指摘が、スペイン語圏のフェミニズムでフェミサイドが大きく取り上げられる契機の一つとなった。 twitter.com/afpbbcom/statu…
posted at 19:06:58アナキズムの女性解放史の中ではメアリー・シェリーが重視される。その理由はフェミニストの母メアリー・ウルストンクラフトとアナキストの父ウィリアム・ゴドウィンの娘であるだけなく、著書『フランケンシュタイン』が「産む」ことを運命づける鎖から逃れようともがく女性を象徴してるとされるため。
posted at 19:31:32アナキズムにおける女性解放とは、産まない自由の獲得だったからこそ、中絶の合法化が悲願となる。フェデリカ自身は反対の立場でも、他の女性が中絶をする自由は認めてその実現に奔走した。市民戦争の混乱の中で、中絶が実施可能だったのはアナキストが覇権を握ったカタルーニャのみだったけれども。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:45:00産まないという選択をできる自由が女性に解放をもたらすと考えるから、セックスを強いるレイプは最悪の犯罪となる。アナキズムの中での「性の自由」は第一に「セックスをしない自由」のことなのに「セックスをする自由」に勘違いされてしまうというのが1930年代の女性アナキストの悩みの種だったそう。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 20:02:20
2020年8月31日
『ぶあいそうな手紙』はスペイン語圏のアナキストに興味のある方にオススメの映画。主人公のウルグアイ出身の老人は典型的なリベルタリオ。本がぎっしりと詰まった本棚と机の上のタイプライターは亡命アナキストの必需品だし、蔵書にウクライナ関係の本があるから間違いない。youtu.be/TgO1OPqvfJg
posted at 18:00:38スペインのアナキズム革命と深い繋がりのあるポルトアレグレの協同組合型プロダクションの制作ということで興味を持った。映画の中でスペイン語とポルトガル語が自然に共存していて、ポルトアレグレだから反新自由主義グローバリゼーション運動の到達点世界社会フォーラム開催が可能だったとわかった。 twitter.com/cira_japana/st…
posted at 18:12:402000年代の反新自由主義グローバリゼーションを代表した知識人はポルトガルのジョゼ・サラマーゴとウルグアイのエドゥアルド・ガレアーノ。当時は社会運動を代表する知識人が作家であることを不思議に思ったけど、文化による社会変革を目指すリベルタリオ運動の続きだと考えるとなんの違和感もない。
posted at 18:22:07主人公のエルネストは1973年の軍事クーデターで亡命したウルグアイのアナキスト。おそらく隣人のアルゼンチン人も将軍ビデラのクーデターで国を追われた同じ境遇の同志。マリオ・ベネデッティの詩の使い方といい、エルネストの背景を伺わせる細部の設定にすごくこだわってる。 moviola.jp/buaiso
posted at 18:32:49スペイン語圏のアナキズムはスペイン、アルゼンチン、ウルグアイなど地域別に分けられる。それは受容のされ方が異なるからで、ウルグアイのアナキズムは欧州の影響が強く、土着化の度合いが比較的薄いとされる。一方、アルゼンチン、チリ、メキシコはそれぞれ独自の発展をして強力な大衆運動になった。
posted at 18:39:33アルゼンチンのアナキズムは極めてラディカルで闘争的だったことから、スペインのアナキズムに刺激を与え続けた。例えば、スペインの20世紀アナキズムを代表する組織として知られるFAIだけど、実はアルゼンチンのFORAを真似たもの。結局FAIが覇権を握れなかったのはスペインにはラディカルすぎたから。
posted at 18:47:46「権力を取らずに世界を変える」というアナキストの戦略は、文化的プロパガンダによって自分たちが多数派になることで覇権を握るというもの。多数派になるためには、ある程度その土地の文化風土に迎合することが必要不可欠となるわけで、左派ポピュリズムの原点がアナキズム運動にあるとされる所以。
posted at 19:02:24アナキズムにアンダーグラウンドやインディーのイメージが着いたのは20世紀の後半になってから。19世紀からのアナキズム運動は常にメジャーになることを目指し、最も大衆的であろうとした運動だった。だからこそ、スペイン語圏ではアナキズムが大衆文化の基礎となり、今日も一定の影響力を保ってる。
posted at 19:08:21カトリックを信仰することが共同体の一員として認められる条件だった19世紀のスペインで、教会権力に逆らって共同体から疎外された人々が生き延びるためのシステム構築に用いられたのがアナキズム。異なる思想を持つ人々が共存でき、個人の繋がりに拠らない相互扶助が可能な場を作ることのを目指した。
posted at 19:29:01おそらく一般のアナキズムのイメージが大きく変わったのが1968年のパリ五月革命。労働者が中心の民衆運動だったイメージから学生(若者は常に社会の少数派)中心の運動というイメージになった。その後、イタリアのアウトノミア運動に引き継がれた労働運動としての歴史の方が圧倒的に長いのだけれども。
posted at 19:51:29
2020年9月7日
バンクシーの船はネーミングセンスが秀逸!確かに国境の問題を指摘するのにルイーズ・ミシェルほどふさわしい人はいないだろうな。パリ・コミューンに参加したアナキストで黒旗の考案者ともされるミシェルは、イタリア出身ピエトロ・ゴリと共にラテンアメリカでのプロパガンダでも大きな功績を残した。 twitter.com/ja4refugees/st…
posted at 17:53:59現シティバンクを手玉に取った伝説的アナキストのルシオ・ウルトゥビオもルイーズ・ミシェルをアナキズムの象徴として捉えていた。アクティビストとしてはアナキズム史の中でも重要な役割を果たしたし、アナキズムにおける女性解放運動においてもパイオニア。アナキズムを語るのに絶対外せない人物。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 18:04:08アナキズムのプロパガンダで重要な役割を果たした人物として、必ずルイーズ・ミシェルとエマ・ゴールドマンと女性の名が挙がるのは重要なポイント。この二人はスペインに関わりが深いだけでなく、ラテンアメリカまで足を伸ばしていて、スペイン語圏の女性が支えるアナキズムの下地を作ることになる。
posted at 18:10:10アナキストのライバルというとマルクス主義者のイメージがあるけど、19世紀のイタリアやスペインのアナキストの最大のライバルはカトリック教会。だからこそマルクス派が欧州の労働者しか見ていなかった時も、バクーニン派はラテンアメリカの労働者を目指して海を越えた。その姿は宣教師と変わらない。
posted at 18:18:32カトリック共同体で女性蔑視の価値観を司っていたのが教会だったから、その権威を否定するアナキズムの主張に女性が惹かれるのも当然。女性として生まれただけで男性の従属物とされるわけなので、教会を恨む理由には事足らなかった。宗教施設に火を放つアナキストのかなりの部分を女性が占めていた。
posted at 18:27:48カトリック共同体では女性はいつまでも半人前で、父、兄弟、夫、息子と一生を通じて男性の後見が必要だった。養育権を持つのも夫で、自分が産んだ子供を育てる権利すらなかった。現在の共同親権という制度は、かつては父親しか持てなかった親権の半分を母親が持つことがようやく認められたということ。
posted at 18:40:31カトリックの家父長制と比較すると、母親に親権/養育権を与えつつ、子供は父親のものになるという日本の家父長制は非常にユニーク。これが可能なのも夫婦同姓で、基本的に妻が夫の苗字を名乗るという結婚制度のおかげ。家父長制を現行の結婚制度が支えているから、夫婦別姓の実現が頑なに拒否される。
posted at 18:48:15かつての女性が産む子どもの数が多かったのは避妊も中絶もできなかったのが理由で、自発的にみんなが産んでいたわけではない。産むか産まないかを女性が主体的に決めらると子供の数が減るのは当然の流れなのに、少子化は悪という家父長制の価値観を持つ権力機構が介入して、中絶や避妊を難しくする。
posted at 19:06:37
2020年9月13日
19世紀の女性が教会を恨んだ理由の一つが子どもを失った母親の悲しみに全く寄り添わなかったこと。教会は産ませることにしか興味がないという典型的家父長制的姿勢をとった。こうした女性の救いとなったのがカルデックのスピリティズムと言われてる。スペイン語圏の女性解放運動に大きな影響を与えた。 twitter.com/kobouzu6/statu…
posted at 19:10:18農村部で子どもが多かったのは避妊方法がなかったからで、労働力が必要という理由で子どもを作っていたわけではない。これはフランスの例だけど、育てきれないほど産むことになるわけで、出産によって身体だけでなく心も傷つけられる女性が後を絶たなかった。ここからも出産と女性解放が強く結び付く。 twitter.com/bbcnewsjapan/s…
posted at 19:18:48人口論のマルサスの影響で貧困対策という観点で避妊に興味を持ったのが19世紀のアナキスト。アナキズムが労働者階級に急速に浸透した理由の一つが避妊法を教えたことにあった。この避妊や出産を女性の主権の問題として理論化したのがエマ・ゴールドマンだから、アナルコフェミニズムの創始者とされる。
posted at 19:31:39ここ数年優生思想的という理由で中絶に反対する超保守カトリックが勢力を伸ばしてきた。強固な中絶反対派はトランプやボルソナロの支持基盤で、スペインの極右の台頭を支える層でもある。スペイン語圏でフェミニズムが活発になってきた背景には、中絶を禁止する政治的動きが高まってきたことが大きい。 twitter.com/el_pais/status…
posted at 19:39:42スペインのフェミニズム再燃の契機になったのも、カトリック右派PP国民党政権の中絶を限りなく不可能にする法改正だった。廃案になった時、PPの政治家は何があっても辞任しないのに、教会の期待に応えられなかったことで法相が引責辞任して驚いた。教会の持つ政治的な権力に興味を持つきっかけだった。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:55:08ラホイ政権の中絶法案に関して法相は「女性が真の女性と感じられるように法改正を行う」と言っていた。家父長制においては女性に生まれた人は皆子どもが産みたくて仕方ないという前提で物事が決められるという一例。だから、家父長制の社会では産まない自由の担保として中絶や避妊の権利が重要になる。
posted at 20:10:40フェデリチの『キャリバンと魔女』では中絶や避妊を実践する人を教会が「異端」として徹底的に排除していく歴史が語られる。もし女性に生まれた人は皆子どもが産みたくて仕方ないというのならば、中絶や避妊を禁じる必要はないはずなのに。現実は違うから、家父長制は女性の主体性を認めようとしない。
posted at 20:28:32
2020年9月20日
オンラインで見た。成長の過程で自尊心を攻撃し、従う立場を受け入れるように女性を教育する役割を地域共同体が担うというカトリックの家父長制が良く描かれてる。主人公リスのように女性が自らを解放するにはまず自尊心の回復が必要だから、スペイン語圏のフェミニズムは第一に家父長制打倒を掲げる。 twitter.com/naraiffnaraiff…
posted at 17:51:32超保守的な村でリスの友人の母親は「魔女」と呼ばれる。シングルマザーでスピリティズム実践者という彼女は、教会と家族という二つの家父長制に背いているために共同体から疎外されるけど、彼女に癒しを求める女性がいるのは、カトリック信仰が女性に救済をもたらさないから。 youtu.be/ax2i7tYWicI
posted at 18:08:32スペインは信者の数は減っているものの、カトリックの価値観は根強く社会に残っている。私自身は保守的な村出身の同年代の元修道女と出会ったことが理解を深めるきっかけになった。バルセロナのような大都市は例外中の例外なので、バルセロナにいてもスペインはもちろん、カタルーニャも理解できない。
posted at 18:19:13アナキズムは自助組織を作るイメージがあるけど、19世紀のスペインではカトリック共同体が自助組織だった。教会を中心にする濃密な人間関係がベースの自助組織から疎外された人の受け皿になったのがアナキズムなので、アナキストが目指したのは個人的な人間の繋がりに拠らない相互扶助の「仕組み」。
posted at 18:31:16私たちの多くがイメージするアナキズムは1968年以降のもので、それ以前のアナキズムとは大きく異なる。私自身は国家の中で自治空間を運営するというサパティスタの印象が強すぎた。「相互扶助の仕組み」についてエマ・ゴールドマンは「私が信じるのは協同と連帯であって組織ではない」と説明している。
posted at 18:43:07私とイベリア半島の出会いはポルトガルの詩人フェルナンド・ペソアなので、イベリア半島のアナキズムを指す「リベルタリオ」という言葉を最初に目にしたのは1998年にリスボンの書店で買ったペソアの著作『O Banqueiro Anarquista』の中。エスクード札にペソアの肖像画が描かれた表紙に惹かれて買った。 pic.twitter.com/I1bbsF6kpY
posted at 18:56:52邦訳も出てるペソアの『アナーキストの銀行家』の中で、元アナキストは書き手に対して「いかなる組織も圧制に終わる」と辛辣な批判を繰り広げる。20世紀のアナルコシンディカリズムを批判する銀行家が、元印刷工(19世紀のリベルタリオを象徴する職業)というのも示唆に富む。 www.sairyusha.co.jp/bd/isbn978-4-7…
posted at 19:11:09フェルナンド・ペソアは若い頃、親戚から転がり込んだ遺産で、リスボンに活版印刷所を開いた。すぐに潰してしまったそうだけど。英国領だった南アフリカで育ったので、得意の英語を活かして貿易事務の職に就き、事務員をしながら詩を書き続けたというのもリベルタリオっぽい。 www.estandarte.com/noticias/autor…
posted at 19:21:33銀行とアナキストは水と油のようだけど、カタルーニャ最初の労働者組織は普段からお金を積み立てておいて失業や病気で働けない時に受け取る仕組み「共済基金」で、現在は大銀行。無償奉仕を讃えるのはブルジョワカトリックの価値観で、労働者にとって対価のない奉仕は不当な労働力の搾取でしかない。
posted at 19:35:20アナキストが国家、教会、家族に反対したのは、どれもが不当な搾取を行う仕組みだからで、家父長制はその仕組みを正当化する役割を担ってきた。賃金が存在する前から搾取の構造はあったので、賃金を否定して無償にしたところで搾取は無くならない。搾取がなくなれば賃労働はなくなるかもしれないけど。
posted at 19:49:00アナキストの理論で有名な「Amor Libre自由な愛」も同じ。テレザ・マニェ(フェデリカ・モンセンの母親)は、アナルキアが実現した時に可能となるのが「自由な愛」なので、現在の社会では実践不可能な愛の形と説明している。「自由な愛」の実践からアナルキアが生まれるわけではなく、これも順番が逆。
posted at 19:57:18
2020年9月21日
オンラインで見た。主人公サラを通じて家父長制資本主義社会の女性の二重搾取が描かれる。資本主義で安い労働力として労働市場に組み込まれた女性が、家父長制によって資本主義を支える根幹の労働力の再生産=出産と育児を課せられることで、さらに搾取されるという構図。 nara-iff.jp/2020/program/c…
posted at 08:36:24カタルーニャのアナキスト、テレザ・クララムンは労働者階級の女性を「奴隷(男性労働者)の奴隷」と呼んだ。女性が受ける二重の搾取への抗議が反資本主義フェミニズムの原点で、自ずと搾取の構造に巻き込まれるから、出産は女性の主権問題とアナルコフェミニズムは主張する。 youtu.be/SlzbKqSTInM
posted at 08:48:57当時、左派から家事労働の「賃金化」は資本主義への擦り寄りと大きな反発があったとフェデリチは語ってる。そこにあるのは「家族の世話は家族への愛情から無償で行うべき、賃金を要求するなどけしからん」という家父長的な考え方で、無償は有償より尊いとすることがブルジョワ的価値観なんだけれど。 twitter.com/yukatorawman/s…
posted at 09:01:18ゴールドマンが愛の証として無償で行うセックスは尊く、対価をもらう有償のセックスは汚らわしいというブルジョワの価値観を批判したのも、その奥に賃労働を蔑む視線があったから。エマは資本主義社会では弱者ほどお金が必要となると知っていたから、搾取を正当化する無償労働の賛美を許さなかった。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 09:11:32ゴールドマンが暮らした20世紀初頭のNYで、売春を行うのは移民の賃金労働者が多かった。移民かつ女性という賃金体型の最下層に置かれた女性は、長時間労働でも生活を支えるのに十分な賃金を稼ぐことができず、売春で生活費を補填していたから。自身が移民女性だったエマはこの状況を良く知っていた。
posted at 09:31:44家父長制の社会で育ったサラの最大の弱点は自尊心がないこと。さらに、その原因を作った家父長制の社会がその弱みに徹底的に付け込んで、彼女はどんどん追い詰められていく。家父長制は女性の自尊心を奪い、男尊女卑の価値観を植え付けることで、その内面から奴隷化していく。植民地支配の手法と同じ。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 11:22:59スペイン語圏で女性解放運動は植民地解放運動と深い関わりがある。ペルーで植民地解放運動を目の当たりにした後にフランスに戻り活動を始めたフローラ・トリスタン(父親がペルー人)が第一人者とされるから。彼女は『労働者連合(1843年)』でマルクスより先に世界の労働者の連帯と団結を呼びかけた。
posted at 11:37:07フローラ・トリスタンは流刑地のニューカレドニアで現地民と連帯し、フランスからの独立運動の起点に関わるという桁外れの人物だった。ゴーギャンの祖母でもあり、マリオ・バルガス=リョサが『楽園への道』でその生涯を小説にしたので、スペイン語圏での知名度はとても高い。www.kawade.co.jp/np/isbn/978430…
posted at 11:55:15
2020年9月27日
トランプが選んだ新しい連邦最高裁判事は、まるで絵に描いたような家父長制支持超保守カトリックの女性。「7人の子どもがいる敬けんなカトリックで、人工妊娠中絶や銃規制に批判的な立場の保守派の判事」「トランプ大統領としては、支持基盤であるキリスト教福音派をはじめとした保守層にアピール」 twitter.com/nhk_news/statu…
posted at 09:16:55キリスト教福音派はジルマ・ルセフをブラジル大統領から引き摺り下ろした弾劾でも中心的な役割を果たした。2000年代のラ米での左派政権成立に大きく寄与した解放の神学派の対抗勢力で、バチカンを率いるフランシスコ教皇に対立する立場にある。ラ米の政治情勢にはキリスト教の覇権争いが如実に現れる。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 09:28:45エクアドルではモレノ政権が現在は犯罪である緊急中絶を合法化する法案を廃案にした。スペイン語圏では21世紀の家父長制主義者を支えるイデオロギーをextractivismo(採掘主義)と呼ぶ。女性解放を環境問題の延長線上に位置付ける視点は、サパティスタなど先住民のフェミニズモ・コムニタリオの影響。 twitter.com/EPinternaciona…
posted at 09:47:54植民地主義、家父長制、資本主義が融合したイデオロギーの「採掘主義」は女性の身体を天然資源とみなし、最大限に活用する(最大の人数を産ませる)ことを良しとするから、効率を求める新自由主義と相性がいい。女性の身体は新たな労働力を生み出すための原料でしかないので母親よりも胎児を優先する。
posted at 10:10:42女性解放を環境問題の延長線として扱うフェミニズムの中で「採掘主義」による女性の身体の資源化を資本主義の問題と絡めて理論化しているのがフェデリチ。国家を資本主義の道具とみなして国家依存からの脱却を主張しているので、今はマルクス派経済学者というより反資本主義反国家フェミニズム理論家。 twitter.com/La_Directa/sta…
posted at 10:23:23フェデリチは米国在住なんだけど、英語圏のフェミニズムは家父長制の問題にあまり関心がないようで、近年は新刊がスペイン語版で出てその後に英語版という状況になってる。2018年に読んだ著作の英語訳が今年出るみたいだけど、スペイン語ではこの本の後にもう一冊出たところ。 www.pmpress.org/index.php?l=pr… twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 10:39:21新自由主義の下、世界中で「採掘主義」による女性の身体の囲い込みが始まっている。家父長制の社会で女性解放運動の最前線となるのは「産まない自由」の確保。 twitter.com/SafeAbortion_j…
posted at 10:49:12
2020年10月4日
今回の主人公はアナキスト閣僚の一人フェデリカ・モンセンの母親で「Amor Libre 自由な愛」の理論家としても有名だったテレザ・マニェ。テレザ・クララムンとともにカタルーニャ/スペインのアナルコフェミニズモの基礎を作った。第一インターのアナキズムを端的に象徴するのがこの二人の女性の存在。 twitter.com/cira_japana/st…
posted at 11:03:12マニェが学歴のある教師だった一方、クララムンは学校も行かずに繊維工場の労働者となった。活動家クララムンと理論家マニェが二人三脚で築いたのがアナルコフェミニズモの基礎となる。フェデリカ・モンセンは自分には生物学的母(マニェ)と精神的母(クララムン)二人の母がいると言っていたそう。
posted at 11:12:42モンセンの入閣はアナキストの政治参加の是非という点でばかり議論されて、欧州で初の女性を閣僚を輩出したのがアナキストという点が軽視されてきたと思う。それによって、閣僚フェデリカの誕生と彼女が手がけた中絶の合法化がアナキズムの女性解放運動の一つの到達点という事実が見過ごされてきた。
posted at 11:21:10リベルタリオ文化を象徴する雑誌『レビスタ・ブランカ』の立役者は編集長としてクレジットされているフェデリカの父ジョアン・モンセンとされてきた。女性を成人とみなさい当時の法律ではテレザ・マニェが編集長になれなかっただけで、雑誌を支えてきたのはマニェだったことが周知されてきたところ。
posted at 11:27:10『レビスタ・ブランカ』の寄稿者のクレジットを見ると、最初はマニェのペンネームソレダ・グスタボで、次はルイズ・ミシェルと二人とも女性。ミシェルもフランスの第一インターを象徴するといわれていて、この時代を調べるとアナキズムのプロパガンダにおいて女性の存在感が非常に大きいことに驚く。 pic.twitter.com/bzuVdcCnAC
posted at 11:34:2520世紀に入って労働組合を中心とするシンディカリズモの影響が大きくなると、バクーニン派アナキストの主張の柱だった女性解放が周縁に追われる。アナキズムだけでは女性解放は不可能と考えた女性たちが1936年に女性向け雑誌『Mujeres Libres自由な女たち』を創刊し、アナルコフェミニズモが誕生した。
posted at 11:43:08スペインのアナキズム史で『Mujeres Libres自由な女たち』についてほとんど語られてこなかったのは、存在そのものがアナキズムの中に女性差別があった証となるからと言われている。女性アナキストの存在に光を当てたのは女性研究者で、アナキズム女性史を支えるのはアナキズム研究の中の女性の活躍。
posted at 11:51:47フェデリカ・モンセンはアナキズムの枠で女性の解放は可能だからアナルコフェミニズモは不要と考えていたので、『Mujeres Libres自由な女たち』には参加せず、それを支援したエマ・ゴールドマンとも微妙な関係だった。エマはテレザ・マニェとは親しい関係で『レビスタ・ブランカ』にも寄稿していた。
posted at 11:59:01「Amor Libre」をエマは「嫉妬から解放された愛」、テレザ・マニェは「情熱から解放された愛」と定義した。女性を性愛の対象だけではなく、対等な同志として扱えというものなので「ロマンチックな愛」の対極に位置する。「Amor」に「恋愛」を当てる「自由恋愛」という日本語はどうもしっくりこない。
posted at 12:08:22日本語では情熱、狂気、非理性といった言葉がアナキズムと結びつくけど、スペイン語ではこうした言葉はカトリック信仰に結びつくので、アナキズムの対極にある。非合理的な論理に基づく盲目的な服従を押し付ける教会を、冷静沈着に科学的な合理性を武器に攻撃するというのがアナキストの戦略だった。
posted at 12:19:37
2020年10月11日
「Amor libre 自由な愛」を巡る番組。性的関係にある男女二人の関係を人間関係のピラミッドの頂点に位置付ける「ロマンチックな愛」を批判する概念で、男女の性的な関係を特別視するのは家父長制的な価値観なので「性的な奔放さ」と関連づけるのは良くある誤解と説明してる。 youtu.be/Wm4ciPVhjHU
posted at 12:50:28「Amor libre 自由な愛」は相互の尊重に基づく人間関係を意味して、恋愛を友情の上に置かないなど人間関係にヒエラルキーを作るべきではないと主張するのが極めてアナキズム的。この関係性を指すためにフェミニズムから出てきたのが「Poliamor ポリアモリー」で、ここでも性愛と親密さは直接関係ない。
posted at 13:06:10関係性のヒエラルキーを作らないことが最重要なので、例えば二人の関係を核に据えて、それ以外の人との関係を周縁に位置付けるサルトルとボーヴォワールのケースはポリアモリーとは呼べないという。確かに「私たちは互いの分身」というのはロマンチックな愛の価値観そのもの。 youtu.be/9N6nXIXBQQ0
posted at 13:15:10伝統的家族の形の出発点には、性的関係にある男女二人の関係を特別視する視点がある。「Poliamor ポリアモリー」の背景にあるのは、男女関係を女性同士の関係の上位に位置づけることに加えて、家父長制的な発想の「女性にとっては家庭が第一」が女性の連帯を拒んできたのではないか?という問題意識。
posted at 13:27:19グアテマラのアナキスト、レベッカ・レネの『この身体は私のもの』。嫉妬や束縛を愛の証とする「ロマンチックな愛」がメディアに溢れる中「恋愛による自己実現」が女性を家父長制に縛り付けていると考えるスペイン語圏のアナルコフェミでは恋愛至上主義の解体が最優先課題。 youtu.be/dT2mTKwXlG8
posted at 13:42:09バクーニンに始まり1アナキストたちが伝統的家族の解体を主張したのは、男性が女性を所有する制度であった結婚が原型の男女一組の単位が子どもを育てるのに適した枠組みか?という疑問があったからで、常に教育の問題が同時に語られる。「Poliamor ポリアモリー」は家族の単位を拡大する試みでもある。
posted at 13:52:43バクーニンは1845年に手紙の中で「愛とは自由、つまり他者からの完全な独立を求めることである。真の愛に至る最初の一歩は愛する対象からの完全な解放である」と綴った。自身の理想の愛の形を実現するために女性の解放が必要と考えたバクーニンの主張を女性アナキストが主権問題へと深化させていく。
posted at 14:09:50第一インターの時代、バクーニンは男女同権を主張してプルードン派と対立、妻にもプログラムに署名をさせようとしてマルクスからバカにされる。アナキストなのに結婚し、妻の男関係に口を出さず、自分が父親ではない子どもも可愛がったので、同志たちの嘲笑の的だったとか。 www.portaloaca.com/pensamiento-li…
posted at 14:21:5019世紀半ばの欧州、男性のほとんどは「女性は男性の所有物でセックスの相手」と考えてた時に「女性も同じ人間だ」と主張したバクーニンの衝撃。第一インターの男性中心主義と男尊女卑は社会を反映したものでしかないけど、マルクスと対立の原因は国家よりも女性を巡る考え方だったのではないかと思う。
posted at 14:46:31あちこちで国家が機能不全に陥っていた19世紀半ばの欧州の状況を考えると「国家をぶち壊せ」より「女性も同じ人間だ」という主張の方がずっと過激だったはずで、女性を巡る考え方の溝の方がはるかに大きかっただろう。このアナキストとマルクス主義者の女性観の違いはスペイン市民戦争でも表面化する。
posted at 15:02:31現在もそうだけど、国民国家を支える最小単位が法律婚による男女二人+子どもからなる「家族」だから、アナキストは国家の解体には家族の解体も必要と考えた。来るべき社会を支える新しい人間関係のあり方を考える最初の一歩として、尊重に基づく対等な関係を指す「Amor libre 自由な愛」が出てくる。
posted at 15:15:27アナキストは労働者階級の女性は家父長制と資本主義によって二重に抑圧されていると考える。権力の獲得なしの革命の実現には多数派にならなければならないので、同志として資本主義との闘争に参加してもらうためにも、革命への第一歩として人口の半分を占める女性を家父長制から解放する必要があった。
posted at 15:40:15アナキストは反資本主義の観点から賃労働に否定的だったと言われるのだけど、資本主義社会で賃金が家父長制から女性を解放する手段となる面は否定できない。そのため、CNTは1910年設立時女性の個人的自律の確保を目的に、女性の労働市場へのアクセスと賃金を男性と同じにすることを目標に定めている。
posted at 15:47:03女性解放では、賃金による労働の可視化も無視できない。家父長制資本主義社会において無償労働に価値を見出すことができるのは、再生産労働で搾取される心配のない男性だけ。家事=再生産労働として家庭内の無償労働を強いられる女性にとって新たな無償労働はさらなる搾取を受け入れることでしかない。
posted at 15:59:03アナルコフェミニズムの観点からいくと、女性の解放のためには家事=再生産労働を家族の問題から社会の問題にする必要がある。最近の男性の育休を巡る動きが極めて新自由主義的だと思うのは、育休は自助の支援であって公助ではないから。伝統的な家族の枠組みの中でのケア労働の分配を変えるだけ。 twitter.com/nikkei/status/…
posted at 16:40:06スペインでアナキズムから分かれてアナルコフェミニズムが出てきたのも、家父長制に基づく不均衡なケア労働の分担を変えないまま、クロポトキン的な相互扶助を実践しても、結局女性の負担が増えるだけだったから。相互扶助はケア労働の比重が大きくなるので、自主性に任せると女性がやることになる。
posted at 17:26:42クロポトキンは避妊や産児調整など女性と性の問題に取り組んでいたエマ・ゴールドマンに「セックスのことばかりではなく、革命を真剣に考えたらどうか?」みたいなことを言ったら「年寄りのあなたは興味がないかもしれないけど若者にとっては重要な問題です」と返されて、ぐうの音も出なかったとか。
posted at 17:47:05スペインのアナキズム研究で翻訳の印刷部数で影響力を調べる研究があるのだけど、バクーニン、クロポトキン、ゴールドマンなどロシア勢とプルードン、ルクリュ、グラーベなどのフランス勢が大部分を占めて、英語圏はさほど多くない。スペイン語圏と英語圏のアナキズムで概念や意味が異なる理由と思う。
posted at 18:14:26アナキストの思想は細切れのテキストの形で普及した。例えばクロポトキンの著作は約40あるけどスペイン語に訳されたのは半分以下。クロポトキンの思想が体系的に紹介されたわけではない。各地のアナキストが自分の興味でテキストを選んで翻訳したから各地のアナキズムに違いが出てきて、これが面白い。
posted at 18:50:51
2020年10月18日
先週フェデリカ・モンセンが主人公の映画の撮影が始まった。「スペイン内戦」がテーマの映画はいくつもあるのに、彼女を扱ったものはこれが初めて。アナキストかつ女性ということで、欧州初の女性閣僚になった彼女の功績がいかに歴史の陰に追いやられていたのか良くわかる。 www.elsaltodiario.com/los-nombres-de…
posted at 18:38:56モンセンは戦時下のスペインで保健相になり「Mujeres Libres 自由な女たち」の創設者でアナキスト医師のアンパロ・ポックを補佐に選んだ。戦傷者を救う緊急医療体制を整えて、中絶合法化や今でいう周産期医療の整備にも着手。活躍の場が再生産労働の分野だったことも歴史的評価が遅れた理由だと思う。
posted at 18:49:30女性アナキストが中絶の合法化を目指したのは、当時望まない妊娠で産んだ子どもを育てきれずに死なせてしまった場合、育児放棄や殺人として刑事罰の対象になったから。妊娠の結果を全て女性に押し付けるのであれば、産むか産まないかの決定権を与えろというのが主張だった。 rojoynegro.info/articulo/eje-v…
posted at 18:59:43女性アナキストは男女が対等な関係を築くためには、家父長制に基づく不均衡なケア労働の分担を変える必要があると考えた。19世紀末から「ブルジョワ打倒を叫ぶアナキストであるなら、まず妻に対してブルジョワの夫のような家父長的な態度を改めるべき」と家庭内で再生産労働の再分配を進めようとした。
posted at 19:13:39アナキズム革命の柱は生産労働の集産化と再生産労働の相互扶助。つまり、相互扶助とは無償で行われてきたケア労働を共同体内で分配することだから、家庭でケア労働を分担できない人が共同体の相互扶助システムに参加できるわけない。人口の半分が戦力にならないようでは相互扶助は実現不可能となる。
posted at 19:24:51女性アナキストが20世紀の女性参政権運動に参加しなかったのは、女性の解放に必要なのは第一に不均衡なケア労働/再生産労働の分担の変革と考えていたから。この映画も主人公の夫の家父長的態度があまりにも酷くて、なんで家父長制が問題にならないのか不思議でしょうがない。youtu.be/iG6DM8RvI-g
posted at 19:42:481896年にロンドンでヘイマーケット事件の不当性を訴えるアナキストの集会が開催されて、マラテスタ、エマ・ゴールドマン、ルイーズ・ミシェルが演壇に立った。それを伝える当時の新聞に参加者の半分は女性という記述があって、この女性アナキストたちがどこへ行ってしまったのかずっと気になっている。
posted at 20:00:08
2020年10月23日
欧州でも優生思想的という理由で中絶に反対する超保守カトリックが勢力を伸ばしつつある。欧州で極右が優生思想と結びついたのはすでに過去の話で、反優生思想を掲げて女性の主権を制限しようとするのが21世紀の極右。トランプやボルソナロを支える強固な中絶反対派はスペインではVOX台頭の影にいる。 twitter.com/47news/status/…
posted at 19:00:48欧州で国家が女性の身体に介入し出したのは、ペストや大飢饉で人口が激減した16世紀。人口=兵力の減少は国力の衰退なので、女性の社会的役割を出産育児に制限するために公の場から追い出した。出産や中絶に関わる女性たちが魔女として迫害され、男性の職業医師に取って替わられたのもこの時期から。
posted at 19:11:46資本主義の下では、労働力の余剰を生み出して労働力の生産コストである再生産労働の価値を切り下げるために、女性の産む機械としての役割が重要性を増す。世界中で新自由主義の「採掘主義」による女性の身体の囲い込みが始まる中、家父長制社会で女性解放運動の最前線となるのは産まない自由の確保。
posted at 19:23:51この日本産婦人科医会の動きも、世界中で起こっている新自由主義の「採掘主義」による女性の身体の囲い込みとリンクしている。19世紀のスペインで影響力を失いつつあった教会に代わって、家父長制に基づく女性蔑視に科学的なお墨付きを与えたのは医師だったことを思い出した。 www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanag…
posted at 19:37:26それにしても、産婦人科医会の「薬局で買わなくても私どものところに来れば、本当に必要なら出します」という主張、本当にすごいな。妊娠した場合に出産に関する全てを自分の身体で引き受ける本人よりも、医師の方がアフターピルの「本当の必要性」がわかるってどういう理屈?www.buzzfeed.com/jp/naokoiwanag…
posted at 19:53:21「反資本主義でないフェミニズムはありえない」と言われるのは、資本主義を支える労働力が女性の身体の搾取から生まれているという構造があるから。女性が新たな労働力を産む機械という機能と労働力を再生産する無償のケア労働の従事者という社会的役割を引き受けることをやめたら資本主義は崩れる。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 20:14:20ボリビア革命の中にあるマチズム批判から生まれたのが先住民の女性解放運動フェミニスモ・コムニタリオで、人間は家庭の中にある女性の身体=母親から搾取を学ぶと主張する。これがスペイン語圏フェミニズムに大きな影響を与え、女性の身体こそが資本主義との闘争の場であるという共通認識が生まれた。
posted at 20:22:24ボリビアのフェミニスモ・コムニタリオを代表する論客の一人がアイマラ族でレズビアンのアドリアナ・グスマン。フェミニズムなど西欧生まれの概念は全て西欧中心主義として用語の脱植民地化からスタート。家父長制をあらゆる搾取のシステムを包括する言葉として再定義した。 youtu.be/CV0–RjTMBo
posted at 20:35:14フェミニスモ・コムニタリオは「時間を脱植民地化する」など、スペイン語を用いながらスペイン語の世界観をバキバキ壊してくるので、ものすごく刺激的。サパティスタは通訳としてマルコスを必要としたけど、20年以上たった今、もはや先住民は通訳を必要としない。世界は変わりつつある。感慨深いな。。
posted at 20:45:13スペイン語圏のフェミニズムの議論、例えばシルビア・フェデリチやリタ・セガートの理論で出てくる「家父長制」や「女性の身体」は、フェミニスモ・コムニタリオなどの影響で再定義されたものなので他の言語に訳しづらい。英訳が出ず他の言語圏に広がらないのは、言葉の定義の壁が大きいからなのかも。
posted at 20:54:11