ramonbook[@ramonbookprj]さんの過去ツイをサルベージ。
理由というか事情はこちら→https://kyotofan.info/politics_society/20120925-30/
Twiiter社の新API仕様変更
・・・平たく言うなら
イーロン・マスクの傍若無人な我儘
・・・つーかさぁ、ナニコレ
【Twilogについてお知らせ】
本日、TwilogのAPI利用が停止されました。このため、誠に残念ですが今後Twilogが新規ツイートを取得することが不可能となりました。既に記録済みのツイートについては、当面はこれまで通り閲覧可能な状態で残したいと考えております。
— ロプロス (@ropross) April 5, 2023
ふざけんなよ!イーロン・マスク (-_-💢)
2020年11月5日
フェミニスモ・コムニタリオのグスマンによると先月のボリビア大統領選挙は多民族国家の継続(左派ルイス・アルセ)か国民国家への回帰(右派カルロス・メサ)かが争点だった。エボは象徴なだけで、ボリビアの変革のポイントは新憲法で国民国家から脱却したことなんだろう。 directa.cat/amb-el-cop-des…
posted at 19:19:10先住民の国民国家に対する違和感を広く可視化したのがサパティスタの登場。メキシコは国民国家として異なるルーツを持つ人たちが一つに混じり合う「メスティソ」を国民モデルとしたけれど、彼らはメスティソにならずに先住民のまま国家の一員になりたいとメキシコ国旗を掲げた。国民国家が軋み出す。
posted at 19:32:52先住民がそれぞれのアイデンティティと共同体を保持したまま国の運営に参加できるようにしたのが「ボリビア多民族国」の憲法。西欧で普遍モデルとされる国民国家をやめる選択は脱植民地化の最終段階と言えるかも。国家ヒエラルキーの底辺にいた先住民が大統領になったことよりずっとラディカルな変化。
posted at 19:55:35「強力な国民国家」のモデルだった二つの大国フランスと米国の現状を見ていると改めて「国民国家」について考えさせられる。奇しくも両国とも19世紀にアナキズムがかなりの影響力を持って、対策として強力な国民国家となったはずだったのに、国家と自己の一体化を前提にした国民モデルが崩れ始めた。
posted at 20:08:34チリの新憲法制定も先住民マプチェ族の動向によっては国家モデルの変更に踏み込む可能性がある。マプチェの居住区はチリとアルゼンチンにまたがるけど、どちらの国家にも属したくないと主張してきた。そもそも多様性が叫ばれる時代に国民を統合する国民国家やそれを支える国民モデルを作れるのかな。 twitter.com/kyodo_official…
posted at 20:25:40世界中で国家が求心力を失って国家の力関係で維持されていた秩序がバラバラになっていく現在の状況は、アナキズムが生まれた19世紀欧州によく似ているみたいで、その頃に書かれたアナキストのテキストがどんどんリアルに感じられるようになってる。次々に情報が訂正されるニュースを追うより面白い。
posted at 20:42:03
2020年11月10日
「勝利演説」という言葉。選挙が代表者ではなく勝者を決めるものになったのはいつからだろう。未だに「内戦」で表面化した「分断」を解決できないスペインを見ていると、参加者もろとも明確な勝者と敗者に分断する選挙や国民投票しか直接参加できる意思決定方法がないことが問題な気がするのだけど。 twitter.com/bbcnewsjapan/s…
posted at 18:30:08トランプは一丸となった反対勢力に倒されるところまではベルルスコーニと同じ。イタリアはこの後元知事から転身したレンツィが「若さと有能さ」をアピールして登場し、国民国家の運営を企業経営のように扱って落ち着きを取り戻す。そして、マグマのように溜まったナショナリズムがサルビーニを生んだ。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:05:31ムッソリーニが「スペイン内戦」に入れ込みすぎて消耗してヒットラーに追い越されたから、歴史ではドイツのナチスの方が重要になるけど、ファシズム思想を生んだのはイタリアだし、フランコ体制につながるスペイン極右もファシスト党を真似たもの。イタリアは政治や思想でずば抜けた創造性を発揮する。
posted at 19:25:0520世紀初頭「スペイン国民」が労働者と資本家に分断されていた時、政府はストやデモなどを行うカタルーニャの労働者を「分離主義者」と呼んだ。分断された国家統一のためにイタリアのムッソリーニやスペインのフランコなどのファシズム勢力が現れたことを思うと、表面的な分断の解消を急がない方が吉。
posted at 19:35:06国民国家の前提にある「国民が一つでなければならない。国民が分断されていてはならない」という考えは突き詰めるとファシズムと見分けがつかない。一つに統合を目指す国家ナショナリズムが多様性と共存することは不可能なのだから、分断を前提にした新しい共同体モデルを考える方が良いのではと思う。
posted at 19:53:30
2020年11月22日
アナキズムにおける「自由」は「生存を脅かされないこと」と教えてくれたのがサパティスタだった。彼らが「第四次世界大戦」と名付けた状況が現在も急速に進行している。新型コロナ対策として人の移動が制限される中で「自由」を新自由主義の定義である「移動の自由」意味で使うのが各国のネオリベ勢。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 18:07:55「息子(新自由主義)は父(国家資本)を貪り尽くして通りがかりに資本主義イデオロギーの嘘を破壊する。新世界秩序の中には民主主義も自由も平等も友愛もない。世界という舞台はカオスが支配する新たな戦場と化す」「国民国家の基礎だけでなく歴史と文化の破壊でもある」ramonbook.wordpress.com/2014/02/18/la-…
posted at 18:20:19「多国籍企業の躍進が先進国の発展を意味するわけではない」「国家はストリップにいそしみ、必要最低限のものしか残さない。弾圧という力だ。重要な基礎が破壊され、主権や独立が無効にされ、政治家階級の影は薄くなり、国民国家はメガ企業に仕えるための安全装置と化す」ramonbook.wordpress.com/2014/04/19/la-…
posted at 18:32:56「新自由主義がその戦争を進めているのは国や地域を「結合させる」ためだけではない。破壊/絶滅、再建/再編というその戦略は国民国家の中に亀裂を生み出しているのだ」「新自由主義が世界を破壊するのは(…)この戦争を指揮する政治的・経済的中枢を生み出すためでもある」ramonbook.wordpress.com/2014/04/25/la-…
posted at 18:38:50同時代的に追いかけることができてるスペインのアナキズム史が1992年バルセロナ五輪前後からということもあって、改めてサパティスタのことを考えている。マルコス副司令官の「第四次世界大戦が始まった」は1997年5月に発表されたものなのに、その分析が20年以上たった今も有効なことにびっくりする。
posted at 18:53:39その後、サパティスタなどの先住民運動のイデオロギー「マルクス主義&先住民主義」を軸にして行われたのがエボが象徴となったボリビア革命。社会が変革されても男尊女卑は解決しないという女性の実体験から「ボリビア革命」の中の男性中心主義への批判が生まれ「フェミニスモ・コムニタリオ」誕生へ。
posted at 19:06:44マルクスの思想は世界の一地域でしかない欧州の価値観をあたかも普遍的なものとみなすから西洋中心的、植民地主義的などと批判したのがラ米の先住民。そこから生まれた「先住民主義」もマルクスの思想と同様に家父長制的で男尊女卑と批判した先住民女性が「フェミニスモ・コムニタリオ」を生み出した。
posted at 19:23:432000年代のラ米で変革を主導していたのは欧米史上主義を乗り越える動きだった。欧州の左派思想を支えるマルクスもフェミニズムもエコロジーも欧米生まれだから西洋中心主義からは逃れられず、その価値観を押し付けるのは植民地主義的と批判されたから、スペイン語では左派思想自体が大きく変わった。
posted at 19:44:02もちろんプルードン、バクーニン、クロポトキンと代表する人物が全て白人男性のアナキズムも例外ではない。アナキズムは歴史的に植民地主義とか家父長制とかと共存できないわけで、地域を限定したり、相互の影響/交流を扱う研究になっていった。今や大文字のアナキズムが語られることはほとんどない。
posted at 19:56:18「私のことは忘れて私の思想だけを覚えていてくれ」と言ったフェレ。もともとスペインではアナキストよりもアナキズムについて書かれたテキストの方が重要なので、アナキズム史はアナキストの歴史ではなくアナキズム雑誌の歴史になる。だから、方向転換がうまくいったのかも。cira-japana.net/pr/?p=849
posted at 20:10:50「スペインのアナキズムはテキストに宿る」ということを教えてくれたのがバルセロナのAteneu Enciclopèdic Popular。このカレンダー制作でたくさん見た雑誌の文字がぎっしりと詰まった紙面が印象的で、アナキズムについて書くときは文字をできるだけ詰め込むようにしてる。 cira-japana.net/pr/?p=401
posted at 20:28:50
2020年11月23日
雑誌の良いところは発行日と発行場所が必ず記載されているから、容易に場所と時期が特定できること。同時代の人々は最新の情報を入手したくて雑誌を手に取っていたので、テキストが読み解くために時期と場所は不可欠な情報。情報量が多いほど読み応えがあるし、広告や投稿欄も時代がわかって興味深い。
posted at 19:20:23その一方「先住民の思想は語りに宿る」みたいで、2010年以降だと思うのだけど、動画で情報が入るようになってから印象が大きく変わった。基本的にフェミニスモ・コムニタリオは聞いて耳から理解したので、これを知った後はサパティスタの言葉が違う響きを持つようになった。 youtu.be/C6l2BnFCsyk
posted at 19:26:26一番の衝撃が「植民地化された時、先住民の文化を理解しない西洋人によって、私たちは遅れているとみなされたために、過去の一点に閉じ込められてしまった。私たちの時間は彼らの時間とパラレルに流れているだけで、過去に属するものではない。それを解放することが時間の脱植民地化である」という話。
posted at 19:35:02先住民から「時間の脱植民地化」の話があったから1990年代に欧州の左派がサパティスタのメッセージについて間違った解釈をしていたとわかったわけだけど。当時の欧州には米国中心のグローバリゼーションへの抵抗はあっても「新自由主義批判」という視点がなかったので、反米行動と解釈してしまった。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:49:29ここ数年で欧米でも新自由主義批判が繰り広げられるようになったけれど、そのロジックは先住民の思想に大きく負っていることを忘れてしまうと、植民地主義と同根の新自由主義には対抗できない。残念ながら、欧米はリベラリズムへの愛着からネオリベの対抗思想を生み出せなかったことは心に留めたい。
posted at 20:04:05第二次世界大戦でのナチスドイツの敗北で欧州(スペイン以外)からファシズム勢力は一層されたけど、そのイデオロギーはラテンアメリカの独裁軍事政権として生き残った。その後、チリの独裁者ピノチェトのもとで新自由主義が始まったことを考えれば、新自由主義とファシズムの親和性が明らかだと思う。
posted at 20:08:5290年代のサパティスタへの誤解を踏まえて考えると、20世紀前半の全てが混沌としていた時期にファシズム的なものを他のものと区別することも難しかったはずなので、当時のテキストを読むときに注意が必要。例えば、スペインは革命的シンディカリスモがアナキスト系とファシスト系に分かれて発展する。
posted at 20:23:26
2020年11月24日
@pon_kin 心当たりはないですが、スペイン語の文献で天皇を君主ではなく精神的指導者と捉えているのを見てなるほどと思った記憶があります。確かに共同体で担ってる役割は欧州の王室よりローマ教皇に近い。信者以外が教皇の言動をありがたがるのも興味深い現象だし、日本語では「教皇のお言葉」って使いますね。
posted at 17:29:04@pon_kin 欧州でアナキズムのオリジナルの観点は反国家だけで、反君主、反教会の部分は、それぞれ共和主義と反カトリック運動の延長線上にあるので、天皇を扱うのにアナキズムだけでは足りないのでは。アナキズムが共和主義の発展系でないのは日本の特徴だと思います。
posted at 17:33:29@pon_kin いえいえ。こちらこそ、質問について考えたおかげでスペインのアナキズムについての新たな気づきがありました!
posted at 19:33:12
2020年12月4日
石川三四郎みたいなユートピア主義者の面影を残す現存の人物といったら、やっぱり元ウルグアイ大統領のぺぺ・ムヒカだろう。欧州からフーリエ主義者がたくさん移住していたウルグアイには、後にマラテスタの盟友ルイジ・ファブリが定住してアナキズムのプロパガンダに励んだ。note.com/kougeisha/n/n3…
posted at 18:15:53石川を始め、アナキズムの歴史の登場人物は挫折を繰り返す人だらけ。アナルキアの実現を目指していたのだから当然だけど。今支配的な「成功を目指すべき」「何かを成し遂げるべき」という価値観自体は新自由主義が持ち込んだもので「自由な人生」を送るためには「成功」はさほど重要じゃないんだろう。
posted at 18:30:45石川について考えてる時に、アナキズムと天皇についてのコメントをもらい、しばらく「アナキスト君主」いう本があったよなと考えていた。で、思い出したのがアントナン・アルトーの『ヘリオガバルスあるいは戴冠せるアナーキスト』。久々に手に取ったけど、1934年出版というところも何とも思わせぶり。 pic.twitter.com/DQD6R7wNa3
posted at 18:48:21さらにアルトーで思い出したのがサルバドール・ダリが自らを「アナキストで君主主義者」と定義していたこと。カタルーニャ出身のダリはバルセロナのアナキズム文化運動に関わっていて、ガルシア・ロルカがバルセロナで詩の朗読会をやるようになったのもダリがいたからだった。 youtu.be/I27X2V89RE8
posted at 19:01:49ダリは結局フランコ体制の協力者になってしまうのだけど、自ら食を絶って衰弱していく晩年、彼が発する言葉の中で付き添いの看護師が唯一聞き取ることができたのが 「私の友ロルカ」だったと知ってから、いろいろ考えてしまう。若くして友人が銃殺される経験って想像できない。elpais.com/cultura/2013/0…
posted at 19:15:45石川は「私はヨーロッパに行って、会ふ人も会ふ人も(…)単純生活、労働生活の実行者であり(…)新しい道徳を主張するでもないが、唯だこの世俗に光と薫を身辺に放っている。それだけだ。それでその身辺に及ぼす感化力は深刻なのである」と書いた。やっぱりムヒカっぽいな。youtu.be/r_Qz4tQ1j70
posted at 19:48:01スペイン語圏だとアナキストの定義はとても幅が広い。例えばキリスト教の信仰を持つアナキストはいくらでもいて、トルストイの影響の下にある人は「Anarquista cristiano/キリスト教徒アナキスト」と呼ばれるアナキストの一派。おそらく日本でいえば武者小路実篤とか有島武郎もアナキスト枠に入る。
posted at 20:05:53スペインのアナキズム運動は大衆運動となることを目指した。アナキストが多数派になるためにはその枠は広ければ広い方が良いわけで、リベルタリオ直系アナキストのルシオ・ウルトゥビオはインタビュアーに会って早々「君だって少しぐらいはアナキストなんだろう?」と聞く。youtu.be/W0KvDz_KKXY
posted at 20:25:42
2020年12月5日
ウルトゥビア「私は84歳だが、今もまだこのクソみたいな世界がもっと良くなるはずだと信じている。私は信じているんだよ、とりわけ、私たちの行動を信じている。君という存在は君が何を行うのかで決まるのだよ」 インタビュアー「あなたはユートピア主義者なんですね?」
posted at 11:18:58ウルトゥビア「子供の時から、この土地が私に与えてくれたものときたら飢え、貧困、不公正、犯罪、ただそれだけだ。これが子供の私が生きた現実だった。それでどうやったら祖国を愛するなんてことができる?」「フランスに来て間もなくして、カタルーニャ人アナキストたちと一緒に働くようになった」
posted at 11:26:40「(アナキズムについては)全く何も知らなかったし、知りようもなかった。一度だけ、父親が不公正に腹を立てて、一緒に働いていた時に『生まれ変わるとしたら、アナキストになる』と言ったことを覚えている。父は正しかった。今日アナキスト以外の何になれるというんだい?なれないよ。不可能だ」
posted at 11:33:50インタビュアー「でも、今現在アナキストはそれほどたくさんいないですよね?」 ウルトゥビア「馬鹿なことを言うな。リベルタリオの思想こそ、アナキズムの思想こそが必要とされているんだ」 (2015年5月3日放送『Salvados』より)
posted at 11:41:43スペインのアナキズム革命を扱ったドキュメンタリー『Vivir la utopía(ユートピアを生きる)』を観た時にスペインではアナルキアとユートピアが同じ意味だったということを知った。個人的な驚きは、この系譜のアナキズム思想が石川三四郎を通じて日本に入ってきていたこと。 youtu.be/ssk4rkQ7EvE
posted at 11:50:33石川がパリ郊外のルクリュ家で生活を始めるのが1915年。その7年前の1908年ジョルジュ・ソレルの『暴力論』の出版で革命的サンディカリズムの時代になり、フランスではユートピア主義的アナキズムは時代遅れになっていた。石川はタイムスリップしたみたいに「19世紀のアナキストたち」と交流を深める。
posted at 12:05:59スペインとイタリアはユートピア主義的アナキズムが革命的サンディカリズムに完全に取って代わられずに、この系譜のアナキスト、ロレンソとマラテスタがアナキズムの父となった。石川が親しくしていたフランスのアナキスト、ジャン・グラーヴェは本国よりスペインのアナキズム史で高く評価されている。
posted at 12:16:33石川が作っていた雑誌『ディナミック』の1931 年10月号は「進行中の西班牙革命」特集号になっていて、グラーヴェの報告に基づいて石川がアナキズム革命を詳細に正確に紹介している。日本の『ディナミック』の読者は「内戦勃発」より前にアナキズム革命が始まっていたことを知っていたわけ。驚いた。
posted at 12:24:47『ディナミック』の1933年7月号にはフランシスコ・フェレの『近代学校』の邦訳が出版が告知があり「本誌の読者は恐らく誰でも知ってるであろうところのスペインの殉教者として全世界に名声を轟かせた…」と紹介されている。日本で「誰もがフェレを知っている」ネットワークがあったというのもすごい。
posted at 12:30:05石川三四郎の『ディナミック』は1929年11月〜1934年10月の発行で文献センターに復刻版がある。望月百合子の翻訳の量も半端なくて、ものすごい情報量。ファシズムが台頭していく欧州の情報が日本語で記録されているのはとても貴重だと思う。私にわかるのはスペインの情報だけだけど正確に伝わってる。
posted at 12:45:24
2020年12月6日
アナキスト系ラジオで独ナチスにしろ伊ファシストにしろ20世紀のファシズムが新しい社会モデルを示す未来志向だったのに対し、21世紀のファシズムは「栄光の過去に帰れ」と過去志向なところが大きく違うと言ってた。世界中で極右が新型コロナ否定に躍起なのはコロナが過去に戻る可能性を奪うからかも。
posted at 19:17:24石川三四郎のテキストで気になっているのは、今の時代の空気で『ディナミック』から切り離された状態で読むと「過去に戻ろう」という主旨に読めてしまうのではないかということ。天皇の問題もあるし、保守やナショナリズムに回収されると困るので、エッセイでユートピア主義の未来志向を指摘してみた。
posted at 20:01:3819世紀のキリスト教世界にアナキズムが与えた最大の衝撃が「そこから追放された楽園」として過去にあった楽園を「これから到来するはずの楽園」と未来に位置づけし直したこと。だからアナキズムのカウンターで登場したファシズムも自ずと未来志向になる。時間軸の転換が第一インターのアナキズムの肝。
posted at 20:43:49もし石川三四郎がルクリュの影響を大きく受けていたのであれば「未来に向かう」という時間軸だけはブレさせなかったとはず。ただ、動詞の時制を変えるだけで時間が変わるスペイン語やフランス語と違って、日本語は時制が緩くて時間の感覚が曖昧だから上手く伝わるように表現するのが難しいとは思う。
posted at 20:51:36
2020年12月11日
アルゼンチンのアナキズムを扱ったドキュメンタリーも出版物の話から始まる。スペインの第一インター支部の創設者が印刷工だったことから、アナキズムと印刷が不可分のものとなって海を渡った。アルゼンチンが最前線になるから、欧米中心のアナキズム史から見えなくなる。 youtu.be/PYwXBoyztA0
posted at 20:21:4519世紀末に欧州でアナキストに対する弾圧が始まると、イタリアやスペインのバクーニン派は海を渡りアルゼンチンに集結した。マラテスタやゴリなどイタリア出身者が宣伝、アカデミア印刷所元メンバーのカタルーニャ出身者が印刷と、最強の布陣でアナキズムのプロパガンダに精を出して急速に勢力を拡大。
posted at 20:30:23アナルコシンディカリズム組織の誕生もアルゼンチンのFORA(1901年創設)がスペインのCNT(1900年創設)より早い。20世紀に入ると第一インターのアナキズムはスペインとイタリア、アルゼンチンを中心にラテンアメリカが相互に影響を与えあって発展していく。ダイナミックな動きがアナキズム史の魅力。
posted at 20:41:00スペイン語で「Internacionalista/インター派」と言えば「第一インターのバクーニン派」の意味で、世界で第二、第三インターが出てきても、第一インターにこだわり続けた。マラテスタが中心になって1922年ベルリンで悲願の「第一インター再建」が実現。中心になったのがFORAとCNTにイタリアのUAI。
posted at 20:51:03世界史は重要な出来事とその当事者を中心に語られるものだけど、第一インターの活字アナキストたちは何か出来事を起こすわけではなく、数人で集まってひたすら印刷物を作るだけ。結局、何も起こらないから個人も記録に残らず、それで記録に残ってる出版物で物語られることになる。出来事のない歴史。
posted at 21:05:30第一インターの活字アナキストたちは「成果を出す」とか「自己実現」とは無縁で、いつかこの世に現れるはずのアナルキア実現という壮大な計画に参加することに無上の喜びを見出していた。成果を出して自己実現したアナキストなんていないから、頓挫したプロジェクトの歴史がアナキズムの歴史になる。
posted at 21:14:53あ、間違い見つけた。CNTの創設は1910年です。
posted at 22:01:46
2020年12月12日
壮大な計画への参加に喜びを見出すというのは「偉大な国家の一員になる」という国家ナショナリズムも同じだけど、アナキストは「他者/他の国家との競争」や「他者/他の国家への優越感」を嫌がるから国家ナショナリズムに反発する。勝敗とか優劣とか上下を決める判断を否定するのもアナキズムの特徴。
posted at 18:22:39CNTと「Solidarida Obrera」と同じく、アルゼンチンのFORAにも先行して刊行物「La Protesta Humana」の成功があった。その成功の裏には政府が南欧からの移民労働者の質の向上のために行った識字化推進政策があったという興味深い指摘。アナキズムが急速に浸透した要因の一つ。 www.laizquierdadiario.com/La-Protesta-Hu…
posted at 18:34:2020世紀初頭のアルゼンチンのアナルコシンディカリズムは世界最強だったのだけど、あまり語られることがないのは「革命=権力掌握」という思い込みがあるからかも。スペインのアナキズム革命も「戦争勃発」とか「アナキストの入閣」という歴史的事件がなかったら歴史に残っていなかったかもしれない。
posted at 18:40:022018年に現役アナキストが報道番組に登場して「今日アルゼンチンでアナキストあるとは」が議論されるアルゼンチン。当然一人は雑誌の編集者で「あなたの自由が始まるところで私の自由は終わる」と語っている。スペイン語圏ではこれがアナキストの自由の定義のスタンダード。 youtu.be/m-dHvE5VL1s
posted at 18:55:18アルゼンチンで思い出したけど、作家のホルヘ・ルイス・ボルヘスは「保守アナキスト」と言っていた。彼は伊藤野枝より4歳若いのに父親がアナキストの第二世代。欧州や米大陸では19世紀後半の思想のアナキズムが米国経由で日本に入るのは20世紀で、この時差は非常に大きい。 elpais.com/cultura/2016/0…
posted at 19:08:19アルゼンチンと言えば、先日亡くなったマラドーナがプロとして最初にプレイしたボカ・ジュニアーズは元々「シカゴの殉教者」というチーム名だったそう。メーデーのきっかけとなったヘイマーケット事件で処刑されたアナキストに捧げた名称で、公式の歴史には載っていないとか。 www.cuartopoder.es/cultura/libros…
posted at 19:18:41改めて考えるとアナキズムの話にアルゼンチが出なさすぎる。アナキズムは欧州生まれの思想だけど、結局大きな勢力になったのはスペインとイタリアだけで、ラテンアメリカでの広がり方のがはるかに大きい。スペイン語で見るとスペインすらちっぽけなんだけど、これも欧米中心主義の大きな弊害だな。。
posted at 19:25:33歴史には「スペイン革命」とか「サパティスタ蜂起」とかしか残らないから、アナキズム革命は非常事態に起こるものと思われがちだけど、実際は平時の日常の中で行われる。非常事態はそれを可視化するだけ。非常事態が「相互扶助」を自然発生させるなら、アナキストがプロパガンダに精を出す必要はない。
posted at 19:32:01
2020年12月13日
コロナ禍がまさにそうだけど、非常事態では社会的弱者ほど大きな影響を受けるので、強者がさらに優位に立って弱者がさらに不利な立場に追い込まれる。平時においてさえ平等ではない関係性の力の差が、さらに拡大する状況で生まれる「相互支援」がアナキストが理想とする対等なものになるはずもない。
posted at 17:21:29非常事態には生存競争が厳しくなるから、若くて強い男性が圧倒的に有利。だから「スペイン革命」の象徴がドゥルティになり「サパティスタ革命」の象徴が副司令官マルコスになる。個人的にはこの二人が象徴するのはそれぞれの革命に付随した戦闘であって、革命プロセスそのものではないと思っている。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 17:26:39夫の実家がある鉱山の町が1932年にコミュニスモ・リベルタリオを宣言したという話を聞いて「スペイン革命」が反乱軍のクーデター後の戦闘で始まったのではないことを知った。結局三日で制圧されたという話に興味を持ち、アナキズムの歴史を調べ始めたら面白すぎて現在に至る。 serhistorico.net/2018/06/21/la-…
posted at 17:49:17
2020年12月20日
第二共和政下でアナキストが関わった事件としては1933年カサス・ビエホス事件(アンダルシア)と1934年革命(アストゥリア)は良く知られているけど、この1932年のカタルーニャ蜂起はほとんど言及されない。後発の二件との最も大きな相違点は、鉱山労働者が無条件降伏したので死者が出なかったこと。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 17:37:41歴史を振り返るとアナキストが登場するのは弾圧によって複数の死者や負傷者が出た事件ばかりで、暴力が伴わない出来事はスルーされる。仮に95%の活動が暴力を伴わない文化的で教育的なものだったとしても、歴史に残るのは5%暴力を伴った出来事だけ。こうして長年の間に暴力的なイメージが定着した。
posted at 17:48:27最も有名なのがサッコ&ヴァンゼッティ事件だけど、アナキストが歴史に名前を残すのも「殺して」ではなく「殺されて」が多い。日本だと幸徳秋水や大杉栄が良い例。基本自分の名前を残すことに無頓着なので、スペインでもフェレやドゥルティなど殺された人の名前しか残らない。 youtu.be/PdhIMUVfpPM
posted at 18:03:20米英と違い個人主義アナキズムの影響が弱いスペイン語圏では、アナキストの活動は独自の思想を作ることではなくてバクーニンなど他人の思想を宣伝すること。自己実現という発想がないので自分の名前を残すことに無頓着。強大だったアルゼンチンのアナキズムが世界的に無名なのも有名人がいないから。
posted at 18:18:11日本には20世紀に米国と欧州から同時にアナキズムが入ってきたからわかりにくいけど、欧州の国際語が仏語だったこともあり、米英と欧州のアナキズムはかなり異なる。スペインに個人主義アナキズムが入ってきたのは第一次大戦後で、これがアナキズムの思想に大きな変革を引き起こしFAIの誕生を促した。
posted at 18:30:121932年アナキスト蜂起は、バルセロナ県バジェスの複数の鉱山がゼネストからコミュニスモ・リベルタリオを宣言した事件。鉱山の中で最も知名度が高いのは『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』の舞台になったカルドナ。この地域は後に反フランコ武装ゲリラの活動拠点になる。 youtu.be/YU_mx6uORGQ
posted at 18:48:271932年カタルーニャのアナキスト蜂起が興味深いのは、最初にストを始めたのは近隣の繊維工場で働く女性労働者だったこと。その家族である鉱山労働者が連帯のためにゼネストを呼びかけ、各鉱山でのアナキズム革命へと拡大。鉱山と商店の自主運営化と貨幣の廃止が宣言された。 youtu.be/K29oDFjYVV0
posted at 19:05:42バジェスの鉱山労働者たちはゼネストがカタルーニャ中に拡大することを期待していた。ところが州都バルセロナではゼネストは始まらず、中央政府は制圧のために軍隊を派遣したため、無抵抗で降伏し逮捕される。直接関係ないのにどさくさで逮捕されたのがドゥルティとアスカソで、一緒にアフリカ送りに。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:17:00鉱山労働者でもないドゥルティの部隊に鉱山労働者が集まったのは、1932年アナキスト蜂起で関係を深めたから。ドゥルティ大隊を最強なものとし、私たちの知る「英雄ドゥルティ」を生み出したのは、コミュニスモ・リベルタリオを夢見たバジェスの名もなき鉱山労働者。名もなき労働者が革命を支えていた。 twitter.com/momocat1010/st…
posted at 19:26:07カタルーニャのバジェスはバルセロナ市から車で一時間程度だけど、地中海が想像できないくらいの深い山の中。その山の中に鉱山が孤立して点在している。こんな状況で20世紀初めに連携して同時ゼネストから革命ができたなんて、アナキストのプロパガンダ能力には驚くしかない。 www.abc.es/economia/abci-…
posted at 19:39:51フランコ体制下でもこのネットワークは生き続ける。1970年代後半CNT再建が盛り上がる時期には、バルセロナまでのバスが日に数本しかない山の中に住み、アナキズムに興味のない若者にまでアナキズムの冊子が届く。スペインのアナキズムの幹は活字アナキズムで、印刷物の作成と流通が基本だと痛感した。 pic.twitter.com/Zzdfz1XmBu
posted at 19:52:05
2020年12月31日
2020年はとんでもない年だったけど最後は良いニュースで締めることができて良かった! ついにアルゼンチンで中絶が合法化され、無料で安全な中絶を受ける権利を保障する法案が可決。この法は自分の身体を知る権利、つまり性教育を受ける権利なども含み、進歩的なだけでなく統合的な内容になってる。 twitter.com/cnn_co_jp/stat…
posted at 13:38:14中絶合法化法案に性教育の権利が含まれるというのが、いかにもアナルコフェミニスモの最先端を行っていたアルゼンチンらしい。決定権や主権の行使には適切な情報や知識が与えられることが不可欠で、情報や知識の提供が保障されない状況で決定が行われるなら、自発的であっても主権の行使と呼べない。
posted at 13:55:07世界のアナキズムの歴史の中でアルゼンチンが言及されることが少ない理由の一つは、代表する人物がウルグアイ出身ビルヒニア・ボルテンとスペイン出身フアナ・ロウコと移民女性だからかも。アナルコフェミニスモを語る上ではエマ・ゴールドマンに匹敵する重要人物なんだけど。 www.elhistoriador.com.ar/mujeres-anarqu…
posted at 14:02:10