スエズ運河で20万トン超えの大型コンテナ船座礁 原因は砂嵐による視界不良

写真で見たら凄いことになってるなぁ・・・と
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たぶん滅多にないことだろうし、専門誌の有料記事が期間限定で無料公開されてるので、記録っぽく。

裏で動いてるお金の額も想像以上に凄かった・・・保険屋さん(最終的にはロイズ?)大変そう

座礁、毎時間436億円の損害 スエズ運河の航行停止で台湾紙【共同通信 2021年3月25日】

【台北共同】 台湾紙、工商時報(電子版)は25日、エジプトのスエズ運河で座礁したコンテナ船を巡り、運河内の航行停止による損害額は単純計算で毎時間4億ドル(約436億円)に上ると報じた。

 台湾メディアによると、コンテナ船を運航する台湾の長栄海運の張衍義会長は交通部(交通省)に、操作ミスや不可抗力の原因により「船舶に損害を及ぼした場合」、責任は船主にあると主張する文書を提出した。

 

スエズ運河、メガコン座礁で封鎖。エバーG運航船。欧州航路、遅延悪化。タンカー市況急騰も【日本海事新聞 2021年3月25日】

 欧州と中東・アジアをつなぐ海上交通の要衝、エジプト・スエズ運河が事実上の封鎖状態となった。台湾船社エバーグリーンが運航する2万TEU型「Ever Given」が現地時間23日午前7時40分ごろ、スエズ運河の紅海側入り口に近い地点で座礁し、南航・北航ともに航行ができない状態だ。コンテナ船市場は既に昨年から船腹需給タイトによる運賃高騰が常態化。既に遅延が慢性化している欧州航路の状況が悪化するのは避けられない見通しだ。さらにバルカー、プロダクト船など欧州―アジア間で喜望峰ルートの迂回(うかい)航路を余儀なくされれば一気に用船市況が急騰する可能性もある。

 「Ever Given」は今治造船で連続建造されたシリーズ船の第7船で、2018年竣工。エバーグリーンが所属するオーシャンアライアンス(OA)のアジア―欧州航路に就航し、ロッテルダムに向けて航行中だった。

 関係者によると同船はエバーグリーングループが日本船主から用船し運航。

 スエズ運河庁によると、19年の船種別同運河通航量は、コンテナ船が5375隻で最多。タンカーが5163隻、バルカーが4200隻で続き、この3船種で全体の8割弱を占める。年間1万8000隻超の船舶が航行し、1日の平均航行隻数は約50隻。

 アジア―欧州・地中海航路では、ザ・アライアンスが8ループ、2Mが10ループ、オーシャンアライアンスが11ループを運航。この全てがスエズ運河を経由するため、今回の事故がコンテナ船サービスに与える影響は甚大だ。

 邦船3社の定航事業統合会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)は「(事故の影響で)運航船に遅延が発生しているが、代替案を本格的に検討するには時期尚早」として、動向を注視する姿勢だ。

 スエズ運河を経由しない場合、南アフリカ・喜望峰経由のルートがあるが、スエズ経由と比較して5―7日程度航海時間が増加する。

 21万総トン、全長400メートルという大型船だけに、引き揚げ作業は難航すると見られるが、「スエズ運河は底が砂地状になっており、座礁というより『座洲(ざす)』。大型船ではあるが、離礁までそれほど時間を要さないのでは」(海運関係者)という見方もある。早期解決の可能性もあるため、運航船社は代替ルートへの切り替えを判断するまでには至っていない。

■プロダクト船、市況押し上げか

 自動車船はアジア―欧州間の基幹トレードがスエズ運河を経由しており、邦船社の運航船も通航機会が多い。自動車船関係者は「情報を収集しているが、仮に迂回するとなれば大変な作業になる」と話す。

 エネルギー輸送のLNG(液化天然ガス)船やプロダクト船、ケミカル船にとってもスエズ運河は中東―欧州航路の要衝だ。LNG船関係者は「万が一、中東から喜望峰回りで欧州に向かうとなると、トンマイル(輸送距離)が相当に伸び、(運賃急騰など)マーケットにかなりのインパクトを与える」と語り、需給引き締めの可能性を指摘する。

 VLCC(大型原油タンカー)市況に関しては、満載でスエズ運河を通航できないため、今回の事故の影響はほぼなさそうだ。

 プロダクト船市況については今回の事故を契機に、上昇する可能性が指摘されている。

 スポット用船市場で、LR(ラージレンジ)2型、LR1型はガス・オイルやヘビーナフサのトレーディング目的の輸送が活発で上昇傾向にあった。

 「西アフリカやシンガポールなどで荷揚げした船舶が中東に戻るのに時間を要し、中東では船舶の確保が難航している」(市場関係者)

 LR2、LR1ともにスエズ運河を経由し、中東から欧州に向かう配船は多い。今回の事故による滞船で供給が絞られ、需給が一層タイト化する可能性もある。

 

【スエズ座礁事故】船主責任、貨物損害 免責に。サルベージ費用は負担か【日本海事新聞 2021年3月26日】

 スエズ運河での大型コンテナ船「Ever Given」(正栄汽船グループ保有、エバーグリーン定期用船)の座礁事故を巡り、船主の責任が注目されている。一般的に座礁船の離礁にかかったサルベージ費用や船の修繕費用は、操船上の過失の有無にかかわらず、船主が負担する可能性が高い。一方、貨物の損害に関するカーゴクレームは、操船上の過失があった場合も国際条約「ヘーグ・ヴィスビー・ルール」に基づき、船主は免責される。
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〔※写真:座礁した「Ever Given」の船首部〕

 エバーグリーンとスエズ運河庁によると、今回の座礁事故の原因は、風速30―40ノット(約15―20メートル毎秒)の強風とみられている。

 海難事故の法的責任に詳しい戸田総合法律事務所の青木理生弁護士は「強風の程度によるが、『予見可能性』と『結果回避可能性』の2つが船主責任のポイントとなる」と指摘する。

 「予見可能性」は、例えば台風の予報のように「強風を受けることが事前に予見できたか」という論点。今回の強風は突発的な砂嵐とされており、乗組員による予見は難しかった可能性がある。

 一方の「結果回避可能性」は「通常の操船では対応不可能なほどの強風だったのか」という論点。例えば2018年に発生した関西国際空港の連絡橋への衝突事故時には最大瞬間風速70メートルを超す強風があり、不可抗力事由に当たるかが争われている。

 この「予見可能性」と「結果回避可能性」を考慮して、突発的で結果を回避できない強風と判断されれば、過失がないと見なされる。

 さらに青木弁護士は「スエズ運河を通航するには水先案内人の乗船が原則として義務付けられていることにも着目すべき」と指摘する。今回の事故は水先案内人の落ち度によって生じた可能性がある。

 船主に過失がない場合は、契約を結んでいない第三者は船主に責任を追求できない。一方、定期用船契約を結んでいる用船者のエバーグリーンとは、契約条項に基づき、責任範囲が決められる。

 仮に船主に過失があったと判断された場合でも、今回の事故によるスエズ運河の滞船で第三者の船に生じた遅延による損失は、船主の賠償責任の範囲外と見なされそうだ。

 青木弁護士は「こうした事故によって仮に他船に営業損失など何らかの損失が生じた場合でも、事故当事者が予見しにくいことから『間接損害』、『結果損害』や『純粋経済損失』などと見なされ、一般的には損害賠償は認められにくい」と説明する。

■オフハイヤー適用

 船主の過失の有無にかかわらず座礁船に対してはオフハイヤー(不稼働による用船契約の中断)条項が適用される可能性が高い。オフハイヤー条項は船主過失の有無ではなく、船が不稼働であることが要件のため、稼動できるまで用船料は支払われない。

 貨物の損害を巡っては、航海過失免責を定めたヘーグ・ヴィスビー・ルールに基づき、単なる船員の操船ミスによる事故「ナビゲーショナル・エラー」(航海上の過失)の場合、カーゴクレームを提起されても免責となる。

 ただ、エンジンや舵の故障をはじめ船の堪航性に問題があったなど特殊な場合は、例外に当たるケースがある。

 カーゴクレームは、BL(船荷証券)の発行人が運送人として荷主との窓口となり対処する。貨物にダメージがあった場合は、荷主が契約する貨物保険で損害が補償され、保険会社がBL発行人に賠償を請求する。

■船舶保険でカバー

 過失の有無にかかわらず、座礁船の離礁にかかったサルベージ費用は船主が支払うことになり、一般的には船主が契約する船舶保険でカバーされる。これは、座礁船を放置すること自体が船主の落ち度と見なされる可能性があるため。船の修繕費用も、一般的には同様に船舶保険でカバーされる。

 一方、スエズ運河の設備ダメージは、同運河の規定にのっとり、責任の主体が判断される。同規定は、水先案内人の過失による事故でも船長が責任を負うと規定しており、船員に過失がなくとも船主が賠償請求される可能性がある。

 

ちなみに、予定を狂わされた多数の船が遠回りしてるらしい