れいわ新選組の大石晃子(あきこ)さんとジョン・マクドネル編『99%のための経済学――コービンが率いた英国労働党の戦略』

総選挙の開票速報でも残りわずかという最後の方で当確が出たタイミングや、れいわ新選組の近畿比例ということもあって注目を集めた大石晃子さん。たくさんの人から祝福のツイートが来ているようですが、ギリシャ元財務相のヤニス・バルファキスからもメッセージもらってたんですね。初当選おめでとうございます。

大石さん[@oishiakiko]の当確が出た時に、どんな人だろう?と思って(かつて橋下徹に正面からケンカ売ったエピソードがあったことは露知らず)公式サイト[https://www.oishiakiko.net/]をチェックしたのですが、あの『99%のための経済学――コービンが率いた英国労働党の戦略』の共訳者の1人だったんですね。2度ビックリです。ツイートで当選を祝福している方々の1人である朴勝俊さんや長谷川羽衣子さんは共訳者仲間ですね。

 さて、ジョン・マクドネル編『99%のための経済学――コービンが率いた英国労働党の戦略』は、2019年12月12日に実施されたイギリス庶民院(下院)の総選挙で、もしジェレミー・コービン率いる労働党が勝利していたら実行されていたであろう数々の政策のベースとなった戦略やアイデアをまとめた論文集です。編者のジョン・マクドネルはコービン党首時代に影の財務大臣を務めた庶民院議員です。

 本書の原著は英総選挙前の2018年に出版されましたが、残念ながら2020年に陽の目を見ることはありませんでした。理由は様々ありますが、最大の要因は保守党が争点にあげたBrexitの、BBCや高級紙を総動員して一大キャンペーンを張ったことで労働党の主張が埋没したことにあると表向きは言われています。ですが、実情は、コービン首相が誕生することで経済体制が大きく変化するだけでなく、徹底した反植民地主義や反核兵器などの外交方針が採られることになり、エスタブリッシュ層や英国政府にとって非常に都合の悪い事態が生じることを忌避したことにあるのが最大の要因と囁かれています。事実、政府の諜報機関が暗躍して労働党内部の左右対立を煽ったり、コービンが反ユダヤ主義者であるというデマをマスメディアを通じて広めるなどの妨害工作を行ったことは知る人ぞ知る事実です。

 ともあれ総選挙で敗北を喫したものの、それでコービンらが掲げた政策が色褪せることはなく、むしろ現状のコロナ禍において輝きを増してきています。日本語版の出版にあたって、ジョン・マクドネルが寄せた序文の結びはこうです。

「連帯という価値と原則、集団行動があらゆる戦略の核心であるという認識、民主的政府の役割、公共的な所有と管理、そして公正な資金調達による巨額の投資など、本書が提示するのは急進的プログレッシブ政策プログラムですが、この未曾有の試練の時代に私たちに必要なものこそ、こうした急進的な現実主義プラグマティズムなのです。」

大石さんの国会でのご活躍を、ぜひとも期待します!!!