ramonbook[@ramonbookprj]さんの過去ツイートをサルベージ――2021年4月

ramonbook[@ramonbookprj]さんの過去ツイをサルベージ。
理由というか事情はこちら→https://kyotofan.info/politics_society/20120925-30/
Twiiter社の新API仕様変更
・・・平たく言うなら
イーロン・マスクの傍若無人な我儘

・・・つーかさぁ、ナニコレ

ふざけんなよ!イーロン・マスク (-_-💢)

 

2021年4月4日

ちょうど伝記を再読しているので「インドネシアのアナキズム文献事情」を興味深く読んだ。スペイン語圏もそうなのだけど、21世紀に入って家父長制の価値観が色濃く残る国々でエマ・ゴールドマンが再評価されている理由の一つは彼女が歴史に名を残した数少ない「産まない女性」の一人だからではないか。 twitter.com/cira_japana/st…
posted at 17:09:03

歴史上の人物の中に「産まなかった女性」は極めて少ない。エマ・ゴールドマンだって、もしパートナーのバークマンが暗殺未遂で有名アナキストになっていなければ今ほどの知名度はなかったかもしれないし。たぶんフリーダ・カーロの再評価の背景も同じ。彼女のパートナーの画家リベラも有名人だった。
posted at 17:15:59

家父長制は結婚や出産を望まない女性の存在を認めず、歴史でも不可視化してきた。「一晩中なぜ女性たちが望まない出産がある理由について議論したが、女性が何を望むかは議論されなかった。出産を望まないのは他に望むことがあるからで、真の問題は他に望むことなのだ」最近これが可視化されてきてる。 twitter.com/brutjapan/stat…
posted at 17:23:19

自伝を読むとわかるけど、まさにエマ・ゴールドマンは「他に望むこと(=アナキズムのために生きる)があるという理由で主体的に出産を望まなかった女性」の一人。20世紀のエマ再評価はエコフェミニズムの文脈だった一方で、21世紀は「産まない自由=生殖の自由」の象徴としてテキストが求められてる。
posted at 17:30:31

少子化を問題視する家父長制の価値観の下で女性に出産を迫る社会的圧力が強まっている。私が若い頃の方が「結婚にも出産にも興味ない」と口に出しやすかった気がする。二階率いる子ども庁の新設なんて「絶対女に産ませてやる」という自民党の決意表明にしか見えないんだけど。www.tokyo-np.co.jp/article/95259
posted at 17:45:05

頑なに「女性は結婚や出産を望む」と信じる家父長制の社会に生きる女性は、結婚/出産しない選択をした時に説明責任を負わされる。周囲を納得させるために結婚/出産以外の人生の目標を示すことが求められるから、ここで成果主義という新自由主義の価値観を内面化することになるのが厄介な問題と思う。
posted at 17:55:15

私自身が20代から30代にかけて結婚/出産以外の人生の目標を必死になって探していた。もしアナキズムに出会ってなければ、今も何かの成果を出すことにとらわれていたと思う。家父長制の社会に生きる女性にとっての自由とはやりたくないことをやらないこと。若い人たちは新自由主義の罠に気をつけて。
posted at 18:08:35

価値観の内面化は本当に根深い問題で、その社会で自然/当然とされることにNOを突きつけるのを無責任な行為のように感じさせるから、自分で自分の足を引っ張ることになる。カトリック社会では罪悪感に代わるけど基本的な仕組みは同じ。私も意識的に理論で武装してきたのけど、未だに時々穴に落ちる。
posted at 18:28:43

菅政権がオルバン政権と繋がっているのが非常に嫌な感じ。好意的に扱われているけどハンガリーの「家族支援プログラム」は生存のために貧困層の女性が出産を選ぶようにする仕組みだから、本来は異なる子ども支援と女性支援が同枠に入る。家父長制版の子宮/生殖機能の商品化。 gendai.ismedia.jp/articles/-/81451
posted at 18:53:46

資本主義は全てを商品化しようとする。欧州のリベラル勢力は再生産労働を商品化して市場に出すために、生殖を婚姻から切り離した。資本主義の圧力は避けられないから、家父長制を維持したい日本はどうするのかと思っていたけど、ハンガリーが国家を通じた再生産労働の間接的な商品化の道を示してる。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:04:51

家父長制が結婚/出産を望まない女性を不可視化するのは、若い世代が結婚/出産しない選択肢があることに気がつくのを防ぐため。現実的な選択肢として考えるには先行モデルが必要なわけで、私は20代の頃に妻でも母でもない女性たちに出会えて幸運だったと思っている。産まない女性の可視化が急務だな。
posted at 19:21:40

そういえば、管野スガ、伊藤野枝、金子文子はみんな若くしてこの世を去ってる。歴史においても若い女にしか興味を持たない家父長制の価値観が強いせいで、彼女たちにばかりスポットライトが当たるのだろう。ゴールドマンが自伝が面白いのは長生きしたからで、早逝した人の人生はあまり参考にならない。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:42:45

日本史で習う女性解放運動を象徴する言葉が「山の動く日来る 」や「元始女性は太陽であった」と抽象的なのも男性中心だからだろう。最近、平塚の「種族保存のために女の全生涯は犠牲にされるべきなのか」を知って「授業でこれが取り上げられていたらもっと女性解放運動に興味を持ったのに」と思った。
posted at 19:56:51

 

2021年4月11日

英国なきEUで新たな覇権闘争が始まった。ハンガリーとポーランドの政権党とイタリアのサルビーニの党で極右勢力の結集を目指すらしい。「欧州統合とは国家主権、家族、キリスト教の尊重だ」という主張が欧州の極右はアナキズムの対抗勢力として出てきたという話を裏付けてる。 www.jiji.com/jc/article?k=2…
posted at 16:55:40

「国家、家族、キリスト教」を掲げる極右勢力の最大のミッションが「中絶反対」。彼らにとって女性の身体は天然資源だから最大限に活用する(最大の人数を産ませる)ことを良しとする。効率を求める新自由主義と似た価値観だけど、家父長制維持のために政府を強権化するという新自由主義とは逆の流れ。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 17:09:57

中絶反対派は産ませることにしか興味がなく、育てることに無頓着。アルゼンチンの中絶合法化の最大の障害だった。「数世紀にわたって子供たちが貧しく生きるのを横目で見ながら出産を強要されてきた。あなた方の多くは胎芽の奇跡などと言いますが、14歳の少年が銃撃されてもまるで関心がないようです」 twitter.com/brutjapan/stat…
posted at 17:18:56

日本で欧米の極右の中絶反対派に相当するのはなんだろうと考えていたんだけど、最近自民党だということに気がついた。産ませることに異常な執着を持っていて「妊婦の困難さを社会全体で共有することが、安心できる社会づくりの一助になる」 ってコメントも意味がわからない。this.kiji.is/75206757545597…
posted at 17:29:10

何度も引用しているこのスピーチはアナルコフェミニズムの主張を完璧に要約している。スペイン語圏のフェミニズムでは主流になっていて、敢えて言う必要がないから「アナルコフェミニズム」という言葉を目にすることが少ない。女性参政権運動が主流だった英語圏とは歴史的背景も言葉の意味も異なる。 twitter.com/brutjapan/stat…
posted at 17:46:28

米国の民主党的リベラルフェミニズムと家父長制の問題が目に付いたのがオバマ大統領の時。変化が強調される一方で、家族総出で支える姿とそれに対する賞賛が旧態依然なことに違和感を持った。妻が夫の仕事に振り回されたり、娘が父親の仕事に振り回されるのを当然とするのは家父長制の価値観そのもの。
posted at 18:05:29

最も屈従に耐えている男性でもひとたび家の敷居をまたぐや、君主や主に変わってしまう。彼は無意識のうちに家にいる女性たちを完璧に支配したいと思ってしまう(中略)あらゆる苦しみに耐えていた彼が女性劣等論の立場からその不幸な女性たちを苦しめ、悲しませ、暴君としてそびえ立つ(『自由な女』)
posted at 18:16:45

私たちはまず、男性同志たちの脳みそから「優等」思想を根こそぎ取り去ることから始めなければならない。そして女性は手なべや家畜といった家の中のものにどっぷりと埋もれて暮らしているが、全ての人間が平等であると言う場合、その人間とういうものの中に女性が含まれていることに気付くであろう。
posted at 18:22:25

女性は何もないことが当たり前とされてきたので、自らの中で熟慮熟考することすらできなかった。そして、あなた方男性は、女性を、女性としてではなく、あなたがたが作ったように彼女がたちがふるまうとき、それがあなたがた自身のしわざに過ぎないのを自覚することなく、女性を非難している。
posted at 18:26:26

何のために何千年もの間、女性に教育を施してきたのか、わかりますか? 特に、雄の感覚を刺激するために、女は生まれ、またそのために、女性の全生涯が捧げられると言われた。女性に許された唯一の世界は、「売春宿」か「結婚」ー同じくらいの値打ちであるーであった。
posted at 18:31:04

女性は、この性的区別論によれば、脳の奥の最後のひだにいたるまで、曖昧な反応をする子宮そのものであり、女性の精神生活はすべて、懐胎と言う生物学的過程に従っている(中略)科学は「生まれ、苦悩し、死ぬ」という公理の本質を変えずに「生まれ、懐胎し、死ぬ」と、言葉を修正するようになった。
posted at 18:37:39

私たちにはもうすでに女という概念と母という概念が新たに対立している(中略)あらゆる時代を通して、母性の神話が熱狂的に称揚され続けてきたのである(中略)「女は性の目的ではなく手段であり、性の唯一の目的と対象は男である」との残酷な主張を断固支持することに、あらゆる努力が集中している。
posted at 18:43:48

社会的な価値として、母親は現在まで「本能」ー女性の生活が年中、男性のまわりを巡っていただけであればそれだけ鋭さを増す本能ーを発揮してきたにすぎなかったが、いく人かの優れた女性たちにおいて、そうした本能は、ついに「感情」というカテゴリーに吸収されてしまったのである。
posted at 18:49:14

母という存在にひきかえ、女は個人であり、考える存在であり、優れた存在である。あなたがたは、女でも母でもありうるときには、女が決して母を除外しないので、母として女を除外したいと思う。
posted at 18:53:40

私がアナキストに十分に注意するように言ったことであるが、社会変革を実行するにあたって女性の協力を求めるアナキストは、個人のすべての特権をまず女性に同様に認めることから始めるべきである。これに反対する人は「立派な人間」であるにせよ、アナキストとは呼べないだろう。
posted at 18:59:06

友よ、奴隷が隷属の身分を十分に自覚したうえで、進んでそれを受け入れている場合には、その奴隷を非難せざるえないが、暴力によって隷属を強制されている場合には、その奴隷を非難すべきではない。女性の場合も同様である。(ルシア・サンチェス・サオルニル)
posted at 19:01:55

 

2021年4月19日

まず女性の人生の類型が4つしかないと想定されていることにびっくりだけど、未婚女性を女性にカウントしないところに男に従属する女性しか見えない家父長制イデオロギーが丸出しになってる。それにしても、女性の「幸福」とやらが結婚や出産の有無と直結するという揺るぎない確信はどこから来るのか。 twitter.com/gendai_biz/sta…
posted at 18:13:42

「子どもを持つことによる幸福度の向上を図り、それがさらなる出産に結び付くといった好循環を形成していくことが望まれる」というのもすごい結論。私に子どもがいないのは「家族愛」とか「幸せな家庭」が象徴するような「幸福度」に興味がないからで、幸福度を上げようと思ったからではないのだけど。
posted at 18:20:28

一方的に女性の幸せと結婚や出産を結びつけるのは家父長制イデオロギーの典型だから、19世紀の欧州でも「家庭の天使」になることが女性の幸せとされた。代理母の問題も「出産こそが女性の幸せ」という思想の延長線上にあって、依頼する側に「出産する機会を与えてあげる」という意識が透けて見える。
posted at 18:30:49

代理母という制度は、新自由主義思想の下で女性の身体に対する自己決定権の中に「生殖機能を商品化する自由」が持ち込まれることで急激に拡大してきた。家父長制が女性を賃労働から切り離して「家族支援」の形で子宮/生殖機能を貨幣化する一方、新自由主義はダイレクトに子宮/生殖機能を商品化する。 twitter.com/afpbbcom/statu…
posted at 18:48:54

スペインで「反資本主義でないフェミニズムはフェミニズムではない」と言うのは、21世紀のフェミニズムの波が代理母の問題と密接に絡んできたためでもある。「生殖機能を商品化に反対しないフェミニズムはフェミニズムではない」ということで、女性の身体の資源化に対する反対が重要なテーマになった。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:09:51

日本語の「代理母」は随分オブラートに包んだ表現だな。スペイン語だと「vientres de alquiler/胎内レンタル」となるから、ずっと生々しい印象になる。「生殖能力の商品化は女性のアイデンティティを消し去って単なるツールにしてしまう」と代理母の制度を批判する記事。 blogs.publico.es/otrasmiradas/4…
posted at 19:22:40

「vientres de alquiler」の訳語は「胎内レンタル」より「レンタル胎内」の方が良かった。。。
posted at 19:25:20

私の世代はフルタイム労働が子どもを持たないことの免罪符になったけど、リベラル・フェミニズムの影響で今はフルタイム労働で育児もこなすワーキングマザーが理想モデルとされるわけで、以前より逃げ場がなくなった気がする。新自由主義と家父長制の圧力に対抗するにはアナルコフェミニズムしかない。
posted at 19:43:16

19世紀の女性アナキストたちは女性が賃労働=生産労働と家事育児=再生産労働の両立を強いられる状態を「奴隷(男性労働者)の奴隷」と呼んで状況を改善するために闘った。21世紀になって新自由主義イデオロギーの元で同じ状況が「ワーキングマザー」として持て囃されていると知ったら驚くだろうな。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 19:53:33

 

2021年4月24日

幸福度とか好感度とか、なんで日本のメディアってこんなに情緒的で感情的なのか。政治についての調査なら問うべきはどう振る舞うかを聞く支持度であって、好感度みたいに抽象的なものではないと思う。好き嫌いで支持を決めることないから、こんな問いに私は答えられないな。www.asahi.com/articles/ASP4N…
posted at 18:37:42

長い間理性は男性的なもの、感情は女性的なものとされてきたけど、女性の人生を「幸福度」みたいな物差しで測ろうとする男性中心の家父長制ほど感情的なものはない。女性の人権が問題になった19世紀の欧州では、理性的に行動する知識階級の男性が科学的・医学的に女性が劣ることの証明に躍起になった。
posted at 18:48:35

家父長制が「幸福度」という言葉が好きなのは女性が自主的に選択したと自己責任に落とし込むためのトリックだからだよな。あらゆるものが商品化される資本主義社会では、生存のために何らかの形でお金を稼ぐことを強いられているから、自分の幸せを最優先にして人生の方向性を選択できるわけないのに。
posted at 18:59:43

私の場合、大人になったら自由に好きなことができると思っていたのに、女だからという理由でいきなりキャリアウーマン(資本主義への貢献)か専業主婦(家父長制への貢献)の二択を突きつけられてどっちも嫌だった。それで、反資本主義と反家父長制を掲げるアナキズムの女性解放の理論がしっくりきた。
posted at 19:13:19

アナキズムの女性解放の視点からは「賃労働に従事する母親」は資本主義への貢献と家父長制への貢献で二重に搾取されているという分析になる。日本でも戦前に『婦人戦線』などが指摘していたのに、気がつくと「ワーキングマザー」が好意的に受け止められるようになっていたのは新自由主義の影響だろう。
posted at 19:22:26

 

2021年4月26日

平塚の「種族保存のために女の全生涯は犠牲にされるべきなのか」は『青鞜』女性解放論集 (岩波文庫) 収録のらいてう名義「世の婦人たちに」の中の一文。1913年4月に発表されたこのテキストは「世の婦人たちに私は今頃こんなことをいわねばならないことを心から悲しく思います」という一節から始まる。
posted at 18:21:20

「何故世の多くの婦人達は、女は一度は必ず結婚すべきものだということに、結婚が女の唯一の生きる道だということに、すべての女性は良妻たり、賢母たるべきものだということに、これが女の生活のすべてであるということにもっと根本的な疑問が起こって来ないのでしょう」
posted at 18:24:13

「種族保存の必要の前に女の全生涯は犠牲にせらるべきものか、生殖事業を他にして女のなすべき事業はないのであろうか。結婚は婦人にとって唯一絶対の生活の門戸で、妻たり、母たることのみが婦人の天職のすべてであろうか、私どもはもうこんなことを信じることはできなくなっております」
posted at 18:29:05

「多少なり個人として自覚した現代の婦人は今まで男子から、また社会から強制されてきた服従、温和、貞淑、忍耐、献身等のいわゆる女徳なるものを、もはや有難いものだとも何とも思えなくなっております」
posted at 18:34:02

「そこに私どもは何を見出したでしょう(中略)けれど『男子の生活のため』以上に根拠のある何ものもついになさそうです。要するに少しも根本的な価値のないことなのです」
posted at 18:34:41

「こういうと、すぐに世間の婦人たちは、新しい女は男に反抗することを目的にしているとか、婦人の自覚ということはなんだか勝手な早合点をされることでしょう(中略)そんなことは問うにも足らぬほど自分の生活そのものを、女の生活そのものを重んじております」
posted at 18:41:03

「今まで男子の私利私欲や、目前の便宜のために婦人の生活が踏みにじられていたのなら、それを取り戻すために男子に対する反抗的態度をある時期において取るのは当然なことではないでしょうか。今妻と呼ばれる幸福な婦人たちも、もう少し目をこすって見た時今までの生活に満足していられるでしょうか」
posted at 18:44:09

「今日の社会制度では結婚ということは一生涯にわたる権力服従の関係ではないでしょうか。妻は未丁年者か、不具者と同様に扱われてはいないでしょうか(中略)私どもはこんな無法な、不条理な制度に屈してまでも結婚しようとは思いません。妻となろうとは思いません。」
posted at 18:53:46

「ひとたび目醒めたものはもう二度と眠ることはできない。私共は生きています。目醒めております。内なる生命はどこかしらに拡散させねば生きていられません。どんな圧迫があろうとも新しき生命はその出口を見出してやみません」
posted at 18:56:52

『青鞜』の論文は改めて読むとそのラディカルさに驚く。階級意識が欠けているものの、家族制度への強烈な批判という面では1930年に女性アナキストが創刊された『婦人戦線』と同じ路線。平塚が『婦人戦線』を第二の『青鞜』と呼んだのも当然だと思うほど、アナキズム的な家族制度批判が展開されてる。
posted at 19:05:09

「自由解放! 女性の自由解放という声は随分久しい以前から私どもの耳辺にざわめいている。しかしそれが何だろう。思うに自由といい、解放という意味が甚だしく誤解されていはしなかっただろうか」(『元始女性は太陽であった』より)
posted at 19:12:30

「彼らのどこに自由解放があるだろう。あの首枷、手枷、足枷はいつ落ちよう。彼らこそ自縄自縛の徒、我れみずからの奴隷たる境界に苦しむ憐れむべき徒でないか。私はむやみと男性を羨み、男性に真似て、彼らの歩んだ同じ道を少し遅れて歩もうとする女性を見るに忍びない」
posted at 19:16:50

『青鞜』ってストレートな家父長制批判が軸だったわけで、これが日本の女性解放運動の出発点にあるとすると、基本的には家父長制との共存を目指す路線のリベラルのフェミニズムが広がらないのも納得できる。全く種類の違う木に接ぎ木をするようなものだから、どう考えても成長するわけないよな。。
posted at 19:22:38

なんで平塚を始めとする『青鞜』の面々がこれほどまでにアナキズム的な家父長制批判の視点があったのか気になって調べてみたら、エレン・ケイが鍵だった。ケイはスペインのフェレやフランスのファウレなどのアナキストと一緒にアナキズム系教育刷新運動に関わっていたらしい。cira-japana.net/pr/?p=849
posted at 19:33:14

エレン・ケイの「母性」を重視する視点が引き継がれたから『婦人戦線』は産児制限に反対する立場で始まった。でも、当時のアナキズムの世界ではエマ・ゴールドマンがシンボルになっていたように産児制限支持が主流だったから、結局『婦人戦線』はこのテーマを上手く消化できないまま終わってしまう。
posted at 19:45:44

興味深いのが『青鞜』も『婦人戦線』も男性のお膳立てで始まっているところ。19世紀末にアルゼンチンで「神も雇用主も夫もいらない」を掲げて定期刊行物『女性の声』を発刊した女性アナキストたちが、同志の男性アナキストから凄まじい嫌がらせや妨害を受けていたことを思うと、そのギャップに驚く。
posted at 19:53:13

『婦人戦線』に関しては母性重視や産児制限反対の主張をしているところで「アナルコフェミニズムの先駆け」という位置付けにはできないんだよな。。途中で終わってしまったからなんとも言えないけど、母性を自然なものと捉えてる限り、女性と生殖を切り離すという主張に向かう可能性は低いだろうから。
posted at 20:13:21

スペインのアナキズムの女性解放の歴史において1930年代には女性の自己実現に出産育児は不可欠という立場(モンセンなど)と不要という立場(自由な女/Mujeres Libres)が並存してた。後者が発展したものがアナルコフェミニズムになる。だから『婦人戦線』はアナキズムの女性解放の枠には入れられる。
posted at 20:29:08

そういえば、英語でアナルコフェミニズム/アナルカフェミニズムというとフェミニズムの一派という印象だけど、スペイン語のアナルコフェミニズムはアナキズムの一派になる。私が知ったのもアナキズムを調べていたからで、フェミニズムを調べてたらおそらくこんなにたくさんの情報が得られなかった。
posted at 20:40:30

 

2021年4月29日

「今、右の数字をみると婦人の失業者は1万4200人余りにすぎないが、実際においては、婦人はもっと多数に街頭に放り出されたのである。それは男性の失業者10万9976人に扶養されている婦人は、すべて自らが失職したのと同じ憂目をみたわけだからだ。かうして不景気は、婦人に対して最も深刻に作用する」
posted at 10:50:34

「不景気の最後の尻拭いは、結局婦人がするのである。ゆえに婦人が、かういふ場合の尻拭いに甘んじている限りは、即ち、自分たちが資本主義社会経済の最後の決算物に使われていることを自覚して蹶起しない限りは資本主義は中々陥落しない。資本主義の陥落は結局婦人の覚醒によって実現されるのである」
posted at 10:54:16

「国産愛用、国産愛用と騒ぎたてるので、まるで一般の民衆は、今まで自分等が国産品を知らず知らずの間に、愛用していなかったために、不景気が来たかのような錯覚にとらわれるにある。政府の宣伝の目的は、一般国民の間にその錯覚を起こさせるにある」
posted at 10:58:09

「国産が愛用されやうがされまいがそんなことはどうでもいいのであって、さういった愛国的な叫びをもつて、不景気の真因から民衆の目を塞げばいいのである。だが、この催眠術は、あまりにもバカげているために、まだ充分に効果を上げない中に、馬脚をあらはしてしまった」
posted at 11:02:54

「婦人公民権案が今民政党内閣によって提出されようとしている(中略)しかるに、先駆者ぶった女性、男性化した女性、男性的野望に燃ゆる女性等、いはゆる婦人運動者たちは、このゴマカシ政策を歓迎し、アチコチと飛びまはることによつて(中略)労を貸して醜名を千載を流すことにアクセクしている」
posted at 11:10:46

「最近幼少年虐使問題がとみに社会の視聴をそばだてた(中略)親をして子供売るべくさせておいて児童の保護もすさまじい。ブル夫人、ブル令嬢が、安価な同情の涙を流していられる生活、その生活が一切の悲惨の原因なのだ。さういふ搾取生活がなくなれば一切のかういふ悲惨はたちどころに失くなるのだ」
posted at 11:17:34

「いづれの場合においても、女児が圧倒的割合を占めている(中略)女児が男児に比べて商品化されやすいといふことに他ならない。即ち現代において、女性が至るところにおいて商品としてとり扱われる可能性が、すでにこの14歳未満のいたいけな子供の生活にまであらはれているのである」
posted at 11:21:56

「この現象は、すべての婦人の運命の暗示である。同情の涙を流す前に、婦人はこの経済的事実を自分のこととして、厳粛にみつめなければならない」(川井きわ「資本主義と女性(1930.9.29)」婦人戦線『無政府道徳』号より)
posted at 11:24:48

当時フェミニスト/婦人運動者は女性参政権運動家を意味するという認識が日本にも届いていた。本人たちがフェミニストという用語を避けていたのに、この時代のアナキストの女性解放運動にこの言葉を用いて「アナルコフェミニズム」としていいのか?という議論がスペインでもあって、私も抵抗がある。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 12:40:21

アナキズム運動の男性中心主義を批判し、女性参政権運動の資本主義への無関心を批判したアナキストの女性解放運動は、アナキズム史からもフェミニズム史からも忘れ去られてきた。スペインでも本格的に歴史が掘り起こされてたのは今世紀。日本にも20世紀初頭に入ってきていたので同じ作業ができるはず。
posted at 12:50:12

再生産労働を無視してきたのはマルクス派であって、アナキストは家父長制批判の延長で19世紀半ばから議論してきた。その流れは日本にもしっかりと届いていたようで、『婦人戦線』を見るだけで日本語でも豊かな議論が繰り広げられてきたとがわかるから、『青鞜』みたいに女性解放論集を編纂して欲しい。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 13:17:02

どこでも権力に不都合なものは歴史から消されるので、アナキストが一大勢力だったスペインでも再生産労働を巡るアナキズムの女性解放運動はすっかり忘れ去られていた。フェデリチの著作があれほど受け入れらたのは、もともと反資本主義と反家父長制の観点から再生産労働の議論が主流だったからだろう。
posted at 13:34:02

『青鞜』女性解放論集をアナキズム文化史を踏まえて見て、興味深いのは『人形の家』とノラに一章が当てられていること。イプセンはアナキストが最も好んだ作家の一人で、当時バルセロナで最多公演数を誇ったのが『民衆の敵』だった。「新しい女性」を描く小説で人気を博したのがフェデリカ・モンセン。
posted at 13:51:52

このテクストの背景を説明すると、組合活動への女性の参加が少ないと不平を言うCNT男性組合員に対する女性アナキストからの反論。要約するなら「ふざけるな。お前たちが自分の妻を再生産労働に縛り付けているからだろう」というルシア・サンチェス・サオルニルの主張は何度読んでも素晴らしい切れ味。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 17:35:13

ルシア・サンチェス・サオルニルはボルヘスにも影響を与えた文学運動ウルトライスモに参加した人物なので、とにかく文章が上手い。当時は女性が文章を書くことが社会的に認められていなかったために、男性名で作品を発表していた。エマ・ゴールドマンとの写真にはパートナーのアメリカと写っている。 twitter.com/Arcdelahistori…
posted at 17:52:29

自由な女の創設者(サオルニル、アンパロ・ポック、メルセデス・コマポサダ)は全員、結婚も出産もしなかった。このあたり、ゴールドマンがモンセンとは微妙な関係だった一方で、自由な女を熱烈に支援して、内戦後に並々ならない苦労をした彼女たちの消息を死の間際まで気にかけていたと理由かもな。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 18:03:35

アナキズムに貨幣や賃労働の否定のイメージがあるのは男性アナキスト中心だからで、女性アナキストは19世紀から労働の権利と同一賃金を求めて闘っていた。賃労働は女性に家父長制からの解放区を与えてくれるわけで、自由な女も電話交換手サオルニル、医師ポック、弁護士コマポサダといわゆる職業婦人。
posted at 18:14:29

自伝を読むとゴールドマンもまた自分一人になれる解放区を持つことに執着したのことがわかる。家賃を払って自分だけの空間を維持するために、安定した収入を得る道を模索して医師の道を目指す。一方で、同時代の男性アナキストがお金を稼ぐことに無頓着なのは家父長制に脅かされないからだと思った。
posted at 18:26:19

19世紀末にはゴールドマンが「自由な愛」を実践しようとしても、皆筋金入りアナキストにもかかわらず最終的に独占物=妻になることを求められて決別してた。1930年代にはアナキストは女性を所有できる物と考えるべきではないという認識が共有されるようになっているので意識改革が進んだと言えるかも。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 18:47:11

『怠ける権利』という発想も男性中心だよな。生産労働の拒否には労働の権利が大前提だけど、女性が男性に依存せずに資本主義社会を生き残るためには無償労働を押し付ける家父長制から逃れて有償労働の権利を確保することから始めなければならないから、賃労働が単なる生産労働を超える意味を帯びる。 twitter.com/ramonbookprj/s…
posted at 20:30:35