日本のマスコミ人たちがジャーナリズムの意味を正しく認識していないことについて、諸外国との比較アンケートやレポートで示したゲンナリする(今更な)お話
「事実をありのままに伝える」
じゃなくて
「政治的アジェンダを設定する」
って何やねんソレ
主な国のジャーナリストの回答(自分の仕事の中での各項目の重要性を"extremely important" "very important" と答えたジャーナリストの比率)を並べて色つけしてみた。
それぞれのお国柄はあるけど、それにしても日本のジャーナリズムの異様さがいくつか際立ってる https://t.co/nY1TxT20Yw pic.twitter.com/oPf7dD4VbC— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
「あなたの仕事で『事実をありのままに伝えること』はどのくらい重要ですか? 5段階で答えてください」
という問いに
「extremely important」「very important」
と答えたジャーナリストの比率米国 98.3%
フランス 96.5%
英国 93.0%日本 65.1%https://t.co/kDHNd04rsH
— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
20個ほどの「ジャーナリズムの役割候補」を並べてそれぞれの重要性を5段階で答えさせるアンケートなので恣意性はない。
The Worlds of Journalism Study が実施した68カ国横断アンケートで『事実をありのままに伝えること』がトップに来ないのは主要国で日本くらい pic.twitter.com/yvGmAEKsKw— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
日本の「ジャーナリスト」たちがそれよりも段違いに(実際比率がガクンと違う)重要と考えているのが
「政治リーダーの監視と精査」
「時事問題の分析の提供」
「人々の政治的決定に必要な情報の提供」
の3つ。・・・いや、そんなのはまず事実をありのままに伝えたあとの話だろ
— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
「事実をありのままに伝える」がトップでないのはこの中で(中露も含めて)日本だけ。
「政治的アジェンダを設定する」をジャーナリズムの重要な仕事と考えている率が異様に突出。
「客観的な観察者であること」「人々が意見を表明できるようにすること」に重要性を感じている率が低い。— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
こんなことになっている背景のひとつは日本の「ジャーナリスト」が事前に専門の教育を受けていないことかもしれない。
大学でジャーナリズムand/orコミュニケーションを専攻した比率(同調査より)
– 米国 80.1%
– 英国 44.1%
– フランス 79.2%
– ドイツ 35.1%
– 日本 12.5%
とかなり低い— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
ジャーナリズムの歴史や存在意義や使命や危険性を学ばずいきなり現場に投げ込まれ先輩やデスクの指示で働くうちに「我々の仕事は政策アジェンダ設定だ」のような信念が醸成されたのかも。レポートでも「日本のメディア企業でOJTが確立されたのはごく最近」と報告されてる https://t.co/JY6zlLpwVE
— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022
「じゃあこれから大学での教育に力を入れたら良いのでは」と思いきや、もうそれも無理。その手の専攻はとっくに、「現場」からの叩き上げで間違った信念を持ったままの人や思想的に偏向した弟子たちが教員職を占めてしまってる
— 水島六郎 (@mizloq) November 21, 2022