TSMCは総投資額を従来計画比3倍強の400億ドル(約5兆5000億円)にするそうで・・・
・・・金額が凄い・・・
当然ですが、合衆国政府からは相当な額の補助金をタンマリとゲットしたのでしょうし、
5nmプロセスや3nmプロセスを生産するからといって、それが“最先端”を意味するのでもない。
TSMCを人民解放軍に破壊されたくなければ米軍が気合入れて台湾を防衛してネ♥はぁと♥
・・・ってな状況と姿勢は堅持するでしょう、張忠謀(モリス・チャン)のことだし。
まぁでもバイデンやティム・クックがはしゃぐのも無理からぬこと。
ローテクな工場しか置かせてもらえなかった日本とは大違いで、そこは純粋に羨ましい。
Apple silicon unlocks a new level of performance for our users. And soon, many of these chips can be stamped “Made in America.” The opening of TSMC's plant in Arizona marks a new era of advanced manufacturing in the U.S. — and we are proud to become the site’s largest customer. pic.twitter.com/rBoiEUwZaX
— Tim Cook (@tim_cook) December 6, 2022
◆TSMCが米国に3nm工場、台湾の地政学的リスク回避へ【日経XTECH:久保田龍之介 2022年12月7日】
台湾TSMC(台湾積体電路製造)は2022年12月6日、米国アリゾナ州フェニックスに最先端となる3nmプロセス半導体の製造工場である第2ファブの建設を開始したと発表した(図)。同地域への工場建設は、2024年に5nm世代プロセス「N4」の半導体を生産する第1ファブに続くもの。第2ファブでは2026年から3nmプロセス半導体を生産開始する計画である。
TSMCによると合計投資額は海外投資として「アリゾナ州史上最大、米国史上最大級の約400億米ドル」(1ドル=137円換算で約5兆4800億円)になるという。2つの工場は、年間60万枚以上のウエハーを製造し、最終製品の価値は「400億米ドル以上」(同社)と見込む。
米国で先端半導体工場建設を急ぐ背景にあるのは、台湾有事などの地政学的リスクである。米国は半導体の安定供給に向けてこれまでもTSMC誘致に動いていた。台湾は米国側の支援が加速することで、対中国リスクを回避したい考えだ。今回の工場建設に対しても、米国政府からの経済的支援が行われる。
◆TSMCの米国誘致、バイデン氏「ゲームチェンジャーに」【日本経済新聞 2022年12月7日】
バイデン米大統領は6日、米西部アリゾナ州フェニックスを訪れ、半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の拠点建設を祝う式典に出席した。バイデン氏はTSMCの拠点について「(半導体産業を巡る)ゲームチェンジャーになりえる」と強調した。
TSMCは6日、アリゾナ州への総投資額を従来計画比3倍強の400億ドル(約5兆5000億円)にすると発表した。従来計画していた「5ナノ(ナノは10億分の1)メートル品」より高性能の「4ナノ品」を2024年から生産する。「3ナノ品」と呼ばれる先端半導体の工場もつくる。
バイデン氏は「アップルはこれまで先進的なチップを海外から購入しなければならなかった」と述べ、米国に半導体のサプライチェーン(供給網)が整備される意義を訴えた。「アリゾナ州で歴史上、最大の海外投資だ」とも語った。
米政府は国内の半導体生産を補助金で後押しする。8月に総額527億ドルの半導体補助金を創設する新法が成立しており、TSMCに補助金を出す見通し。
TSMC創業者の張忠謀(モリス・チャン)氏は6日、「地政学的な変化があった。自由貿易はほぼ死んだ」と言及した。ロシアのウクライナ侵攻や台湾の武力統一も辞さない中国が念頭にあるとみられる。2つの工場が完成するとアリゾナ拠点の売上高は年100億ドル規模になるという。
式典にはTSMCと取引のある主要企業の幹部も出席した。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は「非常に重要な瞬間だ。米国が先進的な製造業の新時代を切り開くチャンスになる」と述べた。
米半導体大手、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)のリサ・スーCEOは「TSMCはチップを設計する企業すべてに最も重要なパートナーだ。AMDは大きな顧客になるだろう」と語った。エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは「業界にとってもゲームチェンジャーになる」と力説した。
◆台湾TSMC、アリゾナ州に第2の半導体工場を建設へ–投資5.5兆円に【ZDNet Japan 2022年12月7日】
台湾積体電路製造(TSMC)は米国時間12月6日、アリゾナ州フェニックスに第2の新工場を建設すると発表した。この工場で最先端のプロセッサーを製造するとしている。
工場建設予定地で計画を祝う式典には、Apple、AMD、NVIDIAの最高経営責任者(CEO)らのほか、Joe Biden米大統領も出席した。
TSMCはすでにフェニックスに半導体製造工場(ファブ)を建設中で、120億ドル(約1兆6000億円)を投じて、現行の「iPhone」などに採用されている最先端の5nm製造プロセスによるプロセッサーを製造する。TSMCは改良した4nmチップもこの工場で製造することと、はるかに高度な3nmチップを製造する第2のファブを建設することを発表した。投資総額は400億ドル(約5兆5000億円)になる。
ただし、この新しいチップは2023年のiPhoneには搭載されない。ファブの建設には時間がかかるからだ。TSMCは2021年4月に5nmのファブを着工したが、チップの製造が始まるのは2024年以降になる。新たに発表された3nmのファブも、チップの製造が始まるのは2026年以降だ。
TSMCがアリゾナに建設する2つのファブは、建設に従事する1万人以上の建設作業員に加え、さらに1万人に上る高賃金のハイテク関連の雇用を創出することが見込まれる。ハイテク関連職には、TSMCが直接雇用する4500人も含まれる。完成すれば、これら2つのファブで製造されるウエハーは年間60万枚以上、最終製品の価値は400億ドル以上になるとみられる。
◆クックCEO、アップルはTSMCアリゾナ工場のチップを買うと明言
【Yahoo!ニュース:多根清史 2022年12月7日】
台湾TSMCは、iPhoneやiPad、Macなどに搭載されるAppleシリコン(独自開発チップ)の製造を一手に引き受けている。そのTSMCが、米アリゾナ州に巨額を投じて半導体工場を建設していることは、本誌でも何度か報じたとおりだ。
アップルのティム・クックCEOが、アリゾナ州で行われたTSMCの投資発表会に出席し、この工場で製造されたプロセッサーを購入することを明言したと報じられている。
米CNBC報道によると、クック氏はバイデン米大統領も出席したイベントで、「多くの人々の努力のおかげで、これらのチップには堂々とMade in Americaの刻印が押されるようになった」「これは信じられないほど重要な瞬間だ」と述べたという。実際にクック氏も、同様の趣旨をツイートしている。
この発言で注目すべきは、前置きとして「Appleシリコンは、ユーザーのために新たなパフォーマンスを解き放つ」と述べていることだろう。これはiPhoneのAシリーズチップや、MacおよびiPad Pro向けのMシリーズチップを米国内で生産する、と約束したに等しい発言だ。
またバイデン大統領も、「アップルは先進的なチップをすべて海外から購入しなければならなかったが、今度はサプライチェーンの多くを自国に持ち込もうとしている」「それはゲームチェンジャーになるかもしれない」と述べている。
以前TSMCは、アリゾナの施設に120億ドルを投じると発表していたが、今回のイベントでは投資総額が400億ドルに上ると明らかにしている。
第1工場は2024年までに操業を開始し、4nmチップを製造するとの報道もあった。また第2工場は、2026年に開設予定とのこと。これらの工場で、将来的には3nmチップを製造する予定だとのTSMC創業者の発言もある。
ただし、アリゾナ工場でAシリーズチップが製造されるとしても、それは最先端とは限らない。すでにiPhone 14 Proモデル用のA16 Bionicは4nmプロセスで作られており、「2024年に4nmチップ製造」は時代遅れとなっているはずだ。
英Finaicial Timesは、TSMCが最先端チップ製造技術を米国に持ち込むことはあるのか?との疑問に「ノー」という情報筋の話を伝えている。「TSMCの米国拠点は、Nマイナス1の原則を守り続けるだろう」とのこと。つまり米国の工場は、台湾工場の最先端技術より1世代遅れることになるというわけだ。
しかも、アリゾナ工場の生産量は限られているため、レガシーチップであっても、アップルの台湾依存はあまり減らないことになるという。やはり中国による台湾侵攻のリスクが高まっているなか、米国にTSMCごと台湾を守らせる「シリコンの盾」の思惑が働いているのかもしれない。