“お話し合い”や“理性”といったものが通じない国家が、よりによって国連常任理事国5ヶ国のうち2ヶ国を占める、悪夢のような時代が来てしまった件
6月21日発売予定の中公新書
→保坂三四郎『諜報国家ロシア――ソ連KGBからプーチンのFSB体制まで』
ドイツが典型だが、経済の相互依存を深めれば紛争が抑止され、交流が活発になれば相手国に肯定的影響を与えられるというリベラル的発想はロシアに対しては逆効果であった。依存関係は、ロシアに利用された。将来の対露関係を考える際に甘い前提に立ってはいけない。https://t.co/q5KsOnYO0t
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) May 27, 2023
来月刊行の拙著の最後に、こうした教訓を若干取り上げた。中国も似た状況になってきている。https://t.co/tqHHopQ6OP
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) May 27, 2023
「ロシア人が民族的に野蛮」というのは「民族」ってなんだという話になるし、私も賛同できない。だが、じゃあ物流を改善して「我々の世界に参加」させればロシア(人)が変わるはず、というのは90年代初頭の西側のwishful thinkingと同じ。過去30年間の壮大な実験の失敗を全く踏まえていない。→ https://t.co/v1x9pAfzMS
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
ロシアはガス供給や物流で欧州経済と完全に相互依存の関係にあった。欧米との文化・学術交流、旅行も無制限に行われるようになった。政治的にG8にロシアを入れたのも同じ。だが、「我々の世界」を見せればロシア(ソ連)人は変わるだろうと考えたリベラルの目論見は見事に失敗に終わった。→
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
ガス止めて欧州を凍り付かせるぞという脅し。経済の相互依存はロシアを変えなかった。またソ連時代"nonoffensive defense"に魅了され「欧米通」ともてはやされたココーシンは反欧米でプーチンを支持する強硬派に「化けた」。アルバトフ親子、ルキヤノフ、トレーニン然り。→
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
相互依存や交流促進で、理解や友情が深まり、「我々に近く」なるという仮定は、一定の前提条件下でしか成立しない(制度構築、経験の蓄積、後押しする人材等々)。ロシアにはこれら条件は揃わなかった。90年代初頭の民主的制度構築の可能性はエリツィンの保守化やKGB/FSBの温存でほぼ水泡に帰した。→
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
欧州は、最もロシアに優しかったドイツを含め、この30年間の壮大な実験を繰り返して5年後、10年後、20年後に再び甚大な代償を払うことを望んでいない。したがって取り得る選択肢は、ロシアの封じ込めしかない。これはジョージ・ケナンのソ連封じ込めとは異なる次元となる。
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
ロシア国内には民主化勢力が存在しない。第二次大戦敗戦国のドイツや日本が歩んだように、米国による占領と米国の助けを借りた民主的制度の構築があれば変われるかもしれない。だが、これは起こりえない。対ウクライナ敗戦後のロシアには民主化は起こらない。
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022
私自身20年前、ロシアの学生36名を日本に招待して相互理解・友好促進のために交流行事をやった。連中とは今でも友達だ。だが、彼らの中にも侵略戦争を直接・間接的に支持している者がいる。外の空気に触れさせ、腹を割って話し合えば分かり合える。そう信じたいかもしれないが越えられない壁もある。
— Sanshiro Hosaka (@HosakaSanshiro) November 18, 2022