まずは手始めに
「Starlinkの衛星でT-Mobileのスマホが全米どこでも利用可能に SpaceXとの提携で」
ということだそうです。
米SpaceXのイーロン・マスクCEOと米T-Mobileのマイク・シーバートCEOは8月25日(現地時間)、SpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink」へのT-Mobileのスマートフォンの接続を可能にする提携「Coverage Above and Beyond」を発表した。
T-Mobileの加入者は、特別な機器を追加せずに現在使っているスマートフォンでStarlinkのネットワークを利用できるようになる見込み。
両社は、全米のT-Mobileのスペクトルを使ってStarlinkの衛星からブロードキャストする新たなネットワークを構築する。この衛星からセルラーへのサービスは、「空が見えるほぼすべての場所」を完全にカバーするとしている。
マスク氏は「この提携で重要な点は、世界中のどこにもスマートフォンのデッドゾーンがなくなるということだ」と語った。
このサービスは、SpaceXが2023年に打ち上げる第2世代のStarlink衛星で実現する見込みだ。まずはSMSやモバイルアプリでのテキストメッセージのみに対応し、その後、音声とデータにも対応していく計画という。
サービスが無料のオプションになるのか有料なのかなどについては発表されていない。
Watch live as Elon and @TMobile CEO and President Mike Sievert announce plans to increase connectivity → https://t.co/pxgvgTWzrx https://t.co/kP7p4tuVIi
— SpaceX (@SpaceX) August 26, 2022
そして、ゆくゆくは・・・
うわイーロン・マスクが「来年打ち上げるスターリンクV2衛星で、携帯電話の直接通信に対応し、『圏外』を全世界から失くす」と。 https://t.co/63zbvIxm2z
— MASA (@masa_0083) August 26, 2022
Starlink V2, launching next year, will transmit direct to mobile phones, eliminating dead zones worldwide
— Elon Musk (@elonmusk) August 26, 2022
Note, connectivity will be 2 to 4 Mbits per cell zone, so will work great for texting & voice calls, but not high bandwidth
— Elon Musk (@elonmusk) August 26, 2022
さしあたって音声通話やテキストメッセージのやりとりを可能にするようだ。
— MASA (@masa_0083) August 26, 2022
民生通信分野に「全世界キャリア」が登場するというのもすごい話だが、ウクライナのように無線機が不足する前線で、兵士達がより安全にスマホが使えるようになるかもしれない。
— MASA (@masa_0083) August 26, 2022
民生通信分野に「全世界キャリア」が登場するというのもすごい話だが、ウクライナのように無線機が不足する前線で、兵士達がより安全にスマホが使えるようになるかもしれない。
— MASA (@masa_0083) August 26, 2022
とてつもない資産家でありトラブルメーカーでもあるイーロン・マスクですが、ウクライナがキーウへの奇襲を皮切りにロシアから侵略戦争を仕掛けられた際に、いち早くスターリンクを無償提供してウクライナの通信インフラ確保に大きく貢献した功績は計り知れないほどで、こういう功徳ならドンドン積み増してもらいたいですね。遠くない将来に日本の携帯キャリア全てと繋がってくれることを期待します。
Starlinkが既存のスマホで衛星通信ができるという記者会見を行った一部始終を日本語でまとめてある大変有用な連ツイ。なるほど、こういう計画なのかと改めて全容を見て驚く。実現出来るかどうか、まだよくわからないけど…。 https://t.co/0anu8EnI42
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) August 26, 2022
SpaceXのStarlinkによる携帯通信参入(長い)
・既存のスマホで利用可能
・来年後半からベータテスト
・最初はSMSやメッセージアプリのみで次に音声
・理屈の上では地球上ならどこでも圏内に
・通信速度は遅く現行の携帯サービスの代替ではなく今は圏外である僻地向け
1/nhttps://t.co/oIRbQdQCjg— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
発表会場はSpaceXのStarbase
最初に登場したのは米国大手携帯キャリアT-Mobile CEO Mike Sievert
・T-Mobileのミッションは顧客を世界に繋ぐ事
・数か月前に(海外のローミングや飛行機でのWifiの追加料金なしでの利用を可能とする)Coverage Beyondを発表— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・SpaceXとの技術アライアンスによる衛星携帯通信サービスCoverage “Above” & Beyondを発表する
・これにより「圏外」という単語が死語になる
・米国には携帯圏外の地域が130平方kmある
・僻地の住民、警察や消防だけでなく、私達全員のためにこうした地域の通信は重要— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・空が見える場所にさえいれば、常に「圏内」にいる事ができるように
・T-Mobileがすでに使用しているmid-band PCSの帯域の一部をこのサービスに割り当て、来年打上開始のStarlink V2を用いる
・現在使っている携帯でそのままこのサービスが利用出来る (ドヤ!— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・これは携帯の基地局を空に設置するのと同じ。地上の基地局よりとても大変だけど…だからSpaceXと組む事にした
・すでに携帯で使用している帯域を利用することで、ほとんどの現行の携帯はすでにこのサービスに対応済み
・来年後半にはベータテストを開始
・初期はSMSと一部のメッセージアプリに対応— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・音声やデータ通信にも対応予定
・米国ならどこでも繋がる。アラスカの大半、ハワイ、プエルトリコ、米国領海だけなく世界の海の大半も繋がる (ドヤ! 2回目
・海外のキャリアにも参加を呼び掛け、各国でStarlinkサービスのローミングを可能としたい
・このサービスは無料で提供する (ドヤ! 3回目— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Elon Muskが登場
・重要な事なので再度強調するが、Starlink V2は既存の携帯と直接通信可能となる
・既存の携帯ではStarlinkのターミナルを用いたような高速通信はできないが、メッセージや画像の送受信は可能、もし同じ「セル・ゾーン」にあまり他のユーザがいなければ短い動画も見れるかも— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・世界中どこにいても「圏外」ではなくなる
・他国でも同様にキャリアと提携してサービスを提供していきたい。サービスは世界中どこでも提供できる
・登山での事故でも、大吹雪での事故でも、無人島に流れ着いても、このサービスがあれば助けを呼ぶ事ができるようになる— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・このサービスはより便利になるだけではない。これにより人の命を救う事が出来る。携帯が「圏外」であったが故の悲劇はもう起きなくなる
・このサービスを実現するためには、衛星側に巨大な強力なアンテナが必要。大量の衛星も必要。これはStarlink Gen2で実現可能— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
・その帯域で数千の通話や、百万のテキストメッセージの送受信が可能。
・ここにいるSpaceXやT-Mobileの社員の皆さんはこの発表の重大さを理解できるだろうけど、今回の発表の重大さが世間一般に伝わるかが不安。「世の中のみなさーん!!」
・「圏外」という概念はなくなります!— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
質疑応答 (T:T-Mobile CEO, E:Elon Musk)
Q: T-Mobileと特別な契約を結ばないといけないのか?
T: よく使われている一般的なプランでは無料提供するつもり。格安プランでは別料金にするかも。その場合も現行の衛星携帯電話サービスの料金より圧倒的に安い価格にする— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: このサービスの提供の為にはStarlink衛星のプログラムの変更が必要なのか
E: プログラムの変更ではすまない。このために新しいStarlinkのアンテナを開発中。これは非常に大きく革新的。最も技術的に進んだフェーズドアレイアンテナである。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
800km離れ時速27000kmで移動する衛星から携帯の微弱な電波を受信する必要がある。衛星は高速移動でのドップラー効果を補償する必要もある
研究室での試験は順調、実環境でも問題なく動作すると考えている。衛星には多くの追加ハード・ソフトが必要。技術的課題が多いため、今まで誰もできなかった— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: サービスは米国から提供を開始するのか、それとも全世界で提供するのか
T: 衛星は世界中がカバレッジ。より多くの各国のキャリアが参加する事が望ましいというのがElonと私の考え。
そのために相互ローミングも呼び掛けている。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
各国のキャリアが現在使用しているmid-band PCSの帯域の一部をStarlink向けに転用しSpaceXと提携すれば、T-Mobileのユーザがその国に行った時にその国でもStarlink回線を使えるようになる。逆にその国のユーザが米国に来た際はT-MobileのローミングでStarlink回線を使える
各国のキャリアに参加を期待— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
M: 世界中のキャリアの皆さんを歓迎します。ぜひご連絡ください。是非全世界でこのサービスを提供したいと考えている
Q: T-Mobileのバックホール回線でStarlinkを使う可能性は?
T: 2社はパートナーになったわけでそういう考えもあるよね!— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: 使用することが出来るメッセージアプリとはiPhoneのiMessageとAndroidのRCSに限定されるのか?
T: 「一部の」メッセージサービスと言った理由は、メッセージサービスのトラフィックと他のトラフィックを区別する必要があり、そのためにはメッセージサービスの提供会社の協力が必要。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
今後数カ月で提供会社との調整を行う予定。例えば音楽ストリームサービスの通信は無料扱いにした時など、似たような事は他のサービスでも行った経験がある
E: 重要なのはこのサービスの提供を受けるのに新しい携帯は不要である事。既存の携帯で使える— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: Starlink Gen2のアンテナは大きいと言っていたがどれくらい大きいのか?
E: 「とっても大きい」
Q: NASAは他の衛星で巨大なアンテナで苦労したと聞いている。具体的な大きさがわかるとうれしい。またその巨大アンテナはFalcon 9のフェアリングに収まるのか?— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
E: サービスはStarlink V2で提供する予定。長さは7m。携帯通信用アンテナは、現在Starlink 1で使用しているメインのKu/Kaバンドのアンテナやレーザー通信を補完するもの
Starlink 2は現行のKu/Kaバンドアンテナの改良版やレーザー通信に加えて携帯対応周波数帯向けの展開アンテナを搭載する。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
携帯通信用アンテナは一辺5mで25平方mくらい
Starlink V2はStarshipでの打上を前提としていてFalcon 9には収まらない。Starshipの開発が遅れ場合、Falcon 9に収まるStarlink V2 miniを開発して打ち上げる事も考えられる— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: このサービスを発表できると決断するまでに一番大きかった技術的課題は何だったのか?またベータテスト前に警察や消防にサービスを提供するつもりは?
E: 衛星を軌道投入したらすぐに警察や消防がこのサービスを使えるようにしたい。SMSやメッセージサービスの場合、リアルタイムでの接続は不要。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
そのためコンステレーションが完成してなかったとしてもSMS、メッセージサービスや電子メールは提供可能。
無論、サービスを提供は規制当局の許可が必要。しかし技術的には非同期通信を前提とするサービスは極論すると衛星1機の段階で提供可能。最悪30分程度は衛星が頭上を通過し送受信がかかるが— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: このサービスにより海外でのローミング契約は不要になるのか。またダウンリンクの速度の言及はあったがアップリンクの速度は?
E: 今回の発表は重大な発表だが、コンテクストは正しく理解してほしい。Starlinkの携帯通信の「セル」は携帯地上局の「セル」よりかなり広い面積をカバーする。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
このサービスは携帯地上局のない僻地をカバーする事が目的。
速度を2-4Mbpsといったがこれは1つのセルで利用可能な帯域。1000~2000音声通話が可能だが、このセルの面積は広い。このサービスは携帯地上局を用いたサービスを代替するものではない。都市や郊外では地上基地局の方が圧倒的に有利。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: (地元局の記者)テキサスは寒波、ハリケーン、洪水など災害が多く、その際には携帯がつながらなくなる。このサービスはそうした状況を改善させるのか?
T: このサービスにより冗長性を確保できる。我々の業界や監督官庁のFCCは冗長性が常に重要課題。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
来年まずはSMSやメッセージアプリを、音声やデータ通信より先行してサービスの提供を開始するのは、メッセージであれば数千のメッセージを同時に処理できるから。
災害等で携帯がつながらない状況でも、多数のユーザがリアルタイムでつながる事が可能となる。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Elonはメッセージが届くタイミングの話をしていたが、それはあくまでもテスト段階での話。商業サービスを提供するタイミングでは、リアルタイムでメッセージを送受信できる。
SMSやメッセージアプリを先行してサービスインする事でそうした災害時への対応を優先できるから。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
E: とても良い質問。もし一地域全体や一国全体の携帯が自然災害でつながらなくなっても、携帯の地上基地局が全てダメになっても、携帯を使う事ができるようになる。
Q: 1機の衛星でサポートできるユーザの数は?
E: 1つのセルで音声回線は1本あたり2Kbpsなので1000~2000人。メッセージであれば数千万— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: 携帯はどのようにStarlinkと接続するのか。特別なハードウェアは必要か?
T: このサービスの優れている所は、T-Mobileが現在使用しているmid-band PCSの帯域を利用する事。よく使われている帯域でT-Mobileはこの帯域を米国全土で利用している。そのためその帯域をそのままStarlink向けに流用できる— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
携帯は宇宙にある衛星と接続している事は認識しない。携帯はまずは自社の回線をスキャンし、次に地上局ベースのローミングサービスをスキャンし、それも見つからない場合にStarlinkの回線に接続する。携帯はその場合も通常の携帯地上局と接続したと認識する。
— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
E: Starlinkは通常の携帯の地上基地局をエミュレートする。そのためハードウェア・ソフトウェア上の苦労は多い。時速27000kmで移動する地上基地局は存在しない。そのためドップラー効果を補償する必要がある。
技術的には複雑だがエミュレートには成功していて、特別なハードウェアは不要。— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
Q: この2社の提携が地球を超えてもっと別の場所でという事もありえるのか?
E: 火星でもT-Mobileのサービスは欲しいよね!— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
感想
・まさか本当にStarlinkによる携帯通信サービスを発表するとは…しかも既存端末で利用可…
・大規模災害を考えると日本の全キャリアに採用してほしい…
・Starlinkが使用するmid-band PCSという帯域が日本でも使える帯域だと良いのだが…https://t.co/5SFz1uP0Oq— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 26, 2022
昨晩忘れた分を追加
Elon
・実際に使うには、携帯を衛星に向けて追尾するなんて事は不要。携帯がポケットや車の中にあっても使う事が出来ると考えている。外にいてポケットから出せば確実に使える
・速度は「セル・ゾーン」毎に2-4Mbps(一つのセル・ゾーンの大きさは言及されなかったので不明)— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 27, 2022
追記
再来週にAppleが別の衛星システムGlobalstarを用いた衛星携帯通信を発表すると見込まれているとの事。 pic.twitter.com/aPpFe0vKtN— ZplusC1Bst (M💉x 3) (@ZplusC1Bst) August 27, 2022